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01
暴風雨の夜の悪夢
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05
「回収できないとはどういうことです!?」
陸上自衛隊混成部隊司令部のあるテントの中に響いた大きな声に、誰もがぎょっとして視線を声の主である池田に注ぐ。
『申し訳ないが、低気圧が収まるまで収容作業は無理だ。本艦は低気圧を避けて北に退避させてもらう』
強襲揚陸艦“ワスプ”の艦長の重々しい声が、事態の深刻さを物語っていた。
なんでも、エアクッション揚陸艇をウェルドックに収容する際に事故があったらしい。幸いけが人は出なかったが、揚陸艇を修理しなければならない。波で揺れていては修理どころではなく、修理のためには低気圧から離れる必要があるのだという。
『修理が完了次第君たちの回収を開始する。
すまんが今夜は野営していてくれ。連絡を絶やすな』
「わかりました。待っています」
池田は渋々無線を切った。
「バスは行ってしまいましたか」
「ま、仕方なかろうさ。“ワスプ”に万一のことがあったら、1000人以上の将兵が危険にさらされる」
無線のやりとりを聞いていた幕僚の一人の言葉に、池田は建前論で答えるしかなかった。
再び強くなり始めた低気圧は、いよいよ船にとっては危険なレベルになり始めている。指揮官であれば、間違いなく退避を選択するだろう。
それに、いち早く撤収を始めた海兵隊と一緒に回収されていれば、ここまで天候が悪化する前に撤収することができていた。突然出現した謎の島のことを可能な限り調査するように総監部から指示があったとはいえ、撤収の機会を逸したのは陸自がわの責任と言えた。
「やむを得ん、残存する隊員に野営の準備をさせてくれ。暗くなり始める前にな」
野営というのは準備に時間がかかるものだ。テントを張り、水はけのための溝を掘り、食事の準備をしとやっている間に時間はすぐに過ぎてしまう。暗くなり始めてからでは遅いのだ。
「池田三佐。具申します。
このお天気ですが、交替で歩哨を立てた方がいいかと思います」
諏訪部の意見具申に、司令部の空気が一瞬緊張する。
「しかし、なにを警戒する?敵が襲ってくる可能性があると思うのかね?」
「いえ、念のためです。あちらの島に危険な野生動物がいる可能性はゼロじゃありません。それに、夜の間も何か変わったことがないか警戒するに越したことはないかと」
司令部に詰めている幹部たちは互いに顔を見合わせる。
大げさではないかと思う一方、もし危険な生物が島に生息していたら寝込みを襲われることになりかねない。それもぞっとしない話だ。
「わかった。2時間交替で歩哨に立たせよう。
諏訪部二尉、人選は任せていいか?」
「は。早速かかります」
そう言って諏訪部は司令部を後にする。
西普連の隊員はみんなああいうふうに警戒心が強いのか?あるいは諏訪部という人間の性格なのか?
諏訪部の背中を見送った池田はそんなことをふと考えていた。
かくして、陸自の混成部隊120名は豪雨と強風の中の野営を余儀なくされたのであった。
ところ変わってこちらは島の外れにある民宿。
天文学研究所の調査チームは、雨風がひどくなったことで観測を中断して滞在先である民宿に舞い戻っていた。
「おかえり。どうだった?」
「だめですね。向こうの島に続く砂州は駐在さんと役場の職員たちが封鎖してます。状況がはっきりするまで誰も入れるわけには行かないって」
桑島はバスタオルで髪をぬぐい、ずぶ濡れの靴下を脱ぎながら主任研究員に報告する。
「水も滴るいい女」などとは言うが、実際にずぶ濡れになった女に色気を感じるのは難しい。主任研究員は思う。昔のコントでよくあった、上から突然水が降ってきて出演者がずぶ濡れになるオチを想起させる。桑島は多少童顔ながらも美人と言って差し支えない容姿だが、理系の研究者の常で、おしゃれや身体の手入れにあまり頓着しないからなおのことだ。
石城島のすぐ西に突然巨大な謎の島が出現したという事実は、たちまち島中の知るところとなった。
調査チームは、島の出現と同時にそれまで観測されていた正体不明の電磁波が突然止んだことを受けて、島の出現と電磁波にはなにか関係があると断定していた。
謎の島に行くことができれば何かわかるかも知れないと、再び雨風が強まる中島の西側に車で行ってみた。満潮の時でない限り、こちらとあちらの島は砂州で地続きになっているという噂を聞いたからだ。が、砂州に至る道は駐在と役場職員によって封鎖されていたのだ。何があるかわからない島に行かせるわけにはいかないという彼らの言い分はもっともで、桑島たちは引き返して来るしかなかったのだった。
「船はやはりでないんですか?」
「ああ、このお天気では出すわけにはいかないってさ。まあ当然の話か」
ため息交じりの主任研究員の返答に、桑島も嘆息する。
現在この島で受信できる情報は有線によるものだけで、民宿のパソコンを借りて天気を調べた。奇妙なことに、強烈な低気圧に覆われているのはこの石城島だけで、沖縄全体は雨が降っていないどころか晴れている場所さえあるとのことだ。
こうなった以上この島での調査を中止して場所を変えることも検討されたが、この天気で船が出ないとなってはそれも無理だ。
「やはりこの天候も島が現れたことと関係があるのかな?」
「それはわかりませんが、なにか悪いことが起こらないのを祈るばかりです」
桑島の口を突いて、そんな言葉が出ていた。
現実は映画や漫画とは違うのはわかっている。だが、超常現象と言っていいことが起きているのは、なにかとんでもないことが起きる前触れのように思えた。なにか根拠があるわけではないが、桑島は嫌な予感を感じずにはいられなかったのだ。
「とにかく、どうせ島から出られないんだ。
電磁波の観測は継続しよう。今は途絶えているが、また電磁波が観測されないとも限らんしな」
主任研究員は、桑島の不吉な言葉に被せるように言う。
ニュートリノの観測のためにこの島に来たはずが、原因不明の通信障害や電子機器の異常に見舞われて観測どころではなくなった。おまけに悪天候で島から出ることさえできない。
だが、電磁波の観測を継続していれば、少なくとも何かをしていることにはなる。不吉な予感を忘れるためには、仕事をしているのが一番だ。
主任研究員の言葉に、調査チームはアンテナの敷設と機材の準備に取りかかる。
口にこそ出さないが、調査チームの全員が大なり小なり不吉な予感を抱いていたのである。
06
決定に時間がかかるが、いざ決定が下った後は行動が早い。陸自はそういう組織だ。
“ワスプ”が自分たちの回収を断念して沖合に退避したという知らせを受けた隊員たちはあからさまにではないにせよ嫌な顔をした。
だが、野営の準備を急がなければ雨ざらしのまま夜を迎えることになるだけだ。
今まで死ぬほど行って来た訓練を思い出しながら、隊員たちはテントを張り、溝を掘って寝る場所を作っていく。
速度が要求される離島防衛訓練では、異動の邪魔にならないように最低限の装備での行動が要求される。
通常の訓練では用意される野外炊事や野外入浴用の機材は今回は準備されていない。できたての食事を食べたくとも用意してあるのは戦闘糧食だけ。身体が冷たくなっているのに風呂にさえ入れない。
隊員たちの疲労は蓄積していたが、任務中である以上は文句も言っていられない。豪雨と強風の中の野営だが、隊員たちは楽しく過ごす工夫をしていた。天気や運に恵まれないからと言って、気持ちまで湿っぽくなっては気力が続かない。
「通らば…リーチ」
「残念、ロン。メンホン、役牌、ドラ3」
テントの1つでは顔なじみの隊員たちが麻雀に興じていた。この当たりでついに箱を割ってしまった三曹が「あちゃあ」と目頭を押さえる。
「やっぱりこういう日はカンも鈍るなあ」
「それ言えてるかもな。さっきから配牌はいいのにうまく手が入らない気がする」
牌をかき回しながら若い士長がぼやくのに、古参の一曹が相手をする。
「うん?」
その時、一曹はテントの外を何かが横切るのを見た。だが、あまりに早すぎてなにかはわからなかった。人間にしては早すぎる。野良犬だろうか。
「ちょっと便所に」
三曹はそう言ってビニール傘を手に立ち上がる。任務中は雨具をつけるが、野営で非番の時は傘の方がはるかに便利なのだ。
野営、得に悪天候の場合ほど、用足しは頻繁に行うのが望ましい。便所の行くのがめんどくさいからとうかつに我慢すると、野営や悪天候のストレスとも相まって思わぬ体調不良や病気につながりかねないのだ。
「遅いな」
しばらくして、一曹が腕時計に目を落とす。三曹が便所に立ってからすでに20分が過ぎている。
「トイレの中でスマホでもいじって…っと、今はスマホは不通か…」
士長は自分の推測が的外れなことに気づく。スマホが普及してから、自衛隊員にも非番の時はスマホで暇をつぶす者が増えている。だが、今は通信障害でスマホはただの金属の箱と化している。だから顔見知り同士集まってトランプや麻雀、ボードゲームなどに興じているのだ。
「様子見てきます」
嫌な予感を覚えた士長は、支給品のフラッシュライトをポケットに入れ、傘をつかんでテントの外に出る。
最寄りの野外便所まではさほど遠くない。野外便所の前に、どういうわけか開いたままの傘が落ちていた。念のため3つ並んだ便所の中を調べて見る。誰もいない。
「どういうことだ?」
いよいよ嫌な予感が強くなる。士長はフラッシュライトを取り出して、当たりを照らしてみる。
「なんだよこれ…!?」
照らし出された砂地には、明らかに人間のものではない、なにかの足跡と、なにか重いものを引きずったような跡が前方の林まで続いていた。
士長は直感した。引きずられていったものは、三曹であると。早く上に報告して対策を取らなければならない。元来た道を引き返すのはやめて、一目散に司令部に向けて走った。
「1900。チェックポイントC異常なし」
野営地の外周では、パジェロこと73式小型トラックが置かれ、歩哨が2人1組で配置されていた。助手席の三曹が定時連絡を入れる。
何が起きるかわからない状況を鑑みて、交替で歩哨を立てることが決定されたものの、この雨風の中で生身で立ち番というのは酷だし危険と判断された。結局、車両の中で周囲を警戒することとしたのだ。雨のせいで窓の外が見えにくいが、まあこの天候では外にいても同じだろう。
それに、周辺には高性能のセンサーが敷設されている。理論上嵐の中だろうが灼熱の砂漠の中だろうが、生物の赤外線の反応を見逃すことはない。雨が降りしきる暗闇の中では、人間よりよほど頼りになるはずだった。
「お疲れ、変わるよ」
窓がノックされ、交代要員の2名が声をかけてくる。
「ああ、じゃあ後よろしく」
三曹はクリップボードに名前と時間を書き込むと、トラックを出て自分たちのテントに向けて歩き出す。ゴアテックスの雨具を上下にまとっているとは言え、吹き付ける横殴りの雨は冷たい。
「しかし、歩哨に立つなら武器なしじゃ心細いなあ」
「ま、仕方ないでしょう。何が起きるかわからないって言っても、敵がいるって決まったわけじゃないんですからね」
愚痴っぽくなる相棒の二曹に三曹はため息交じりに答える。
周辺諸国の軍事力が脅威になっているお陰で昔よりはましとは言え、自衛隊に対する国民の目は依然として厳しい。
撃たれるまでは撃ってはならないという専守防衛の思想のもとでは、実弾武装することそのものが例外中の例外として扱われる。「敵がいるかも知れないが、いるという確かな証拠がない」状況においては、実弾を装填した武器を携行する許可が下りなかったのだ。
「あ、しまった。V8を置き忘れてきた」
腰のポーチが妙に軽いことに気づいてポーチに手をやった三曹は、暗視鏡をトラックに置き忘れてきたことに気づいた。
「なにやってんだよ」
「先に帰って下さい。取りに戻ります」
三曹は二曹を先に行かせ、元来た道を戻った。
「?」
途中、妙なものに気づいた。置き忘れてきたはずの暗視鏡が砂の上にぽつんと落ちていたのだ。振られているナンバーを確認すると、確かに自分のものだ。なぜこんなところに?途中で落とした記憶はない。確かにトラックの中に置いてきたのだ。
周辺を見回して、三曹は妙なことに気づく。トラックから暗視鏡が落ちている位置までは半長靴の足跡が続いているのに、そこからぷっつりと足跡が途絶えているのだ。移動した後がない。まるで空を飛んでいったかのように消えている。
一瞬誰か悪ふざけをしているのかと思った。自分の足跡を踏んで後ろ向きに戻った可能性も考えた。だが、訓練で習った記憶が確かなら、後ろ向きに移動した場合はかかとに不自然に体重がかかるので一目でわかるはずだ。目の前にある足跡は、間違いなく普通に前に歩いたものだった。
いよいよきな臭いものを感じた三曹は、小走りにトラックに駆け寄る。
中には誰もいない。ドアに鍵はかかっておらず、キーもついたままだった。後部座席をのぞき込んでみるが、やはり誰もいなかった。
「C172よりC191へ。現在地知らせ。送れ」
携帯無線で呼びかけてみるが応答はない。
「C172よりC192へ。現在地知らせ。送れ!」
もう一人を呼んでみたが、やはり応答はない。
トラックの周りを調べて見る。よく見ると、もう一人分の足跡が先ほど暗視鏡が落ちていた方向に向かって伸びている。だが、やはり数メートル進んだところで忽然と足跡が途絶えている。
三曹の脳裏に浮かんだのは、人間を狩る異星人が特殊部隊を恐怖に陥れる映画だった。
「大変だ…」
三曹は恐怖に駆られてトラックに乗り込み、ドアをロックする。ロックしてから、もし後部座席になにか潜んでいたらという可能性に気づいて慌てて後部座席を見渡すが、幸いにして取り越し苦労だったらしい。
「チェックポイントCより司令部へ!緊急事態です。歩哨2名が行方不明です!」
『司令部了解。その場で待っていてくれ。人を寄越す。気をつけろ』
三曹は、司令部も自分と同じように想定外の事態に困惑するのではないかと心配したが、以外にも司令部の対応は冷静で迅速だった。
早く来てくれ。三曹は生きた心地がしないまま、応援が到着するのを待った。
07
「行方不明者は全部で4名か。一体どうなっているんだ?」
池田は今の状況を説明する言葉を見つけられなかった。
全部隊を動員して行方不明になった隊員を探したが、結局23時になっても痕跡すら見つけられなかった。
「まさか、人間に寄生する宇宙生物とか、人間を狩る異星人なんて話はないよな」
「馬鹿言え。だが、じゃあ何が起きてるのかとなると…」
隊員たちは恐怖と疑惑のゆりかごの中だった。一歩間違えば行方不明になっていたのは自分たちかも知れないし、これからそうなる可能性だって充分にある。
「池田隊長、役場の方が話があると」
幕僚の一人が、まだ若い女性の役場職員を伴って池田に声をかけてくる。
「役場に勤務している坂本と申します」
「この部隊の指揮を取っています池田です」
頭を下げる坂本に、池田は敬礼して答える。
「お話しすべきかどうか迷ったんですが…。実は日が落ちてすぐ、なにかが砂州を歩いて行くのが見えたんです。向こうの島に向かって行きました」
「何かとは?」
手短に切り出す坂本に、池田は困惑して聞き返した。
「わかりません、暗い上に遠かったもので。ただ、人を引きずっているように見えました。暗くて良く見えなかったけど、緑の服を着てヘルメットをかぶっていたように見えたんです。
もしかすると自衛隊の方かも知れないと思って…」
池田は頭を抱える気分だった。
普段の自分なら、こんな話は笑い飛ばしただろうが、今なら信じられる。何もない海に突然巨大な島が出現するという突拍子もない事態だけでも、今まで信じてきた常識を否定されるのに充分だ。それに加えて、自衛隊員に行方不明者が出始めたという状況だ。
行方不明の隊員は、向こうの島から来た何かに連れ去られた可能性が高い。考えたくはないが、野生動物だと仮定するなら捕食されたと見るべきか。
「坂本さん、覚えている限りでいいんですが、どんなやつだったか思い出せませんか?」
「それはだいたい推測が立ってきました」
後ろから割り込んだ言葉に、池田と坂本が振り向くと、そこにいたのは諏訪部だった。
「なんというか、どうやらとんでもないやつらが敵なったようです」
そう言ってデジカメを見せる諏訪部の表情が、微妙に興奮しているように池田には見えた。気のせいではない池田は直感していた。
「足跡の数が少なかったんで苦労しましたが、間違いありません」
司令部に戻った諏訪部はずぶ濡れの雨具を脱ぐこともせず、デジカメのメモリをパソコンに挿入した。
「これは…」
諏訪部がパソコンの画面に呼び出した映像に、池田を含む司令部の全員が目を疑った。その足跡は、二本の長く頑丈な指を持ち、かかとを地に着けていない。
誰もが、すぐにはこの足跡の主を想像できなかった。現代に存在するいかなる野生動物にも似ていない。
「強いて言うなら…巨大な鳥か?」
池田は、足跡の側に置かれた百円玉と比較してそう推測する。ニワトリの足跡はせいぜい大きいものでも4,5センチだ。だがこの足跡は15センチはあるように見える。単純計算するなら、全長にして2メートル、体重30キロ以上ある鳥ということになってしまう。
「当たらずとも遠からずです。
坂を上った時の足跡で、足全体の形が判明しました。恐らく普段は一番内側の指を地面につけずに、坂を上ったり重いものを引きずる時に地面に食い込ませることで滑ることを防いでいたんでしょう」
諏訪部は海岸の坂に残っていた足跡の写真を呼び出す。そこには確かに三本の指を地に着けた足跡が残っていた。だが…。
「これは…内側の指に長いかぎ爪があることになるな…」
「ええ、イメージとしてはこんな感じでしょうか」
諏訪部はコピー用紙に鉛筆で推測される足の形を描いていく。大まかな形は現代の鳥に似ているが、内側の指に長くごついかぎ爪を持つ想像図が書き上がった。
池田は痕跡から物事を推測するのがあまり得意ではなかったが、諏訪部の描いた想像図はピンと来た。
「つまり、行方不明の4名は6500万年前に滅んだはずの生物によってさらわれたと。そういうわけだな、二尉?」
「おっしゃるとおりです。こいつはドロマエオサウルス類。
二足歩行の俊敏でどう猛な殺し屋です」
諏訪部はにやりと笑いながら返答した。
仲間が、恐らくは捕食されている状況で笑うのは不謹慎とは思いながらも、自然と笑顔にならずにはいられなかったのだ。
もし、足跡から推測される姿どおりの存在であれば、非常に自分たち自衛隊に、そして石城島の住民たちにとって危険な存在と言うことになる。それはわかる。
だが、理由はわからないが、6500万年前に絶滅した恐竜が時を越えて21世紀に現れた。その事実に、内側からわき上がる興奮を抑えられなかったのだ。
「回収できないとはどういうことです!?」
陸上自衛隊混成部隊司令部のあるテントの中に響いた大きな声に、誰もがぎょっとして視線を声の主である池田に注ぐ。
『申し訳ないが、低気圧が収まるまで収容作業は無理だ。本艦は低気圧を避けて北に退避させてもらう』
強襲揚陸艦“ワスプ”の艦長の重々しい声が、事態の深刻さを物語っていた。
なんでも、エアクッション揚陸艇をウェルドックに収容する際に事故があったらしい。幸いけが人は出なかったが、揚陸艇を修理しなければならない。波で揺れていては修理どころではなく、修理のためには低気圧から離れる必要があるのだという。
『修理が完了次第君たちの回収を開始する。
すまんが今夜は野営していてくれ。連絡を絶やすな』
「わかりました。待っています」
池田は渋々無線を切った。
「バスは行ってしまいましたか」
「ま、仕方なかろうさ。“ワスプ”に万一のことがあったら、1000人以上の将兵が危険にさらされる」
無線のやりとりを聞いていた幕僚の一人の言葉に、池田は建前論で答えるしかなかった。
再び強くなり始めた低気圧は、いよいよ船にとっては危険なレベルになり始めている。指揮官であれば、間違いなく退避を選択するだろう。
それに、いち早く撤収を始めた海兵隊と一緒に回収されていれば、ここまで天候が悪化する前に撤収することができていた。突然出現した謎の島のことを可能な限り調査するように総監部から指示があったとはいえ、撤収の機会を逸したのは陸自がわの責任と言えた。
「やむを得ん、残存する隊員に野営の準備をさせてくれ。暗くなり始める前にな」
野営というのは準備に時間がかかるものだ。テントを張り、水はけのための溝を掘り、食事の準備をしとやっている間に時間はすぐに過ぎてしまう。暗くなり始めてからでは遅いのだ。
「池田三佐。具申します。
このお天気ですが、交替で歩哨を立てた方がいいかと思います」
諏訪部の意見具申に、司令部の空気が一瞬緊張する。
「しかし、なにを警戒する?敵が襲ってくる可能性があると思うのかね?」
「いえ、念のためです。あちらの島に危険な野生動物がいる可能性はゼロじゃありません。それに、夜の間も何か変わったことがないか警戒するに越したことはないかと」
司令部に詰めている幹部たちは互いに顔を見合わせる。
大げさではないかと思う一方、もし危険な生物が島に生息していたら寝込みを襲われることになりかねない。それもぞっとしない話だ。
「わかった。2時間交替で歩哨に立たせよう。
諏訪部二尉、人選は任せていいか?」
「は。早速かかります」
そう言って諏訪部は司令部を後にする。
西普連の隊員はみんなああいうふうに警戒心が強いのか?あるいは諏訪部という人間の性格なのか?
諏訪部の背中を見送った池田はそんなことをふと考えていた。
かくして、陸自の混成部隊120名は豪雨と強風の中の野営を余儀なくされたのであった。
ところ変わってこちらは島の外れにある民宿。
天文学研究所の調査チームは、雨風がひどくなったことで観測を中断して滞在先である民宿に舞い戻っていた。
「おかえり。どうだった?」
「だめですね。向こうの島に続く砂州は駐在さんと役場の職員たちが封鎖してます。状況がはっきりするまで誰も入れるわけには行かないって」
桑島はバスタオルで髪をぬぐい、ずぶ濡れの靴下を脱ぎながら主任研究員に報告する。
「水も滴るいい女」などとは言うが、実際にずぶ濡れになった女に色気を感じるのは難しい。主任研究員は思う。昔のコントでよくあった、上から突然水が降ってきて出演者がずぶ濡れになるオチを想起させる。桑島は多少童顔ながらも美人と言って差し支えない容姿だが、理系の研究者の常で、おしゃれや身体の手入れにあまり頓着しないからなおのことだ。
石城島のすぐ西に突然巨大な謎の島が出現したという事実は、たちまち島中の知るところとなった。
調査チームは、島の出現と同時にそれまで観測されていた正体不明の電磁波が突然止んだことを受けて、島の出現と電磁波にはなにか関係があると断定していた。
謎の島に行くことができれば何かわかるかも知れないと、再び雨風が強まる中島の西側に車で行ってみた。満潮の時でない限り、こちらとあちらの島は砂州で地続きになっているという噂を聞いたからだ。が、砂州に至る道は駐在と役場職員によって封鎖されていたのだ。何があるかわからない島に行かせるわけにはいかないという彼らの言い分はもっともで、桑島たちは引き返して来るしかなかったのだった。
「船はやはりでないんですか?」
「ああ、このお天気では出すわけにはいかないってさ。まあ当然の話か」
ため息交じりの主任研究員の返答に、桑島も嘆息する。
現在この島で受信できる情報は有線によるものだけで、民宿のパソコンを借りて天気を調べた。奇妙なことに、強烈な低気圧に覆われているのはこの石城島だけで、沖縄全体は雨が降っていないどころか晴れている場所さえあるとのことだ。
こうなった以上この島での調査を中止して場所を変えることも検討されたが、この天気で船が出ないとなってはそれも無理だ。
「やはりこの天候も島が現れたことと関係があるのかな?」
「それはわかりませんが、なにか悪いことが起こらないのを祈るばかりです」
桑島の口を突いて、そんな言葉が出ていた。
現実は映画や漫画とは違うのはわかっている。だが、超常現象と言っていいことが起きているのは、なにかとんでもないことが起きる前触れのように思えた。なにか根拠があるわけではないが、桑島は嫌な予感を感じずにはいられなかったのだ。
「とにかく、どうせ島から出られないんだ。
電磁波の観測は継続しよう。今は途絶えているが、また電磁波が観測されないとも限らんしな」
主任研究員は、桑島の不吉な言葉に被せるように言う。
ニュートリノの観測のためにこの島に来たはずが、原因不明の通信障害や電子機器の異常に見舞われて観測どころではなくなった。おまけに悪天候で島から出ることさえできない。
だが、電磁波の観測を継続していれば、少なくとも何かをしていることにはなる。不吉な予感を忘れるためには、仕事をしているのが一番だ。
主任研究員の言葉に、調査チームはアンテナの敷設と機材の準備に取りかかる。
口にこそ出さないが、調査チームの全員が大なり小なり不吉な予感を抱いていたのである。
06
決定に時間がかかるが、いざ決定が下った後は行動が早い。陸自はそういう組織だ。
“ワスプ”が自分たちの回収を断念して沖合に退避したという知らせを受けた隊員たちはあからさまにではないにせよ嫌な顔をした。
だが、野営の準備を急がなければ雨ざらしのまま夜を迎えることになるだけだ。
今まで死ぬほど行って来た訓練を思い出しながら、隊員たちはテントを張り、溝を掘って寝る場所を作っていく。
速度が要求される離島防衛訓練では、異動の邪魔にならないように最低限の装備での行動が要求される。
通常の訓練では用意される野外炊事や野外入浴用の機材は今回は準備されていない。できたての食事を食べたくとも用意してあるのは戦闘糧食だけ。身体が冷たくなっているのに風呂にさえ入れない。
隊員たちの疲労は蓄積していたが、任務中である以上は文句も言っていられない。豪雨と強風の中の野営だが、隊員たちは楽しく過ごす工夫をしていた。天気や運に恵まれないからと言って、気持ちまで湿っぽくなっては気力が続かない。
「通らば…リーチ」
「残念、ロン。メンホン、役牌、ドラ3」
テントの1つでは顔なじみの隊員たちが麻雀に興じていた。この当たりでついに箱を割ってしまった三曹が「あちゃあ」と目頭を押さえる。
「やっぱりこういう日はカンも鈍るなあ」
「それ言えてるかもな。さっきから配牌はいいのにうまく手が入らない気がする」
牌をかき回しながら若い士長がぼやくのに、古参の一曹が相手をする。
「うん?」
その時、一曹はテントの外を何かが横切るのを見た。だが、あまりに早すぎてなにかはわからなかった。人間にしては早すぎる。野良犬だろうか。
「ちょっと便所に」
三曹はそう言ってビニール傘を手に立ち上がる。任務中は雨具をつけるが、野営で非番の時は傘の方がはるかに便利なのだ。
野営、得に悪天候の場合ほど、用足しは頻繁に行うのが望ましい。便所の行くのがめんどくさいからとうかつに我慢すると、野営や悪天候のストレスとも相まって思わぬ体調不良や病気につながりかねないのだ。
「遅いな」
しばらくして、一曹が腕時計に目を落とす。三曹が便所に立ってからすでに20分が過ぎている。
「トイレの中でスマホでもいじって…っと、今はスマホは不通か…」
士長は自分の推測が的外れなことに気づく。スマホが普及してから、自衛隊員にも非番の時はスマホで暇をつぶす者が増えている。だが、今は通信障害でスマホはただの金属の箱と化している。だから顔見知り同士集まってトランプや麻雀、ボードゲームなどに興じているのだ。
「様子見てきます」
嫌な予感を覚えた士長は、支給品のフラッシュライトをポケットに入れ、傘をつかんでテントの外に出る。
最寄りの野外便所まではさほど遠くない。野外便所の前に、どういうわけか開いたままの傘が落ちていた。念のため3つ並んだ便所の中を調べて見る。誰もいない。
「どういうことだ?」
いよいよ嫌な予感が強くなる。士長はフラッシュライトを取り出して、当たりを照らしてみる。
「なんだよこれ…!?」
照らし出された砂地には、明らかに人間のものではない、なにかの足跡と、なにか重いものを引きずったような跡が前方の林まで続いていた。
士長は直感した。引きずられていったものは、三曹であると。早く上に報告して対策を取らなければならない。元来た道を引き返すのはやめて、一目散に司令部に向けて走った。
「1900。チェックポイントC異常なし」
野営地の外周では、パジェロこと73式小型トラックが置かれ、歩哨が2人1組で配置されていた。助手席の三曹が定時連絡を入れる。
何が起きるかわからない状況を鑑みて、交替で歩哨を立てることが決定されたものの、この雨風の中で生身で立ち番というのは酷だし危険と判断された。結局、車両の中で周囲を警戒することとしたのだ。雨のせいで窓の外が見えにくいが、まあこの天候では外にいても同じだろう。
それに、周辺には高性能のセンサーが敷設されている。理論上嵐の中だろうが灼熱の砂漠の中だろうが、生物の赤外線の反応を見逃すことはない。雨が降りしきる暗闇の中では、人間よりよほど頼りになるはずだった。
「お疲れ、変わるよ」
窓がノックされ、交代要員の2名が声をかけてくる。
「ああ、じゃあ後よろしく」
三曹はクリップボードに名前と時間を書き込むと、トラックを出て自分たちのテントに向けて歩き出す。ゴアテックスの雨具を上下にまとっているとは言え、吹き付ける横殴りの雨は冷たい。
「しかし、歩哨に立つなら武器なしじゃ心細いなあ」
「ま、仕方ないでしょう。何が起きるかわからないって言っても、敵がいるって決まったわけじゃないんですからね」
愚痴っぽくなる相棒の二曹に三曹はため息交じりに答える。
周辺諸国の軍事力が脅威になっているお陰で昔よりはましとは言え、自衛隊に対する国民の目は依然として厳しい。
撃たれるまでは撃ってはならないという専守防衛の思想のもとでは、実弾武装することそのものが例外中の例外として扱われる。「敵がいるかも知れないが、いるという確かな証拠がない」状況においては、実弾を装填した武器を携行する許可が下りなかったのだ。
「あ、しまった。V8を置き忘れてきた」
腰のポーチが妙に軽いことに気づいてポーチに手をやった三曹は、暗視鏡をトラックに置き忘れてきたことに気づいた。
「なにやってんだよ」
「先に帰って下さい。取りに戻ります」
三曹は二曹を先に行かせ、元来た道を戻った。
「?」
途中、妙なものに気づいた。置き忘れてきたはずの暗視鏡が砂の上にぽつんと落ちていたのだ。振られているナンバーを確認すると、確かに自分のものだ。なぜこんなところに?途中で落とした記憶はない。確かにトラックの中に置いてきたのだ。
周辺を見回して、三曹は妙なことに気づく。トラックから暗視鏡が落ちている位置までは半長靴の足跡が続いているのに、そこからぷっつりと足跡が途絶えているのだ。移動した後がない。まるで空を飛んでいったかのように消えている。
一瞬誰か悪ふざけをしているのかと思った。自分の足跡を踏んで後ろ向きに戻った可能性も考えた。だが、訓練で習った記憶が確かなら、後ろ向きに移動した場合はかかとに不自然に体重がかかるので一目でわかるはずだ。目の前にある足跡は、間違いなく普通に前に歩いたものだった。
いよいよきな臭いものを感じた三曹は、小走りにトラックに駆け寄る。
中には誰もいない。ドアに鍵はかかっておらず、キーもついたままだった。後部座席をのぞき込んでみるが、やはり誰もいなかった。
「C172よりC191へ。現在地知らせ。送れ」
携帯無線で呼びかけてみるが応答はない。
「C172よりC192へ。現在地知らせ。送れ!」
もう一人を呼んでみたが、やはり応答はない。
トラックの周りを調べて見る。よく見ると、もう一人分の足跡が先ほど暗視鏡が落ちていた方向に向かって伸びている。だが、やはり数メートル進んだところで忽然と足跡が途絶えている。
三曹の脳裏に浮かんだのは、人間を狩る異星人が特殊部隊を恐怖に陥れる映画だった。
「大変だ…」
三曹は恐怖に駆られてトラックに乗り込み、ドアをロックする。ロックしてから、もし後部座席になにか潜んでいたらという可能性に気づいて慌てて後部座席を見渡すが、幸いにして取り越し苦労だったらしい。
「チェックポイントCより司令部へ!緊急事態です。歩哨2名が行方不明です!」
『司令部了解。その場で待っていてくれ。人を寄越す。気をつけろ』
三曹は、司令部も自分と同じように想定外の事態に困惑するのではないかと心配したが、以外にも司令部の対応は冷静で迅速だった。
早く来てくれ。三曹は生きた心地がしないまま、応援が到着するのを待った。
07
「行方不明者は全部で4名か。一体どうなっているんだ?」
池田は今の状況を説明する言葉を見つけられなかった。
全部隊を動員して行方不明になった隊員を探したが、結局23時になっても痕跡すら見つけられなかった。
「まさか、人間に寄生する宇宙生物とか、人間を狩る異星人なんて話はないよな」
「馬鹿言え。だが、じゃあ何が起きてるのかとなると…」
隊員たちは恐怖と疑惑のゆりかごの中だった。一歩間違えば行方不明になっていたのは自分たちかも知れないし、これからそうなる可能性だって充分にある。
「池田隊長、役場の方が話があると」
幕僚の一人が、まだ若い女性の役場職員を伴って池田に声をかけてくる。
「役場に勤務している坂本と申します」
「この部隊の指揮を取っています池田です」
頭を下げる坂本に、池田は敬礼して答える。
「お話しすべきかどうか迷ったんですが…。実は日が落ちてすぐ、なにかが砂州を歩いて行くのが見えたんです。向こうの島に向かって行きました」
「何かとは?」
手短に切り出す坂本に、池田は困惑して聞き返した。
「わかりません、暗い上に遠かったもので。ただ、人を引きずっているように見えました。暗くて良く見えなかったけど、緑の服を着てヘルメットをかぶっていたように見えたんです。
もしかすると自衛隊の方かも知れないと思って…」
池田は頭を抱える気分だった。
普段の自分なら、こんな話は笑い飛ばしただろうが、今なら信じられる。何もない海に突然巨大な島が出現するという突拍子もない事態だけでも、今まで信じてきた常識を否定されるのに充分だ。それに加えて、自衛隊員に行方不明者が出始めたという状況だ。
行方不明の隊員は、向こうの島から来た何かに連れ去られた可能性が高い。考えたくはないが、野生動物だと仮定するなら捕食されたと見るべきか。
「坂本さん、覚えている限りでいいんですが、どんなやつだったか思い出せませんか?」
「それはだいたい推測が立ってきました」
後ろから割り込んだ言葉に、池田と坂本が振り向くと、そこにいたのは諏訪部だった。
「なんというか、どうやらとんでもないやつらが敵なったようです」
そう言ってデジカメを見せる諏訪部の表情が、微妙に興奮しているように池田には見えた。気のせいではない池田は直感していた。
「足跡の数が少なかったんで苦労しましたが、間違いありません」
司令部に戻った諏訪部はずぶ濡れの雨具を脱ぐこともせず、デジカメのメモリをパソコンに挿入した。
「これは…」
諏訪部がパソコンの画面に呼び出した映像に、池田を含む司令部の全員が目を疑った。その足跡は、二本の長く頑丈な指を持ち、かかとを地に着けていない。
誰もが、すぐにはこの足跡の主を想像できなかった。現代に存在するいかなる野生動物にも似ていない。
「強いて言うなら…巨大な鳥か?」
池田は、足跡の側に置かれた百円玉と比較してそう推測する。ニワトリの足跡はせいぜい大きいものでも4,5センチだ。だがこの足跡は15センチはあるように見える。単純計算するなら、全長にして2メートル、体重30キロ以上ある鳥ということになってしまう。
「当たらずとも遠からずです。
坂を上った時の足跡で、足全体の形が判明しました。恐らく普段は一番内側の指を地面につけずに、坂を上ったり重いものを引きずる時に地面に食い込ませることで滑ることを防いでいたんでしょう」
諏訪部は海岸の坂に残っていた足跡の写真を呼び出す。そこには確かに三本の指を地に着けた足跡が残っていた。だが…。
「これは…内側の指に長いかぎ爪があることになるな…」
「ええ、イメージとしてはこんな感じでしょうか」
諏訪部はコピー用紙に鉛筆で推測される足の形を描いていく。大まかな形は現代の鳥に似ているが、内側の指に長くごついかぎ爪を持つ想像図が書き上がった。
池田は痕跡から物事を推測するのがあまり得意ではなかったが、諏訪部の描いた想像図はピンと来た。
「つまり、行方不明の4名は6500万年前に滅んだはずの生物によってさらわれたと。そういうわけだな、二尉?」
「おっしゃるとおりです。こいつはドロマエオサウルス類。
二足歩行の俊敏でどう猛な殺し屋です」
諏訪部はにやりと笑いながら返答した。
仲間が、恐らくは捕食されている状況で笑うのは不謹慎とは思いながらも、自然と笑顔にならずにはいられなかったのだ。
もし、足跡から推測される姿どおりの存在であれば、非常に自分たち自衛隊に、そして石城島の住民たちにとって危険な存在と言うことになる。それはわかる。
だが、理由はわからないが、6500万年前に絶滅した恐竜が時を越えて21世紀に現れた。その事実に、内側からわき上がる興奮を抑えられなかったのだ。
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