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第六章 私でなく貴殿方が

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 また数日後。丘の上にある別の高級旅籠。
「おお、きれいじゃないか。すっかり化粧がうまくなったね♡」
 化粧台の前に座る褐色肌の美人を、背後から抱きしめる。今すぐ街の劇場で踊り子でもできそうなほどの艶やかさだ。空色の女物の下着もよく似合っている。
「やれやれ、なんで化粧するところからやらなきゃならないんだ?」
 メゾソプラノの声で、ミカエルが聞いてくる。ほおに優雅な動作で手を置く仕草は、完全に女になりきっているそれだった。男である自分がきれいにメイクをしてウイッグをつける。どうみても美女にしか見えない女装子に化ける。その過程を見られるのは、とても恥ずかしい。
「ミカエルも好きでしょう?♡ご自分が美しく変身するところを見られるの♡」
 鏡越しに目を合わせ、耳元で囁いてやる。
「そんなことは……」
 美しい女装子が、化粧で彩られたほおを朱に染める。否定できない。
 普段は勇猛で果断な裏街の元締めとして、屈強な若衆たちを怒鳴り散らしている。それがミカエル・ロビンシュタインだ。なのに、女装するとこんなに美しい。愛おしい男に自分が妖艶に化ける姿を見てもらえるのは、悦びでさえある。実際、彼の股間は女物のショーツにテントを張っている。
(美しくてかわいい。♡反則だな♡)
 里実はたまらずミカエルに肩越しのキスをしていた。
「んんんん。♡ミカエル……♡」
「あむむむ……。♡里実い……♡」
 美貌の女装子は、唇を重ねられると目を閉じて力を抜いた。若くして、地下組合を仕切る器量と貫禄を持つ元締め。その彼が、自分の前ではまるで恋する乙女だ。無性に誇らしく、嬉しかった。
「こ……こんな場所でヤっちゃうの……?♡」
「この方がミカエルも興奮すると思ってね。♡美しい女装姿、誰かに見られるかもね♡」
 里実は、女装して女物の下着をつけたミカエルを窓際に立たせる。窓に手をつかせ、尻を突き出させる。この旅籠は、大胆に窓に全てガラスを用いている。夜は星を楽しめるし、朝は日光が差し込んで寝覚めがいいと好評だ。小高い場所にあるため、王都の夜景を一望できるのも嬉しい。
 一方で、こうして窓際に立つと、周囲の民家や街道から見られてしまう可能性もあるということだ。ここは三階。前を通る石畳の道がよく見える。まだ宵の口だ。道行く人が顔を上げれば、女装子のあられもない姿が見つかってしまう。
「ほら、入れちゃうよ。♡ミカエルの好きなち×ぽを♡」
「おおおおおおーーーっ……。♡おおお……待って……♡」
 どれだけ恥ずかしくとも、尻の穴に挿入されてしまうのを止めることはできない。ミカエルのそこは拡張と開発を繰り返され、完全に性器になっている。亀頭が入り込んで来ると、勝手に力を抜いて受け入れてしまうのだ。
(相変わらずすごくいいな……。♡ミカエルのケツま×こは♡)
 里実は、美貌の女装子の菊の花の感触に感動していた。
 腸のヒダが絡みついてくることはもちろん。入れるときは緩んで抜く時は締まるという動作を、無意識に行えるまでになっている。女の前の方では決して味わえない快楽を肉茎にもたらしてくれるのだ。
「ふふふ……。♡ミカエル、自分からケツ振っちゃって。♡気持ちいいんだね?♡」
 意地悪く囁いてやると、褐色の美貌が耳まで真っ赤になる。
「おおおおおっ……。♡里実のち×ぽよすぎて……動いちゃう……。♡腰が勝手に動いちゃうよお……。♡あああ……あああああーーーっ……!♡」
 女そのものの甘い声をあげて、褐色の美しい尻が振られる。ガラスに、女物の下着に包まれた股間が荒々しく屹立しているのが映っている。こんなに艶やかでセクシーなのに、信じられないほど醜く大きなものが付いている。そのギャップが、視覚から里実を激しく興奮させていた。
「ミカエル……ミカエル……。♡好きだ……好きだよ♡」
 褐色の美しい身体をバックから抱きしめ、耳元で愛を囁く。
「あああああっ……。♡里実好き……。♡しゅきいいいいっ……。♡動いて……もっとケツま×こしてえええっ……!♡」
 美貌の女装子が、愛を叫びながら激しく尻を振る。互いに射精の衝動を我慢できない。里実の巨根が腸の奥で弾け、大量の白い飛沫を注ぎ込む。ほぼ同時にミカエルが弾けて、ショーツの股間をドロドロに汚した。
 なんとなくふたりには確信があった。なにか根拠があるでもないが、これで確実に孕んだと。射精の余韻と幸福感に包まれたまま、ふたりはいつまでも抱き合っていた。
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