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魔王の未来と街の準備
10話 宿屋作りと例のブツ(3/4)
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「ククク、完成だ!」
最後に扉と窓を設置して作業は完了だ。
暗黒騎士が剣技を用いて扉と窓枠となる部分をくり抜き、それらの開閉部となる細かい部品はアルラウネとトレントの植物支配の特性によって、不要な部分を腐らせて削ることで作られた。この間ものの数分。
職人であるドワーフも真っ青になるだろう速度で細部が仕上げられた結果、ツリーハウスは出来上がりを見せたのだった。
「三人ともここまでよくやってくれた。これで歓楽街計画の第一段階は終わりと言っていいだろう」
「終わり、ですか? 僭越ながら申し上げますが、宿だけではいささか不十分かと。人間族のものを見る限り、せめて浴場ぐらいは欲しいところではないでしょうか」
「ですねぇ。あぁ~、浴場といえばわたし水分補給しないと……もうくたくたですよぅ」
宿だけではそう思うのも仕方あるまい。完成している施設がそれだけであればな。
「そんな二人によいものがあるぞ」
いよいよこの時がやってきた。
削り作業を終えて暇になった合間の時間を用いて、最初の休日からコツコツと秘密裏に進めていた例のブツの仕上げを行い、さきほど全行程が完了した。
「マサカ、ツイニ完成シタノデ?」
「ああ、おかげさまでな」
「「?」」
よくわからないといった顔をしている暗黒騎士とアルラウネはともかくとして、トレントには事前に相談をしていたために、それが何かは知られている。
「ついてくればわかるさ。<転移門>」
困惑した表情を見せる暗黒騎士とアルラウネをよそに目的の場所へつながるゲートを作り出して、その先へと進む。
すると転移門によって移動する前の地面が土だったのに対して、移動後は滑らかな石によって作り上げられた硬い地面へと様変わりする。
「ここは……空の上ですか? それにしても、このようなものをいつの間に……」
「うわぁー、すっごい景色っ。あっ、あれって魔王さまがこの前行った山ですよね?」
俺のあとに続いてやってきた暗黒騎士とアルラウネが周りを見るなり、そんな感想を漏らしている。
よい驚きぶりだ。頑張って作ったかいがあったというものである。
「ああ、そうだ」
さらに眼前に広がっているのは開けた空、近くにはただよう雲。
正面の遠方には聖剣が眠る聖者の霊峰が見渡せるとともに、眼下には魔王城の姿もうかがえる。
魔王城の機構を用いて温泉場の周囲を結界で囲んでいるため、内部の気温は一定に保たれている。床も城にある仕掛けの浮遊板を使っているので空中浮遊の維持が可能というわけだ。
それらによって高所から望める広大な景色に目を奪われがちではあるのだが、注目するべきはそれだけではない。
最後に扉と窓を設置して作業は完了だ。
暗黒騎士が剣技を用いて扉と窓枠となる部分をくり抜き、それらの開閉部となる細かい部品はアルラウネとトレントの植物支配の特性によって、不要な部分を腐らせて削ることで作られた。この間ものの数分。
職人であるドワーフも真っ青になるだろう速度で細部が仕上げられた結果、ツリーハウスは出来上がりを見せたのだった。
「三人ともここまでよくやってくれた。これで歓楽街計画の第一段階は終わりと言っていいだろう」
「終わり、ですか? 僭越ながら申し上げますが、宿だけではいささか不十分かと。人間族のものを見る限り、せめて浴場ぐらいは欲しいところではないでしょうか」
「ですねぇ。あぁ~、浴場といえばわたし水分補給しないと……もうくたくたですよぅ」
宿だけではそう思うのも仕方あるまい。完成している施設がそれだけであればな。
「そんな二人によいものがあるぞ」
いよいよこの時がやってきた。
削り作業を終えて暇になった合間の時間を用いて、最初の休日からコツコツと秘密裏に進めていた例のブツの仕上げを行い、さきほど全行程が完了した。
「マサカ、ツイニ完成シタノデ?」
「ああ、おかげさまでな」
「「?」」
よくわからないといった顔をしている暗黒騎士とアルラウネはともかくとして、トレントには事前に相談をしていたために、それが何かは知られている。
「ついてくればわかるさ。<転移門>」
困惑した表情を見せる暗黒騎士とアルラウネをよそに目的の場所へつながるゲートを作り出して、その先へと進む。
すると転移門によって移動する前の地面が土だったのに対して、移動後は滑らかな石によって作り上げられた硬い地面へと様変わりする。
「ここは……空の上ですか? それにしても、このようなものをいつの間に……」
「うわぁー、すっごい景色っ。あっ、あれって魔王さまがこの前行った山ですよね?」
俺のあとに続いてやってきた暗黒騎士とアルラウネが周りを見るなり、そんな感想を漏らしている。
よい驚きぶりだ。頑張って作ったかいがあったというものである。
「ああ、そうだ」
さらに眼前に広がっているのは開けた空、近くにはただよう雲。
正面の遠方には聖剣が眠る聖者の霊峰が見渡せるとともに、眼下には魔王城の姿もうかがえる。
魔王城の機構を用いて温泉場の周囲を結界で囲んでいるため、内部の気温は一定に保たれている。床も城にある仕掛けの浮遊板を使っているので空中浮遊の維持が可能というわけだ。
それらによって高所から望める広大な景色に目を奪われがちではあるのだが、注目するべきはそれだけではない。
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