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9.元魔王、賑やかな夜を過ごす【前編】
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ギルドでの手続きを終えて、その建物のすぐ外でのこと。
特に問題なくスカウト娘の加入処理を終えて、明日の待ち合わせをギルドでしようという話になった時だった。
「えっと、非常に厚かましいお願いだとは思うんだけど……」
そんな感じで切り出された後で、スカウト娘は両手を合わせてこちらに頼み込んできた。
「今夜の宿が無いから、誰か泊めてください!」
そういうことらしい。
なんでも、今日この街というかこの世界に来たばかりなのだとか言っておったな。
白シャツに白ライン入りの赤いズボンという服装についても、ブカツだかの途中で召喚を受けたらしく、本人の話ではジャージ姿というものらしいが。
「宿屋の場所がわからないのなら案内するわよ?」
「えっと、お金なくて……」
「物質創造で作ったものを売るのとか、いっそのこと家を……ダメね。場所もそうだけど問題になりそう」
「物を売るにしてもどこで売るのって話だし」
「……どちらにしても暗くてお店はもうやってない」
いろいろと手続きをしている間に完全に日は落ちてしまった。
この時間では酒場や宿屋といった店以外はとっくに店を閉めているだろうな。
そういえば金自体を増やしたりはしなかったのであろうか。
「アリスさんはお金を作ったりはしなかったんですか?」
「マオ、あんたね……」
「……バレたら死罪」
勇者娘と魔女娘が呆れた表情でこちらを見てきた。
そのぐらいは我でもわかっているぞ。
「ああ、いや。こっちの世界に来たばかりっていうし、知らずに作ったりしたのかなって」
「無理無理。物質創造を神様から貰った時にお金は増やせないって。試しにやってみなって神様に言われた時に作ってみたけど、お金が出来た瞬間に消えちゃったんだよね」
「そううまくは出来てないと」
直接金にはできないみたいだが、やり方次第では稼ぐのに使えそうではあるな。
「みたいね。そうなるとわたしかマナの家になるけど……」
「……どっちにする?」
「マオくんのおうちでもお姉さんは構わないけど」
「わたしとマオは姉弟だから同じことよ」
「えっ、姉弟なの? あまり似てない気が……って、ごめん。他所様の事情はいろいろだもんね」
そう言って勝手に落ち込みだしたスカウト娘。
別に気にすることの程ではないと思うがな。
「気にしないでください。似てないのは義理の姉弟で、俺が小さい時にユウ姉の家に拾われたというだけなので」
「そうね。別に落ち込むようなことは何もないわよ」
「……近所の人はみんな知ってるしね」
「そっか。それなら良かった」
なんだか話題が逸れたが、話が安全に着地を終えたので話題を元に戻すとしよう。
「それでどうするの?」
「そうねぇ。……あ、そうだ。どうせだからマナもうちに泊まらない?」
「……ユウリのうちに?」
「うん、どうせだから明日からの事をいろいろ話したり出来たら楽じゃない」
「明日ギルドで会って話す手間が省けると」
「そういうこと! それに、マナの家だとマナが会ったばかりの人と一緒っていうのが心配だし」
「その点うちでなら、みんなで様子を見れると」
まあ悪いことは起きないだろう。
問題行動を起こしていれば、あの時の決戦の場に三人が揃うはずも無かったであろうし。
「……うん。そういう事なら途中で着替えを取りに帰りたいかも」
「それじゃあ帰りにマナの家に寄りましょ……アリス、そういうことでいいかしら?」
「あ、あはは……まあ普通に考えたらそうだよね。うん、お世話になります!」
こうしてスカウト娘に加えて魔女娘も家にお泊りと。
どうやら今夜は騒がしい夜になりそうである。
特に問題なくスカウト娘の加入処理を終えて、明日の待ち合わせをギルドでしようという話になった時だった。
「えっと、非常に厚かましいお願いだとは思うんだけど……」
そんな感じで切り出された後で、スカウト娘は両手を合わせてこちらに頼み込んできた。
「今夜の宿が無いから、誰か泊めてください!」
そういうことらしい。
なんでも、今日この街というかこの世界に来たばかりなのだとか言っておったな。
白シャツに白ライン入りの赤いズボンという服装についても、ブカツだかの途中で召喚を受けたらしく、本人の話ではジャージ姿というものらしいが。
「宿屋の場所がわからないのなら案内するわよ?」
「えっと、お金なくて……」
「物質創造で作ったものを売るのとか、いっそのこと家を……ダメね。場所もそうだけど問題になりそう」
「物を売るにしてもどこで売るのって話だし」
「……どちらにしても暗くてお店はもうやってない」
いろいろと手続きをしている間に完全に日は落ちてしまった。
この時間では酒場や宿屋といった店以外はとっくに店を閉めているだろうな。
そういえば金自体を増やしたりはしなかったのであろうか。
「アリスさんはお金を作ったりはしなかったんですか?」
「マオ、あんたね……」
「……バレたら死罪」
勇者娘と魔女娘が呆れた表情でこちらを見てきた。
そのぐらいは我でもわかっているぞ。
「ああ、いや。こっちの世界に来たばかりっていうし、知らずに作ったりしたのかなって」
「無理無理。物質創造を神様から貰った時にお金は増やせないって。試しにやってみなって神様に言われた時に作ってみたけど、お金が出来た瞬間に消えちゃったんだよね」
「そううまくは出来てないと」
直接金にはできないみたいだが、やり方次第では稼ぐのに使えそうではあるな。
「みたいね。そうなるとわたしかマナの家になるけど……」
「……どっちにする?」
「マオくんのおうちでもお姉さんは構わないけど」
「わたしとマオは姉弟だから同じことよ」
「えっ、姉弟なの? あまり似てない気が……って、ごめん。他所様の事情はいろいろだもんね」
そう言って勝手に落ち込みだしたスカウト娘。
別に気にすることの程ではないと思うがな。
「気にしないでください。似てないのは義理の姉弟で、俺が小さい時にユウ姉の家に拾われたというだけなので」
「そうね。別に落ち込むようなことは何もないわよ」
「……近所の人はみんな知ってるしね」
「そっか。それなら良かった」
なんだか話題が逸れたが、話が安全に着地を終えたので話題を元に戻すとしよう。
「それでどうするの?」
「そうねぇ。……あ、そうだ。どうせだからマナもうちに泊まらない?」
「……ユウリのうちに?」
「うん、どうせだから明日からの事をいろいろ話したり出来たら楽じゃない」
「明日ギルドで会って話す手間が省けると」
「そういうこと! それに、マナの家だとマナが会ったばかりの人と一緒っていうのが心配だし」
「その点うちでなら、みんなで様子を見れると」
まあ悪いことは起きないだろう。
問題行動を起こしていれば、あの時の決戦の場に三人が揃うはずも無かったであろうし。
「……うん。そういう事なら途中で着替えを取りに帰りたいかも」
「それじゃあ帰りにマナの家に寄りましょ……アリス、そういうことでいいかしら?」
「あ、あはは……まあ普通に考えたらそうだよね。うん、お世話になります!」
こうしてスカウト娘に加えて魔女娘も家にお泊りと。
どうやら今夜は騒がしい夜になりそうである。
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