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第六章 私でなく貴殿方が

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 場面は、里実がアレクサンドルに種付けをした後に飛ぶ。
 フォルバン公爵家のゲストルーム。
「じゅるるるるっ……。♡じゅぽぽぽっ……。♡リシャール様のち×ぽすごいですよ……。♡じゅるじゅるっ……」
「ああああ……。♡あむむむむっ……れろれろれえ……。♡里実クンのだって……こんなに……♡」
 生まれたままの姿の美しい男ふたりが、シックスナインで互いの肉茎を舐め合っている。言うまでもなく里実とリシャールだ。妖艶な男ふたりが肌を重ねている姿は、巨匠が描いた絵画と見まがうばかりだ。
(舐め合うのもいいもんだな……。愛し合っている気がして……)
 そんなことを、里実は今まで思ったことはなかった。
 今まで自分は人を愛することを知らなかった。いや、愛するのが怖くて、愛してしまいそうになると逃げてきたというべきか。だから、自分に惚れた男や女をみんな不幸にしてきた。行かないでとすがる手を振り払い、涙に背を向けてきた。
 でもこれからは違う。己を愛してくれる人たちを精一杯愛そう。そう決めた。赤毛にも言われた。お前さんに欠けているのは正にその一点だけ。そこさえ解決できれば、多くの人を幸せにできる天使になれる、と。
「れろれろ……。♡ああ……そろそろ出そうです……♡」
「じゅるじゅるじゅるっ……。♡俺ももうイくよ……。おおお……♡」
 互いに果てるのが近いのを感じる。勃起したものがビクビクとして、射精の衝動を解放しようとしている。
「おおお……。♡出る……出ます……!♡うう……」
「ああ……出すぞ……!♡受け止めてくれ……♡くうっ……」
 ビュルッビュルルルルルッ。ドクッドクドクッ。
 ふたりは同時に互いの口の中で爆ぜる。驚くほど大量の白く熱いほとばしりに、息をすることさえままならなくなる。
(ああああ……。♡すごい量……美味しい……)
 里実はその熱さと味にうっとりとする。元々男の精の味は好きだった。だが、今はそれにリシャールを愛おしく思う気持ちが加わっている。口の中が彼の白濁で満たされて、すごく幸せなのだ。
「じゃあ、いよいよ子作りですね♡」
「ああ。♡まさか、自分が子を産むとは思ってもみなかったけどな」
 リシャールが照れくさそうに応じる。
 今でも思い出す。祝賀会のちょっとした騒ぎを。里実がリシャールたち4人に、雄受胎魔法で己の子を産んで欲しいと望んだときのことを。みんな大いに困惑したが、考えてみればそれが誰も傷つかないですむ道だと思えた。4人とも受け入れたのだ。
『王子殿下が雄妊娠するなど聞いたこともありません!』『公爵閣下、あまりにも先例のないこと!』『せめてそれぞれのご家族に諮ってからに!』『ボスに万一のことがあったらわしらは……!』
 今度は周りが騒然となった。今まで、高貴な人間が同性の愛人に子を産ませることは常に行われてきた。だが、やんごとなき人物が自ら雄妊娠をするなど聞いたこともない。
 人は先例のないことはなるべくやりたくない。悪く言えば、失敗したとき先例に従っただけだと言い訳できないのが怖いのだ。だが、里実の子を孕むことを決意した4人には関係のないことだった。
『みんな落ち着いてくれ。先例なくば、俺たちをもって先例とすればいい。考えてもみてくれ。女は命の危険を賭しても子を産み落として当然なのに、男は違うというのは不公平な理屈じゃないかな?』
 リシャールにそう言われては、誰も言い返せなかった。宴に参加していた者たちは、ほとんどが妻帯者かそうでなくとも子持ちだ。自分たちは、女に産みの苦しみを味わわせた。男だけ安全圏にいなければならないという考えは確かにおかしい。
(さすがはリシャール様。僕じゃ切磋にああは言えない)
 里実は公爵の明晰と貫禄に感謝していた。
「入れますよ、リシャール様。♡」
「ああああーーーっ……。♡入れてくれ……里実クンのデカチンを……♡」
 四つん這いになったイケメン公爵に、バックから挿入していく。しばらく前間で攻め専だった彼は、すっかり男のものを入れられるのが好きになっている。
「ああ……。♡リシャール様、愛してます……。♡僕の子を孕ませてあげますよ!♡」
「おおおーーっ。♡おおお……。♡私も愛しているよおっ!里実……。孕ませて……赤ん坊を孕ませておくれ……!♡」
 肩越しにキスを交わし、愛を叫び合う。リシャールは愛していると耳元で言われるたびにトコロテンをしてしまう。里実も愛欲を抑えられず、何度も腸の奥に放った。
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