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第1章 育成準備につき、裏で密かに動いていく

19話 残してきた者たちへ4

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 ギルドから出て次の目的地へ。
 クロエへのお土産で装飾品を扱う店に行かないとだ。

「リア、あれだけの大金よろしかったのですか?」

「元々それがメインで売りに来たからな。問題はないぞ」

「それならいいのですが」

 しかし、頼まれたはいいが、普段そういうのは身に着けないから詳しくないんだよな。
 店はいくつか知っているが、どこのがいいのか俺にはわからん。

「それよりもだ。この辺りにあるアクセサリーを扱ってる店で、おすすめの所はあるか?」

「アクセサリー……ですか」

「ちょっと土産をせがまれてな」

 できれば腕につけるものがいいって言ってたよな。
 特に腕輪とかかな~、と指定までしていたし、まあ腕輪をご所望なのだろう。

「もしかして、女性の方ですか?」

「ああ、新しい仕事のな」

「ずいぶんとその方と親しいみたいですね」

 なんだかスノーに生暖かい目で見られている感じがするが、断じてそのような関係ではない。

「うーん。懐かれてはいるみたいなんだが、出会ってまだ1週間も経ってないから、親しいと言えるのかどうか」

「なるほど、これからということですね」

「これから?」

「いえ、それでは行きましょうか」

 スノーに案内されて大通りを抜けて、小さな路地にある装飾店にやってきた。
 店には髪飾りに耳飾り、指輪やネックレスなど多くの装飾が置いてある。
 腕輪だけでもずいぶんと数が多いし、どれを選んでいいのやら……。

「うーん。なあ、土産を頼まれた相手には腕輪とだけ指定されて、後は俺の好みで選んでほしいって言われたんだが。スノーはどれがいいと思う?」

 スノーはしばらく考える素振りを見せてから、それに答えてきた。

「そうですね。リアがいいと思ったものが正解なのではないかと」

「あまり自信がないんだが……」

 そこまでセンスはひどくないと思いたいが、自分のならまだしも、相手のを選ぶとなるとなあ。
 しかも、この場に居ない相手だから、想像で選ぶほか無い。

「それでも、です。その相手の方もその方が喜ばれると思いますよ?」

「そういうものなのか?」

「ええ、そういうものですよ」

 どうやら教えてくれる気は無いようなので、自分で決める他ないか。
 とりあえず腕輪に絞るとして、色々な形に模様もあるし、色もあるからどうするか。
 装飾が派手だったりして大きいのは、あの機械をいじる時に邪魔だよな。
 そうなるとすっきりしてるものが良さそうだ。

 それで色は……クロエの普段の格好からして、桃色とか黄色あたりがいいだろうか。
 迷うが、そんな時は両方買ってしまえばいい。
 どっちも似合うと思うしな。

 あとは……。
 横目でスノーを見る。
 スノーは基本的に法衣を着ているからな。
 派手なのは控えるとすると、このあたりか。

「なあスノー」

「なんですか?」

「参考としてなんだが、スノーがつけるとしてこれはどうだ?」

 選んだシンプルな銀色の髪留めをスノーに渡す。
 それを受け取ったスノーが、前髪につけて姿見で自分の姿を確認している。

「そうですね。これでしたら目立ちすぎないですし、私は好きですよ」

「確かに、似合ってると思うぞ」

 思った通り、すっきりと収まっていい感じだ。
 身内目線だが、スノーに似合っている……と、俺は感じる。

「もしかして、仕事の方って教会関係の人ですか? でも、こういうものって好みもありますし、本当は一緒に買い物に来てプレゼントした方が喜ばれると思いますよ?」

「それなら、なおさらそれでいいな」

 それはクロエへのお土産とは別だからな。
 まさにスノー自身のアドバイス通りってやつだ。

「店主さん。この2色の腕輪と、あとこの頭についてる髪飾りを。腕輪だけ袋に包んでくれ」

「まいどあり!」

 代金を支払って、店の人に腕輪を袋に包んでもらっている間に、スノーに向き直る。

「そういうことで、その髪留めは俺からのプレゼントってことで」

「え?」

「心配かけたみたいだからな。そのお詫びだ」

 数日間、探し回ってくれたみたいだからな。
 どうして知っているのか訊かれると困るから、それ自体を口には出さないが。

「そんな……、悪いですよ」

「もう買ったからな。返品は不可だぞ」

 それを聞いたスノーが困ったような感じを出しつつも、髪留めに触れてから、口を緩ませる。

「リアって、たまに強引ですよね」

「そうか?」

「そうですよ。……ふふっ。でも、ありがとうございます。大事にしますね」

「そうしてくれると嬉しいな」

 まだ、大分時間も早いが、これでデュオでのやることも終わり。
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