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2.元魔王、姉がドジっ子だと気づく【中編】
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「これで何本目なんだ……」
我はいつものごとく脇に置いておいた小箒とちりとりを手に木刀の残骸を回収し、専用のゴミ箱に慣れた手付きで放り込む。
既にそこは木刀の墓地と言った感じで残骸が詰め込まれている。
そういえば、いつもより回収した木刀だったものが軽かったような?
まあ気のせいだな。
「ありがとマオ!」
「ん」
そうして今日も木刀が一本お亡くなりになったところで本日の稽古は終了だ。
我が庭に置かれた椅子に戻ろうとしたところ、勇者娘もついてきて、椅子に一緒に腰を下ろす形になる。
「今日のお稽古終わりっ」
「はい濡れタオル」
「んー! 冷たくてきもちいいー」
勇者娘がタオルで汗を拭う様子を見守りながら、こうなった時のことを思い出す。
適正を調べた際に、我も稀に見る魔法適性を持つことが勇者娘の両親に知られた。
始めの頃は娘の両親も「我が家の子は二人とも天才だ!」なんて喜んでいたものだ。そんな様子でニコニコと稽古を眺めていた。
しかし勇者娘のドジで万が一ということもあるので、今では我の背後で遠くから見守るスタイルに変えてもらった。
今のところ人的被害は無いが、念には念をというやつである。
一方で我には魔法障壁があるからな。何ということはないのである。
おかげで魔法障壁の習熟度だけは、およそありえないほどの上昇を果たしているだろう。
魔法障壁の硬度変化が使えるようになるのも近そうである。
そんな事を考えていた時だった。
ドサッ。
急にそんな音がした。
「うわっ!」
「ん?」
何か落ちてきた。
「鳥?」
「鳥だね」
木刀の刺さった鳥。しかもレアなやつ。
貴重な素材が取れる鳥で、売れば結構な額になるのであるな。
「しかもこれ、珍しいやつだよ」
「そうなの?」
「うん。ギルドに持っていけば高く売れるはず」
「へー、そうなんだ」
さっき回収した破片がなんだか軽く感じたが、それもそのはず。
残りは空に飛んでいたようだ。
「これは……」
いくらなんでも木刀の先端が刺さるなど、と思ったが……これあれだ。
木刀を抜いてみれば先端が尖っていた。
そういえば魔法障壁に当たった際に先端が欠けて、鋭利になっていたな。
それが刺さったのか……。
とりあえず軽く鳥を処理することにする。
血抜きだけして軽くしたらあとはギルドに任せれば残りをやるだろう。
「血抜きするけど見る?」
「見ない!」
「それじゃあ、母さんにこの事伝えておいて」
「はーい」
勇者娘はそう言うなり、家の中へ入っていく。
どうにも不思議な事であるが、この勇者娘のドジには意味があるようであるな。
今のように貴重なものが降ってきたり、破壊した地面下には空洞ができていて、危うく崩れるところを早期発見したりしていたか。
我にその矛先が来ることもあるが、魔法障壁が育つという点で意味があるといもいえる。
それに推し量ったかのように、我が魔力の大半を使い切るとその日はドジをしなくなるのがな。
となるとオリハルコンの床を砕いたあの一件も意味がありそうではあるが、確かめる術が無いのは残念であり、気になるところではある。
そうして血抜き処理を終えた所でガラッと背後にある扉が開く。
我はいつものごとく脇に置いておいた小箒とちりとりを手に木刀の残骸を回収し、専用のゴミ箱に慣れた手付きで放り込む。
既にそこは木刀の墓地と言った感じで残骸が詰め込まれている。
そういえば、いつもより回収した木刀だったものが軽かったような?
まあ気のせいだな。
「ありがとマオ!」
「ん」
そうして今日も木刀が一本お亡くなりになったところで本日の稽古は終了だ。
我が庭に置かれた椅子に戻ろうとしたところ、勇者娘もついてきて、椅子に一緒に腰を下ろす形になる。
「今日のお稽古終わりっ」
「はい濡れタオル」
「んー! 冷たくてきもちいいー」
勇者娘がタオルで汗を拭う様子を見守りながら、こうなった時のことを思い出す。
適正を調べた際に、我も稀に見る魔法適性を持つことが勇者娘の両親に知られた。
始めの頃は娘の両親も「我が家の子は二人とも天才だ!」なんて喜んでいたものだ。そんな様子でニコニコと稽古を眺めていた。
しかし勇者娘のドジで万が一ということもあるので、今では我の背後で遠くから見守るスタイルに変えてもらった。
今のところ人的被害は無いが、念には念をというやつである。
一方で我には魔法障壁があるからな。何ということはないのである。
おかげで魔法障壁の習熟度だけは、およそありえないほどの上昇を果たしているだろう。
魔法障壁の硬度変化が使えるようになるのも近そうである。
そんな事を考えていた時だった。
ドサッ。
急にそんな音がした。
「うわっ!」
「ん?」
何か落ちてきた。
「鳥?」
「鳥だね」
木刀の刺さった鳥。しかもレアなやつ。
貴重な素材が取れる鳥で、売れば結構な額になるのであるな。
「しかもこれ、珍しいやつだよ」
「そうなの?」
「うん。ギルドに持っていけば高く売れるはず」
「へー、そうなんだ」
さっき回収した破片がなんだか軽く感じたが、それもそのはず。
残りは空に飛んでいたようだ。
「これは……」
いくらなんでも木刀の先端が刺さるなど、と思ったが……これあれだ。
木刀を抜いてみれば先端が尖っていた。
そういえば魔法障壁に当たった際に先端が欠けて、鋭利になっていたな。
それが刺さったのか……。
とりあえず軽く鳥を処理することにする。
血抜きだけして軽くしたらあとはギルドに任せれば残りをやるだろう。
「血抜きするけど見る?」
「見ない!」
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「はーい」
勇者娘はそう言うなり、家の中へ入っていく。
どうにも不思議な事であるが、この勇者娘のドジには意味があるようであるな。
今のように貴重なものが降ってきたり、破壊した地面下には空洞ができていて、危うく崩れるところを早期発見したりしていたか。
我にその矛先が来ることもあるが、魔法障壁が育つという点で意味があるといもいえる。
それに推し量ったかのように、我が魔力の大半を使い切るとその日はドジをしなくなるのがな。
となるとオリハルコンの床を砕いたあの一件も意味がありそうではあるが、確かめる術が無いのは残念であり、気になるところではある。
そうして血抜き処理を終えた所でガラッと背後にある扉が開く。
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