44 / 44
15.元魔王、旧知の仲と出会う【後編】
しおりを挟む
「そういうことであったか」
「……つまり勘違い?」
「であるな」
「むぅ……」
シュンとするウルガルム。
それに身体が丸まって小さくなるが、それでもなお我と魔女娘よりも大きい。
まあなんにせよ、そのおかげでウルガルムと会うことが出来たのだ。
それは伝えねばな。
「しかしそれでウルガルムに会えたのだ。我は嬉しいぞ」
「そう言っていただけると助かります」
「マナも済まんな」
「……ううん、マオくんが配下の人と会えてよかった」
さて、なんだか不思議な集まりとなったが、これで情報共有は終了だ。
あとはこのあとどうするかだが……。
「ウルガルムよ。この後は城に戻って、あちらの我に報告か?」
「そうなりますね。どう説明をするかが悩みどころですが」
まあ確かに。未来からきたもう一人の我とか訳わからないし。
そうなると我が姿を見せたほうが早いか。
「それならば我も連れて行くと良い。見たほうが早いだろう」
「良いのですか?」
「ああ、少々気になることもあるのでな」
「先程の件ですか」
「そうだ」
「でしたらお連れします」
魔法の話を魔女娘とする予定だったから、一応断っておかねばな。
「そういうことだ。マナ、済まないが……」
そう思ったのだが……。
振り向いた先で、魔女娘は目を輝かせていた。魔王だとバレた時と同じ目である。
「……私も連れてって! 玉座の間にある過去改変魔法の魔法陣をぜひ見てみたい」
本当に魔法が絡むと一直線な魔女娘である。
◇◆◇
場所は変わり魔王城。
玉座の間の扉を隔てた廊下で待機中である。
今は玉座の間でウルガルムが昔の我……魔王に先程の話を説明している。
もう少しで自分と対面することになると思うと不思議な気分である。
「……同族訪問の魔法。あんなのもあるんだ」
「あれは種族固有魔法みたいなものだからね。人が使うのは無理だよ」
「……残念。そういえばマオくんは転移魔法使えないんだね」
ある意味で使えないというのは間違っていないな。
「必要がなかったから。さっき話したように魔王時代は魔王城に縛り付けられてたから、魔法を開発しても使いどころがなかったし」
「……なるほど。でも、それなら今は覚えるのはあり?」
「確かにありかもしれない。ちょっと今考えてみる」
「……今?」
「ヒントはあるからね。これとか」
「……ギルドカード?」
一応ギルドカードの転送魔法陣を見ているので、ある程度の下地はあるからな。
「うん。それで転送魔法の魔法陣を構築術式に戻して、場所移動の理論は理解したから」
「……そんなことできるんだ」
「数千年の間、魔法を研究してようやくだったけどね」
「……私には真似できなそう」
「いや、マナはそんなことしなくても加護で他の人の魔法覚えられるし。正直羨ましいよ」
「……それなら私が魔法を覚えて、構築術式をマオくんに教える。マオくんはそれで魔法を開発」
なるほど。そんな素晴らしいことが。
「それは夢が広がるね。……そうだ、転移先の情報はウルガルムの眷族訪問の魔法を参考にしてみるのもありかも知れない」
「……おお」
久しぶりの魔法開発に胸を躍らせていると、ようやっと扉が開いた。
「これが終わったら聞いてみよう」
さて、いよいよ昔の自分と対面であるな。
「……つまり勘違い?」
「であるな」
「むぅ……」
シュンとするウルガルム。
それに身体が丸まって小さくなるが、それでもなお我と魔女娘よりも大きい。
まあなんにせよ、そのおかげでウルガルムと会うことが出来たのだ。
それは伝えねばな。
「しかしそれでウルガルムに会えたのだ。我は嬉しいぞ」
「そう言っていただけると助かります」
「マナも済まんな」
「……ううん、マオくんが配下の人と会えてよかった」
さて、なんだか不思議な集まりとなったが、これで情報共有は終了だ。
あとはこのあとどうするかだが……。
「ウルガルムよ。この後は城に戻って、あちらの我に報告か?」
「そうなりますね。どう説明をするかが悩みどころですが」
まあ確かに。未来からきたもう一人の我とか訳わからないし。
そうなると我が姿を見せたほうが早いか。
「それならば我も連れて行くと良い。見たほうが早いだろう」
「良いのですか?」
「ああ、少々気になることもあるのでな」
「先程の件ですか」
「そうだ」
「でしたらお連れします」
魔法の話を魔女娘とする予定だったから、一応断っておかねばな。
「そういうことだ。マナ、済まないが……」
そう思ったのだが……。
振り向いた先で、魔女娘は目を輝かせていた。魔王だとバレた時と同じ目である。
「……私も連れてって! 玉座の間にある過去改変魔法の魔法陣をぜひ見てみたい」
本当に魔法が絡むと一直線な魔女娘である。
◇◆◇
場所は変わり魔王城。
玉座の間の扉を隔てた廊下で待機中である。
今は玉座の間でウルガルムが昔の我……魔王に先程の話を説明している。
もう少しで自分と対面することになると思うと不思議な気分である。
「……同族訪問の魔法。あんなのもあるんだ」
「あれは種族固有魔法みたいなものだからね。人が使うのは無理だよ」
「……残念。そういえばマオくんは転移魔法使えないんだね」
ある意味で使えないというのは間違っていないな。
「必要がなかったから。さっき話したように魔王時代は魔王城に縛り付けられてたから、魔法を開発しても使いどころがなかったし」
「……なるほど。でも、それなら今は覚えるのはあり?」
「確かにありかもしれない。ちょっと今考えてみる」
「……今?」
「ヒントはあるからね。これとか」
「……ギルドカード?」
一応ギルドカードの転送魔法陣を見ているので、ある程度の下地はあるからな。
「うん。それで転送魔法の魔法陣を構築術式に戻して、場所移動の理論は理解したから」
「……そんなことできるんだ」
「数千年の間、魔法を研究してようやくだったけどね」
「……私には真似できなそう」
「いや、マナはそんなことしなくても加護で他の人の魔法覚えられるし。正直羨ましいよ」
「……それなら私が魔法を覚えて、構築術式をマオくんに教える。マオくんはそれで魔法を開発」
なるほど。そんな素晴らしいことが。
「それは夢が広がるね。……そうだ、転移先の情報はウルガルムの眷族訪問の魔法を参考にしてみるのもありかも知れない」
「……おお」
久しぶりの魔法開発に胸を躍らせていると、ようやっと扉が開いた。
「これが終わったら聞いてみよう」
さて、いよいよ昔の自分と対面であるな。
0
お気に入りに追加
35
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
聖剣に知能を与えたら大変なことになった
トンボ
ファンタジー
魔術師の男、ニコラリーがひょんなことから聖剣に『知能』を与えてしまった! 結果、聖剣に自我が芽生え、挙げ句の果てには巫女装束の銀髪少女となり、ニコラリーと共に生活することになった。少女の姿といえど、彼女は聖剣。そのチート級の強さを目の当たりにしたニコラリーは、諦めかけていた国一番の魔術師になるという夢のため、聖剣に弟子入りすることにした。しかし、
「主殿! 大根を20本ぐらい刻んでおいたぞ!」
「やめろ」
「主殿! 我の持つ最高の切れ味で散髪してやろう!」
「やめろ! ハゲる!」
「主殿! ここらへんの雑草を森ごと伐採してやろう!」
「やめろ!!」
「主殿! ドラゴンが食べたくはないか? 斬ってきてやろう!」
「や! め! ろ!」
――その聖剣、天然につき。
しかしニコラリーは彼女に導かれ、正しき道を進んでいく。
これは、歴史と真実の糸を手繰り寄せ、名も無き英雄の救済に挑む、魔術師と聖剣の話。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる