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第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る
63話 転移無法2
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そんな事があってから数日。
俺は定期的に行うようになった、魔王軍の発見情報がないかを知るために、デュオにあるギルドへとやって来ていた。
「なあ、聞いたかよ。今度は東で異世界人が2人やられたらしいぞ」
「またか。というか、情報が出回ったのに不用心すぎないか?」
「まあ仕方ないと言えば仕方ないんじゃないか。あれを直接見たわけじゃないし」
「確かに。俺たちの所はもう、しばらく討伐依頼はやれないわ」
そう聞こえてきたようにデュオの街に関しては、討伐依頼をこなそうとする冒険者パーティーはほとんどいなくなった。
と言うよりも、それ以前に討伐対象を発見しても、それを報告しようとする冒険者がいなくなったのだが。
「パーティーに異世界人いるもんな」
「前回は助かったけど、次の討伐依頼をやって目を付けられたら嫌だから、やりたくないって言いだしてな。まあ、採取やら護衛やら依頼は他にもあるから問題はないけどさ」
これはオークの村防衛戦の後、デュオのギルドや酒場で冒険者の会話から情報を集めていた時に聞いた話だ。
転移で神出鬼没なために、報告しようとした途端そいつが現れるんじゃないか。
あの出来事で俺の事がトラウマになった冒険者はそう思ってしまうらしく、地上にいる魔王軍は見つけても無視を決め込む、と言っていたのを酒場で聞いた。
「ま、討伐依頼を受けるにしても、残ってるのがこれだけじゃな……」
どうやらそんな冒険者が多数のようで、討伐依頼は1つしか張り出されておらず、俺の出る幕はなさそうだ。
「倒せば一生遊んで暮らせそうだが、まあ無理だろ」
「本当に、なんなんだろうな転移無法って」
そう冒険者に呼ばれ始めた、ここに張り出されている討伐対象、転移無法と呼ばれるようになった仮面姿の俺について、きちんと話が伝わっていればもっと楽ができたんだが。
「転移を使う、無法な振る舞いで冒険者を陥れた魔王の腹心だっけ?」
「そういう意味じゃねーよ! なんで急に現れたんだって話だ」
そんな事を聞き流しつつ用事が済んだところで、ギルドを後にする。
それにしても、やはり人から人に話が行くと全部は伝わらないか。
クラウンがきちんと話をしたようで、噂としてデュオ周辺の国や街にその話が広まったのは良かったのだが。
なにやら話の中で、必要以上に亜人や魔物といった者たちを痛めつけた者を対象に消していく、というのがきちんと伝わらずに、代わりに異世界人を消していくというものに変わってしまっていたのだ。
原因はギルドが調べた結果である、各地で消えた冒険者は異世界人だけという事を公表したからだろう。
ある意味じゃ間違っていないし、こればかりはどうしようもない。
あとは地道に認知を変えていくしかないな。
そんな事を考えながら路地裏に入り、人目を避けてから転移で魔王城に帰る。
部屋に戻るとクロエはともかくとして、スノーの姿もあった。
俺のベッドは完全に占領されており、その上で膝枕されたクロエがスノーに撫でられているという、いつか見たような光景が広がっている。
「あ、おかえりー」
「おかえりなさいリア」
「ただいま」
「リア、帰って来てすぐで悪いんだけどーー」
どうやら、また何かが起きたらしい。
クロエに誘われて魔王軍に来てからやることは多いが、この選択に後悔はない。
ここまで来て、色々なものを得ると共に、スノーやオークたちを助ける事ができた。
その代わりに別れもあったが。
それはともかくとして、次はどんな出会いがあって誰を育成する事になるのやら……。
俺は定期的に行うようになった、魔王軍の発見情報がないかを知るために、デュオにあるギルドへとやって来ていた。
「なあ、聞いたかよ。今度は東で異世界人が2人やられたらしいぞ」
「またか。というか、情報が出回ったのに不用心すぎないか?」
「まあ仕方ないと言えば仕方ないんじゃないか。あれを直接見たわけじゃないし」
「確かに。俺たちの所はもう、しばらく討伐依頼はやれないわ」
そう聞こえてきたようにデュオの街に関しては、討伐依頼をこなそうとする冒険者パーティーはほとんどいなくなった。
と言うよりも、それ以前に討伐対象を発見しても、それを報告しようとする冒険者がいなくなったのだが。
「パーティーに異世界人いるもんな」
「前回は助かったけど、次の討伐依頼をやって目を付けられたら嫌だから、やりたくないって言いだしてな。まあ、採取やら護衛やら依頼は他にもあるから問題はないけどさ」
これはオークの村防衛戦の後、デュオのギルドや酒場で冒険者の会話から情報を集めていた時に聞いた話だ。
転移で神出鬼没なために、報告しようとした途端そいつが現れるんじゃないか。
あの出来事で俺の事がトラウマになった冒険者はそう思ってしまうらしく、地上にいる魔王軍は見つけても無視を決め込む、と言っていたのを酒場で聞いた。
「ま、討伐依頼を受けるにしても、残ってるのがこれだけじゃな……」
どうやらそんな冒険者が多数のようで、討伐依頼は1つしか張り出されておらず、俺の出る幕はなさそうだ。
「倒せば一生遊んで暮らせそうだが、まあ無理だろ」
「本当に、なんなんだろうな転移無法って」
そう冒険者に呼ばれ始めた、ここに張り出されている討伐対象、転移無法と呼ばれるようになった仮面姿の俺について、きちんと話が伝わっていればもっと楽ができたんだが。
「転移を使う、無法な振る舞いで冒険者を陥れた魔王の腹心だっけ?」
「そういう意味じゃねーよ! なんで急に現れたんだって話だ」
そんな事を聞き流しつつ用事が済んだところで、ギルドを後にする。
それにしても、やはり人から人に話が行くと全部は伝わらないか。
クラウンがきちんと話をしたようで、噂としてデュオ周辺の国や街にその話が広まったのは良かったのだが。
なにやら話の中で、必要以上に亜人や魔物といった者たちを痛めつけた者を対象に消していく、というのがきちんと伝わらずに、代わりに異世界人を消していくというものに変わってしまっていたのだ。
原因はギルドが調べた結果である、各地で消えた冒険者は異世界人だけという事を公表したからだろう。
ある意味じゃ間違っていないし、こればかりはどうしようもない。
あとは地道に認知を変えていくしかないな。
そんな事を考えながら路地裏に入り、人目を避けてから転移で魔王城に帰る。
部屋に戻るとクロエはともかくとして、スノーの姿もあった。
俺のベッドは完全に占領されており、その上で膝枕されたクロエがスノーに撫でられているという、いつか見たような光景が広がっている。
「あ、おかえりー」
「おかえりなさいリア」
「ただいま」
「リア、帰って来てすぐで悪いんだけどーー」
どうやら、また何かが起きたらしい。
クロエに誘われて魔王軍に来てからやることは多いが、この選択に後悔はない。
ここまで来て、色々なものを得ると共に、スノーやオークたちを助ける事ができた。
その代わりに別れもあったが。
それはともかくとして、次はどんな出会いがあって誰を育成する事になるのやら……。
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