上 下
2 / 2

上には上がいる

しおりを挟む
 俺は殺し屋のKだ。殺し屋界隈ではそこそこ腕の立つ男だって有名だ。

 殺しを初めてやったのは15歳のとき。相手は親父だ。俺は親父に虐待されてたんだ。だから家にあった護身用の銃で親父の頭をぶち抜いてやった。

 それ以来、俺は10年以上殺し屋を続けている。

 ところで、俺はついさっき初めて殺しに失敗した。相手は俺と同じ凄腕の殺し屋のLだった。壮絶な撃ち合いの末に俺は負けた。

 上には上がいるということを自分の死という代償を払って思い知らされた。

 そして、俺は今、天国にいる?ようだ。雲の上でふわふわと浮遊している。体は半透明で拳銃で撃たれたところから血が流れているままだ。

 さらに、周りを見渡してみると、半透明な人間が大勢いる。おそらく自分と同じく死んで天国にいる人間だろう。

「おや?」
俺は目を疑った。その中に俺がかつて殺した殺し屋のMがいた。俺が撃った頭から血を流している。

 俺は勇気を出して話しかけてみることにした。

「おい、M、俺のことを覚えているか?」
「Kじゃないか、久しぶりだな」
Mは意外にも愛想よく接してくれた。

「お前には勝てなかったよK。でもここに来たってことはお前さんも死んだのかい?」

「ああ、そうだよ。上には上がいるってことだ」
「なるほどな。過去のことは水に流そう。ほら、仲直りの握手だ」

 いつもの俺なら握手は絶対にしない。相手が何を隠し持っているかわからないからだ。

しかし、ここは天国だ。もう死んでいるのなら関係はない。

「わかったよ」
俺は手を差し出した。次の瞬間、目の前が真っ暗になった。

--------------------------------------

 数時間が経過して俺は目を覚ました。そして、自分の身に起こったことを察した。

 俺はMに殺された。ここでわかったことがひとつ。

 雲の上は広い。俺は今、さっきの天国よりも高い場所にいる。


 上には上がいる。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

膝上の彼女

B
恋愛
極限状態で可愛い女の子に膝の上で…

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...