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04 フィットネスラブパニック
淫夢
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08
「本当に申し訳ありませんでした」
“G”の騒ぎが一段落した後、スポーツジムの初老のマネージャーが瞳たちに平謝りしていた。
「ま…まあ、殺せたしよかったですけどね…」
「いえ、とんでもございません。
ホテルや飲食店と同じです。
一度“G”を見たらもうその店には行きたくないというお客様も多いのです。
本日の閉店後に駆除業者を入れて、今後は再発防止に努めますので、ご容赦のほどを」
自分の仕事にプライドを持っているらしいマネージャーは、恐縮していた。
確かに、サービス業にとって自分の店に“G”が現れたというのは大ごとだ。
どんな対策を打とうが出る時は出るのがやつらだが、客がそう思ってくれるかは別の問題だ。
「しかし、本当にもらってよかったのかな?」
ジムからの帰り道、瞳は騒がせたお詫びにとマネージャーがくれた食事券の詳細を見ていた。
ジムが業務提携しているレストランの無料チケットで、けっこう豪華なものが食べられるようだ。
「まあ、向こうがもらって欲しいと言ったんだし。いいんじゃないかな」
克己が、好意は素直に受けておくべきだとばかりに応じる。
「しかしまあ、瞳先輩が叩き殺してくれたお陰で大事にならずにすみましたね。
あれでもし逃げられてたら、本当にパニックでしたよ」
勇人が心底安堵した様子でぼやく。
確かに、逃げた“G”が今どこに潜んでいるかわからない事態は嫌なものだ。
ジムの利用客たちも気が気でなかったことだろう。
「でも…瞳さんすごいな…。“G”平気なんですね…」
まだ怯えている様子のつかさが、尊敬の目で瞳を見る。
「平気ってわけでもないけどね…。ただ、お兄ちゃんの言うとおりで逃げられたら嫌だから、つい体が動いちゃうんだよね」
瞳は素直に本当の所を話す。
恐怖を感じたときの反応は人それぞれだ。
体がすくんでしまってなにもできない者もいる。
自分の身を驚異から守ろうと、攻撃的になる者もいる。
“G”に対しては、つかさが前者、瞳が後者ということだろう。
「課長…その…さっきのこと…。申し訳ないんですができれば忘れて下さい…」
「う…うむ…。残念だが…」
小声で耳打ちする瞳に、龍太郎が本当に残念そうな顔になる。
(私も…ちょっと残念だったかも、と思っているし…)
“G”の騒ぎがなければ、あのまま催眠術にでもかかったような心地とセックスの衝動に任せて、龍太郎に抱かれていたことだろう。
一時の衝動でセックスに及ばなくてよかったと思う一方で、あのまま勢いとムードに身も心も任せてしまいたかったという思いもある。
(でも…本当になんであんなに急にセックスがしたくなったんだろう…?)
瞳は、結局つかさのツボ療法によって発情させられてしまったことに気づくことはなかった。
龍太郎との間に沈黙が流れるのが辛い。
「ちょっと早いけど、折角だから食べていきましょうか?」
気まずい空気を払拭するため、瞳は食事にしようかとチケットを掲げる。
運動してみないい感じでお腹が空いている。
異議を唱える者はいなかったのだった。
なお…。
(ああ…感じる…気持ちいいのお…)
瞳は、どこともわからない場所で、誰ともわからない男に抱かれていた。
知らない男ではないはずだが、誰なのかがはきとしない。
これは夢だと確信する。
自分は今、セックスをする夢を見ている。
(ああ…!入って来るう…!)
凄い快感、そして不思議な気分だった。
夢である自覚はあるのに、本当に挿入されてくる感覚があるのだ。
(だめだめ…入れただけでイっちゃう!)
敏感になりすぎた瞳の体は、挿入の感覚だけでオーガズムを迎えていた。
全身がバアーーっとしびれたようになり、頭の奥が白く弾けた。
女の夢精、いわゆる夢イキというものだ。
(どうしよう…えっちなお汁が…)
このままでは、シーツとパジャマを汚してしまう。
そう思うが、これが夢である自覚があっても、意識的に目覚めることも、深い眠りに落ちてしまうこともできなかった。
(ああ…気持ちいい…いやいや…イく…イくの…!)
夢イキは、セックスやマスターベーションで感じるオーガズムに比べて、穏やかで持続的だった。
体がずっとしびれたような感じのままになっている。
瞳は夢の中で男に抱かれ続ける。
正常位で床に組み敷かれて。バックから獣の交尾のように。そして、上になり自分から腰を使って。
(もう…もうイかせないで…!感じ過ぎちゃう…!)
浅い眠りの中、穏やかでじんわりとしびれるような心地のセックスは、長く長く続いた。
瞳は自分の意思に関係なく、何度も何度もオーガズムに達し続けた。
「あ…朝か…」
日の光を浴びて、瞳は目を開く。
ここは自分のベッドの上。
どうやら、夢から覚めたらしい。
(すごい発情した…いやらしいにおい…)
布団の中に、淫らな牝のにおいが満ちていた。
パジャマに手を入れて股間をまさぐると、くちゅりと湿った音がしてぬるぬるとしたものが指に絡みつく。
(また、寝間着とシーツ汚しちゃった…)
愛液はすごい量で、パジャマはもちろん、シーツまでぐっしょりだった。
無意識にうつぶせになり、感じる部分をシーツにこすりつけていたらしい。
お腹の奥がまだじんじんとして、オーガズムの余韻が残っている。
ここのところ毎晩のように、瞳は夢イキをするようになっていた。
男に抱かれる夢を見て、穏やかな絶頂に何度も達してしまうのだ。
(私、欲求不満なのかな…?
最後にセックスしたのいつだっけ?
挿入の感触なんて、もう忘れてるはずなのに変なの…)
スポーツジムでつかさに女の機能を活性化させるツボを刺激され、性欲を強められた自覚は瞳にはない。
瞳は毎晩のように夢イキをしてしまう自分にしばらく悩んだ。
定期的にマスターベーションをする習慣をつけることで、夢イキの回数を減らすことはできた。
だが、男に抱かれる夢を見て、朝起きたらパジャマとシーツを汚していることはその後も度々起こった。
(誰かとちゃんとお付き合いしないからこうなるのかしら…)
瞳はそんなことを考える。
克己、勇人、龍太郎。
3人の誰と付き合うか。保留にしていた問題を瞳が真面目に検討するきっかけとなるのだった。
「本当に申し訳ありませんでした」
“G”の騒ぎが一段落した後、スポーツジムの初老のマネージャーが瞳たちに平謝りしていた。
「ま…まあ、殺せたしよかったですけどね…」
「いえ、とんでもございません。
ホテルや飲食店と同じです。
一度“G”を見たらもうその店には行きたくないというお客様も多いのです。
本日の閉店後に駆除業者を入れて、今後は再発防止に努めますので、ご容赦のほどを」
自分の仕事にプライドを持っているらしいマネージャーは、恐縮していた。
確かに、サービス業にとって自分の店に“G”が現れたというのは大ごとだ。
どんな対策を打とうが出る時は出るのがやつらだが、客がそう思ってくれるかは別の問題だ。
「しかし、本当にもらってよかったのかな?」
ジムからの帰り道、瞳は騒がせたお詫びにとマネージャーがくれた食事券の詳細を見ていた。
ジムが業務提携しているレストランの無料チケットで、けっこう豪華なものが食べられるようだ。
「まあ、向こうがもらって欲しいと言ったんだし。いいんじゃないかな」
克己が、好意は素直に受けておくべきだとばかりに応じる。
「しかしまあ、瞳先輩が叩き殺してくれたお陰で大事にならずにすみましたね。
あれでもし逃げられてたら、本当にパニックでしたよ」
勇人が心底安堵した様子でぼやく。
確かに、逃げた“G”が今どこに潜んでいるかわからない事態は嫌なものだ。
ジムの利用客たちも気が気でなかったことだろう。
「でも…瞳さんすごいな…。“G”平気なんですね…」
まだ怯えている様子のつかさが、尊敬の目で瞳を見る。
「平気ってわけでもないけどね…。ただ、お兄ちゃんの言うとおりで逃げられたら嫌だから、つい体が動いちゃうんだよね」
瞳は素直に本当の所を話す。
恐怖を感じたときの反応は人それぞれだ。
体がすくんでしまってなにもできない者もいる。
自分の身を驚異から守ろうと、攻撃的になる者もいる。
“G”に対しては、つかさが前者、瞳が後者ということだろう。
「課長…その…さっきのこと…。申し訳ないんですができれば忘れて下さい…」
「う…うむ…。残念だが…」
小声で耳打ちする瞳に、龍太郎が本当に残念そうな顔になる。
(私も…ちょっと残念だったかも、と思っているし…)
“G”の騒ぎがなければ、あのまま催眠術にでもかかったような心地とセックスの衝動に任せて、龍太郎に抱かれていたことだろう。
一時の衝動でセックスに及ばなくてよかったと思う一方で、あのまま勢いとムードに身も心も任せてしまいたかったという思いもある。
(でも…本当になんであんなに急にセックスがしたくなったんだろう…?)
瞳は、結局つかさのツボ療法によって発情させられてしまったことに気づくことはなかった。
龍太郎との間に沈黙が流れるのが辛い。
「ちょっと早いけど、折角だから食べていきましょうか?」
気まずい空気を払拭するため、瞳は食事にしようかとチケットを掲げる。
運動してみないい感じでお腹が空いている。
異議を唱える者はいなかったのだった。
なお…。
(ああ…感じる…気持ちいいのお…)
瞳は、どこともわからない場所で、誰ともわからない男に抱かれていた。
知らない男ではないはずだが、誰なのかがはきとしない。
これは夢だと確信する。
自分は今、セックスをする夢を見ている。
(ああ…!入って来るう…!)
凄い快感、そして不思議な気分だった。
夢である自覚はあるのに、本当に挿入されてくる感覚があるのだ。
(だめだめ…入れただけでイっちゃう!)
敏感になりすぎた瞳の体は、挿入の感覚だけでオーガズムを迎えていた。
全身がバアーーっとしびれたようになり、頭の奥が白く弾けた。
女の夢精、いわゆる夢イキというものだ。
(どうしよう…えっちなお汁が…)
このままでは、シーツとパジャマを汚してしまう。
そう思うが、これが夢である自覚があっても、意識的に目覚めることも、深い眠りに落ちてしまうこともできなかった。
(ああ…気持ちいい…いやいや…イく…イくの…!)
夢イキは、セックスやマスターベーションで感じるオーガズムに比べて、穏やかで持続的だった。
体がずっとしびれたような感じのままになっている。
瞳は夢の中で男に抱かれ続ける。
正常位で床に組み敷かれて。バックから獣の交尾のように。そして、上になり自分から腰を使って。
(もう…もうイかせないで…!感じ過ぎちゃう…!)
浅い眠りの中、穏やかでじんわりとしびれるような心地のセックスは、長く長く続いた。
瞳は自分の意思に関係なく、何度も何度もオーガズムに達し続けた。
「あ…朝か…」
日の光を浴びて、瞳は目を開く。
ここは自分のベッドの上。
どうやら、夢から覚めたらしい。
(すごい発情した…いやらしいにおい…)
布団の中に、淫らな牝のにおいが満ちていた。
パジャマに手を入れて股間をまさぐると、くちゅりと湿った音がしてぬるぬるとしたものが指に絡みつく。
(また、寝間着とシーツ汚しちゃった…)
愛液はすごい量で、パジャマはもちろん、シーツまでぐっしょりだった。
無意識にうつぶせになり、感じる部分をシーツにこすりつけていたらしい。
お腹の奥がまだじんじんとして、オーガズムの余韻が残っている。
ここのところ毎晩のように、瞳は夢イキをするようになっていた。
男に抱かれる夢を見て、穏やかな絶頂に何度も達してしまうのだ。
(私、欲求不満なのかな…?
最後にセックスしたのいつだっけ?
挿入の感触なんて、もう忘れてるはずなのに変なの…)
スポーツジムでつかさに女の機能を活性化させるツボを刺激され、性欲を強められた自覚は瞳にはない。
瞳は毎晩のように夢イキをしてしまう自分にしばらく悩んだ。
定期的にマスターベーションをする習慣をつけることで、夢イキの回数を減らすことはできた。
だが、男に抱かれる夢を見て、朝起きたらパジャマとシーツを汚していることはその後も度々起こった。
(誰かとちゃんとお付き合いしないからこうなるのかしら…)
瞳はそんなことを考える。
克己、勇人、龍太郎。
3人の誰と付き合うか。保留にしていた問題を瞳が真面目に検討するきっかけとなるのだった。
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