15 / 21
第15話
しおりを挟む
秋の白い空が川の水面に反射して、それをじっと眺めていると、不意に落ちてきた紅葉が流れゆく様に哀愁を感じた。
つまりは感傷的になっている心がいつもなら見向きもしない光景に心を通わせて、寂しさを助長させる。
侘しさとも言い変えれるが、その言葉の意味を深く知るには経験も知識も何もない俺には酷く縁遠い言葉に思えた。
歌人にでもなった気か貴様?と声が聞こえてくるようなこの状況は何か?
俺は駅前にて、彼女を待っていた。
俺こと四条 達也は竹中 美智ちゃんを待っていた。
秋に入り肌寒い季節に突入したことで、俺はいつもならお気に入りの濃紺のジャンパーを着ていくところだが、達也は白いシャツに群青色のジャケットを羽織り、長い足が際立つ黒のジーンズというデートコーデであった。
確かにジャンパーを着てエヘラエヘラと笑う放課後の中学生みたいな恰好の人間よりは、こういった大人コーデを着こなす出来る男の方がいいのかもしれない。
俺は破壊衝動に駆られジャケットを破りすて、シャツも破いてやろうかと思ったが、今後のことを考え、寒いのは勘弁だと思いとどまった。
そんな葛藤の最中、彼女が来た。
俺の想い人である美智ちゃんである。
彼女はいつもの制服姿とは違い、シャツにスケスケブラウスにブラウン系の色身のニットスカートを履いており、まるで初めて会ったかと勘違いするほど可愛いく、愛おしい。
というかエロい。とにかくエロい。
しかし、こういうファッションの大学生がよく駅前の某カフェに溜まっているなぁと思ったのは言うまい。
量産的ファッションだなと思いつつも、服が蜂の巣みたいに穴だらけの全身黒づくめの女性が前を通ったことで思い直した。
今日も可愛いねとつぶやけば、彼女がニカッとこちらにお日様みたいに笑いかけた。
「た、たた、竹中、、、いや美智は今日の服も可愛いね」
俺は少し吃りながらも、美智ちゃんを褒める。それに対し、美智ちゃんは一瞬、訝しむような表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。
「達也も恰好良いね。そのジャケット似合ってるよ」
「そう?ありがとう」
さて、ここから始めていこうか。
最悪で、最後のデートを。
つまりは感傷的になっている心がいつもなら見向きもしない光景に心を通わせて、寂しさを助長させる。
侘しさとも言い変えれるが、その言葉の意味を深く知るには経験も知識も何もない俺には酷く縁遠い言葉に思えた。
歌人にでもなった気か貴様?と声が聞こえてくるようなこの状況は何か?
俺は駅前にて、彼女を待っていた。
俺こと四条 達也は竹中 美智ちゃんを待っていた。
秋に入り肌寒い季節に突入したことで、俺はいつもならお気に入りの濃紺のジャンパーを着ていくところだが、達也は白いシャツに群青色のジャケットを羽織り、長い足が際立つ黒のジーンズというデートコーデであった。
確かにジャンパーを着てエヘラエヘラと笑う放課後の中学生みたいな恰好の人間よりは、こういった大人コーデを着こなす出来る男の方がいいのかもしれない。
俺は破壊衝動に駆られジャケットを破りすて、シャツも破いてやろうかと思ったが、今後のことを考え、寒いのは勘弁だと思いとどまった。
そんな葛藤の最中、彼女が来た。
俺の想い人である美智ちゃんである。
彼女はいつもの制服姿とは違い、シャツにスケスケブラウスにブラウン系の色身のニットスカートを履いており、まるで初めて会ったかと勘違いするほど可愛いく、愛おしい。
というかエロい。とにかくエロい。
しかし、こういうファッションの大学生がよく駅前の某カフェに溜まっているなぁと思ったのは言うまい。
量産的ファッションだなと思いつつも、服が蜂の巣みたいに穴だらけの全身黒づくめの女性が前を通ったことで思い直した。
今日も可愛いねとつぶやけば、彼女がニカッとこちらにお日様みたいに笑いかけた。
「た、たた、竹中、、、いや美智は今日の服も可愛いね」
俺は少し吃りながらも、美智ちゃんを褒める。それに対し、美智ちゃんは一瞬、訝しむような表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。
「達也も恰好良いね。そのジャケット似合ってるよ」
「そう?ありがとう」
さて、ここから始めていこうか。
最悪で、最後のデートを。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
高校球児、公爵令嬢になる。
つづれ しういち
恋愛
目が覚めたら、おデブでブサイクな公爵令嬢だった──。
いや、嘘だろ? 俺は甲子園を目指しているふつうの高校球児だったのに!
でもこの醜い令嬢の身分と財産を目当てに言い寄ってくる男爵の男やら、変ないじりをしてくる妹が気にいらないので、俺はこのさい、好き勝手にさせていただきます!
ってか俺の甲子園かえせー!
と思っていたら、運動して痩せてきた俺にイケメンが寄ってくるんですけど?
いや待って。俺、そっちの趣味だけはねえから! 助けてえ!
※R15は保険です。
※基本、ハッピーエンドを目指します。
※ボーイズラブっぽい表現が各所にあります。
※基本、なんでも許せる方向け。
※基本的にアホなコメディだと思ってください。でも愛はある、きっとある!
※小説家になろう、カクヨムにても同時更新。
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる?
「年下上司なんてありえない!」
「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」
思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった!
人材業界へと転職した高井綾香。
そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。
綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。
ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……?
「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」
「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」
「はあ!?誘惑!?」
「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる