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01 女の子は馴れない

恥ずかしい通過点

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05

 ニコラが何度も達してしまったことで、洋式便器も床も、潮と愛液でどろどろだった。
 (ちゃんと処理しないと恥ずかしいもんな…)
 個室の中に、発情した牝のようなにおいが立ちこめている。
 絶頂の後の心地よい疲れから回復したニコラは紙を大量に使い、まず自分の股間と周辺を処理する。
 その後、トイレの中の汚したところを拭き取っていく。
 なんとか後始末を終え、まだ半分恍惚としたまま、ニコラはふらつきそうになるのをこらえて部屋に戻る。
 途中すれ違う女の子たちが意味深な笑みを浮かべて振り返るが、それを気にしている余裕はなかった。
 「ただいま」
 「お帰りニコラ。うん…?」
 部屋の中で机に向かっていたサマンサが、ニコラが入って来たとたんいぶかしげな表情になる。
 「どうしたの、サマンサ?」
 「うーん…」
 サマンサが近寄って来て顔を近づけてくる。
 豊かな金髪からふわりといいにおいがする。
 かわいい顔がとても近い。
 「ニコラ、オナニーしてたね?」
 「え…?」
 ニコラは絶句する。
 汚れたところはちゃんと拭いたはずだ。
 「女の子がオナニーした後のにおい、残ってるよ」
 「ほんとう…?」
 すんすんと鼻を鳴らすサマンサにつられて、ニコラも自分の体のにおいを確かめてみる。
 「官能小説なんかで、煙草でセックスのにおい消すっていうのあるでしょ?
 男はともかく、女の子はちゃんと洗わない限りにおい残っちゃうんだよ。
 個人差もあるけど…特にその…いわゆる本気汁のにおいはね…」
 「えええ…?そうだったのか…」
 ニコラは、廊下ですれ違った女の子たちの反応を思い出す。
 おそらく、愛液か潮のにおいに気づかれていたのだろう。
 悪いことに、自分は本気汁を分泌しやすい体質らしい。
 マスターベーションをしていると、いつもすぐ愛液が白く濁るのだ。
 つまり、自分はマスターベーションをした後のにおいを漂わせながら廊下を歩いていたことになる。
 (うわあああ…恥ずかしい…)
 顔から火が出そうとはこのことだった。
 「私の香水貸してあげる。
 好みもあるから、切れたら自分で調達してね。
 今後オナニーするときは、携帯ビデを用意して終わったら洗浄するのがお勧め。
 薬局で売ってるから。
 ニコラはどうも…オナニーの後のにおいが強いみたいだから…」
 「あ…ありがとう…」
 このまま消えてしまいたい気持ちになりながら、サマンサから香水のびんを受け取る。
 忘れないように、手帳のカレンダーに“薬局”と書いておく。
 「まあ、気にしないで。
 私も女の子になって間がないころやらかしたから…。
 オナニーのにおい残ってるって、シスターに指摘されたときは恥ずかしかったよ…」
 そう言って、サマンサが頬を赤く染める。
 その表情がかわいくて、多少救われた気分になる。
 「女の子って本当に大変だね…」
 「まあ、誰しも失敗して成長するものだよ。今日、ひとつ利口になったと思えばいいじゃない。 
 気にしない。
 それに、それだけ気持ち良くなれたなら良かったじゃない」
 穴があったら入りたい気分のニコラに、経験者であるサマンサのフォローはありがたかった。
 誰でも通る道、誰でもする失敗だというのが、せめてもの慰めだったのだ。
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