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第1章 育成準備につき、裏で密かに動いていく
21話 魔王城侵攻1
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俺が勇者パーティーを追い出されてから1週間。
各地にあるダンジョンの仕掛けが解除され、ついにユウトたちが魔王城に乗り込んできた。
「ちっ、やっぱり魔王のところには飛べなかったか」
「ごめんなさい。中に結界があるのもそうだけど、他にも阻害魔法があるみたいで、ここまでがテレポートできる限界みたいなの」
チサトさんって言ったか。
彼女の言う通り、あくまで各地のダンジョンを巡って解除できる結界は一番外側のものだけ。
ここから玉座の間に向かうには、4つの装置を解除する必要がある。
それと阻害魔法と言っているようだが、実際には一定距離ごとに、広範囲に影響する魔法を妨害するマジックアイテムが設置されており、それに対応するマジックアイテムを持たない者は、対象の魔法に一部制限を受ける事になる。
もちろん俺はそのマジックアイテムを渡されているために、それらの制限は受けずに済んでいる。
「つまり、戦闘でチサトちゃんのテレポートによる支援は期待できないってことかな」
「ううん、それは大丈夫みたい。遠距離のテレポートは阻害されてて無理みたいだけど、近くにテレポートするのは行けるみたいなの」
「確か、千里眼もダメだったって話だったよな?」
「そうなのマサトくん。最初に見た時もそうだったけど、魔王城はある程度まで先を見ると真っ暗になっちゃうみたい」
「ズルしないで来いってことか……面倒だな」
そういった理由から、テレポート先を入り口のみに限定させることで、ユウトたちが魔王城内に入り込んだ時点でその居場所の捕捉に成功。
俺は『隠遁』のスキル効果で姿を隠し、既に彼らのすぐ近くに潜んでいた。
「まあまあユウト。経験値稼ぎしながら進めると思えばさ?」
「それもそうだな」
そう話しているユウトとマサトの近くには、スノーの姿もある。
「いきましょうか」
そうして一行は城内を進み出す。
ユウトたちの勇者パーティーを先頭にして、後から3つの勇者パーティーが後に続いていく。
合計で4つのパーティーで、人数は俺を除いても全部で20人と大所帯である。
『冒険者が進みだした』
『はーい。それじゃリア、道中よろしくね』
『任せろ』
俺はクロエの遠隔で会話のできる魔法、テレパスで脳内で会話を行う。
今回の魔王城侵攻において、クロエがサポート役を買って出てくれた。
おかげで、わざわざこれだけの人数の冒険者の顔と対象のスキルの記憶。
また、異世界送還の対象かどうかを一致させる手間が省けた訳だ。
しかし、その冒険者の中で俺が唯一、絶対に顔を覚えた上で注意をしなければいけない存在がいる。
それはユウトでも異世界人でもない、こちらの世界の人間。
その冒険者は、俺が『隠遁』によって隠した姿を見破ることの出来るスキルを所持しているために、俺はその冒険者の背後を取って、視界に入らないようにする必要があった。
その事に注意しながら複数の勇者パーティーを見れば、彼らは固まりすぎないように、パーティー単位で散開する形で陣形をとっている。
クロエの報告だと、『勇者の加護』をもった異世界人は6人来ているとのこと。
最終的に、事前の調査で問題があると判断した異世界人は全員元の世界へと戻す手はずだが、第一目標はその6人となる。
最初の目標は、そのなかでも一番の実力者であるユウト。
だが、今はまだその時ではない。
異世界人に触れて異世界送還まではいいが、発動までに少々の時間がかかる事と、何よりも数が多い。
回避のための転移が行えなくなってしまう、異世界送還の魔法陣出現から経験値とスキルを獲得するまでの間に攻撃を受けようものなら、今の俺ではひとたまりもないだろうからな。
そこで俺には、彼らを元の世界へと送り返すタイミングまでに別の仕事を任された。
それからしばらく彼らの後ろについて行き、城内を進んでいくと、ユウトたちが魔物と遭遇する事になった。
各地にあるダンジョンの仕掛けが解除され、ついにユウトたちが魔王城に乗り込んできた。
「ちっ、やっぱり魔王のところには飛べなかったか」
「ごめんなさい。中に結界があるのもそうだけど、他にも阻害魔法があるみたいで、ここまでがテレポートできる限界みたいなの」
チサトさんって言ったか。
彼女の言う通り、あくまで各地のダンジョンを巡って解除できる結界は一番外側のものだけ。
ここから玉座の間に向かうには、4つの装置を解除する必要がある。
それと阻害魔法と言っているようだが、実際には一定距離ごとに、広範囲に影響する魔法を妨害するマジックアイテムが設置されており、それに対応するマジックアイテムを持たない者は、対象の魔法に一部制限を受ける事になる。
もちろん俺はそのマジックアイテムを渡されているために、それらの制限は受けずに済んでいる。
「つまり、戦闘でチサトちゃんのテレポートによる支援は期待できないってことかな」
「ううん、それは大丈夫みたい。遠距離のテレポートは阻害されてて無理みたいだけど、近くにテレポートするのは行けるみたいなの」
「確か、千里眼もダメだったって話だったよな?」
「そうなのマサトくん。最初に見た時もそうだったけど、魔王城はある程度まで先を見ると真っ暗になっちゃうみたい」
「ズルしないで来いってことか……面倒だな」
そういった理由から、テレポート先を入り口のみに限定させることで、ユウトたちが魔王城内に入り込んだ時点でその居場所の捕捉に成功。
俺は『隠遁』のスキル効果で姿を隠し、既に彼らのすぐ近くに潜んでいた。
「まあまあユウト。経験値稼ぎしながら進めると思えばさ?」
「それもそうだな」
そう話しているユウトとマサトの近くには、スノーの姿もある。
「いきましょうか」
そうして一行は城内を進み出す。
ユウトたちの勇者パーティーを先頭にして、後から3つの勇者パーティーが後に続いていく。
合計で4つのパーティーで、人数は俺を除いても全部で20人と大所帯である。
『冒険者が進みだした』
『はーい。それじゃリア、道中よろしくね』
『任せろ』
俺はクロエの遠隔で会話のできる魔法、テレパスで脳内で会話を行う。
今回の魔王城侵攻において、クロエがサポート役を買って出てくれた。
おかげで、わざわざこれだけの人数の冒険者の顔と対象のスキルの記憶。
また、異世界送還の対象かどうかを一致させる手間が省けた訳だ。
しかし、その冒険者の中で俺が唯一、絶対に顔を覚えた上で注意をしなければいけない存在がいる。
それはユウトでも異世界人でもない、こちらの世界の人間。
その冒険者は、俺が『隠遁』によって隠した姿を見破ることの出来るスキルを所持しているために、俺はその冒険者の背後を取って、視界に入らないようにする必要があった。
その事に注意しながら複数の勇者パーティーを見れば、彼らは固まりすぎないように、パーティー単位で散開する形で陣形をとっている。
クロエの報告だと、『勇者の加護』をもった異世界人は6人来ているとのこと。
最終的に、事前の調査で問題があると判断した異世界人は全員元の世界へと戻す手はずだが、第一目標はその6人となる。
最初の目標は、そのなかでも一番の実力者であるユウト。
だが、今はまだその時ではない。
異世界人に触れて異世界送還まではいいが、発動までに少々の時間がかかる事と、何よりも数が多い。
回避のための転移が行えなくなってしまう、異世界送還の魔法陣出現から経験値とスキルを獲得するまでの間に攻撃を受けようものなら、今の俺ではひとたまりもないだろうからな。
そこで俺には、彼らを元の世界へと送り返すタイミングまでに別の仕事を任された。
それからしばらく彼らの後ろについて行き、城内を進んでいくと、ユウトたちが魔物と遭遇する事になった。
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