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第4話
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喫茶店を出た後は、駅前の公園を歩くことにした。
二人とも運動部なのでウォーキングが苦にならないし、高校生は金がないので歩いて時間が潰せるならそれに越したことはない。
彼女は砂糖タワーを見た衝撃を野鳥やら、公園の噴水をみることで和らげているようだ。
そして、「見て。あれ。綺麗な鳥だね。なんて種類だろうね?」
「さぁな。知らん」
と俺の塩対応から会話を断ち切ってしまえば、ロマンスなど生まれない。
俺たちは五分ほど歩くと、噴水前のベンチに腰掛ける。
彼女はカバンからハンカチを出すと、俺ように持ってきたのかもう一枚のハンカチを俺に差し出すが、俺はそれを拒否する。
そして、映画館で買っていた「魔法少女」の可愛らしいアニメ絵のハンカチを取り出し、額を拭う。
アニメ絵の少女は目が大きく、吹き出しには「マジックプリプリプリン!」とピンクの文字で書かれている。
「えっと………それは?」
「ああ。可愛らしいだろ?ポップでキュートでキャッチ~だろ?」
俺は魔法少女に関しての話題に触れた途端にこれでもかと頬を引っ張り、歯をすべて見せつけんばかりに満面の笑みを彼女にお見舞いする。
「えっと………そうだね」
魔法少女と対面した彼女は梅干しをほおばったような渋い表情で、「プリプリプリンて……」とか「その絵柄の女の子って目が大きいね。吉井くんが拭いたことでアス比がめちゃくちゃになってるよ」とか呟いている。
俺たちの会話はそこで一度途切れた。
夕空の下、俺たちは長年連れ添った老夫婦のように、公園のベンチにいた。
嘘である。
曇り空の下、何も話すこともせず、全く関心のない野鳥を見たり、延々噴き出す噴水の流れを目で追ったりと時間を無理やり潰していた。
午後四時という、帰るには早過ぎ、続けるにしては迷う時間帯。
無表情の彼女と、暇そうな俺。
鳥の鳴き声などもはや聞こえない。噴水の音だけが雑音にも思えてくるほどの静寂。
これは株を下げるとかよりも、単純に気まずい。
何か話した方が良いことだけは分かるのだが………。
彼女はついに携帯を確認しだした。
俺も携帯を見ようとするも、吉井の携帯のパスワードなど知る由もなく、ひたすら野鳥の動向を目で追う。
「えっと。そういえば………さ、最近、うちに新しい家族が来たんだ」
滝川さんは何か話題を思いついたのか、無理に出そうとしたせいで一瞬言葉に詰まるも、なんとか話しきる。
「えっとこの子。パグのマクガフィンちゃん」
彼女は自身の携帯に映る犬の写真を見せる。しかし、携帯はひび割れており、ちょうどマクガフィンちゃんの目が潰れていた。
「お、おう」
俺は苦笑いしつつも、彼女の犬を見て「可愛いね」とか「パグって感じだね。パグ」と意味の分からない言葉を吐く。
「うん。可愛いの。ビセソワ・フランシスコ・マク・デ・マリア・ウランティーヌ・マク・オセアンティヌス・マク・ビシソワーズ・マク・マクガフィンちゃん」
「え?」
なんか今、魔法攻撃でも受けたか?
俺は当惑し、彼女の顔を見るも、彼女は変わらぬ笑顔で俺を見る。
「だからビセソワ・フランシスコ・マク・デ・マリア…………」
「いやいや。それは聞いたから。何それ?ピカソ的な?後、そのマクって何?さっきからずっと挟んでくるけど。接続詞的な?」
「そうそう。マクが接続詞みたいな」
この子が賢いなんて、やはり嘘だったのだ。
「なんか他にもツッコミどころはあるけど、ビシソワーズって何なの?その犬ころはジャガイモ好きなの?ゆくゆくはスープにでもして食うの?」
「え?なんで?」
「いやこっちこそなんでだよ!!」
「えらく饒舌に話すね。吉井くん?」
あ、しまった。
俺は吉井のキャラを忘れて、盛大に彼女に突っ込んでいた。
彼女は氷のような冷めた顔でこちらを睥睨していた。
二人とも運動部なのでウォーキングが苦にならないし、高校生は金がないので歩いて時間が潰せるならそれに越したことはない。
彼女は砂糖タワーを見た衝撃を野鳥やら、公園の噴水をみることで和らげているようだ。
そして、「見て。あれ。綺麗な鳥だね。なんて種類だろうね?」
「さぁな。知らん」
と俺の塩対応から会話を断ち切ってしまえば、ロマンスなど生まれない。
俺たちは五分ほど歩くと、噴水前のベンチに腰掛ける。
彼女はカバンからハンカチを出すと、俺ように持ってきたのかもう一枚のハンカチを俺に差し出すが、俺はそれを拒否する。
そして、映画館で買っていた「魔法少女」の可愛らしいアニメ絵のハンカチを取り出し、額を拭う。
アニメ絵の少女は目が大きく、吹き出しには「マジックプリプリプリン!」とピンクの文字で書かれている。
「えっと………それは?」
「ああ。可愛らしいだろ?ポップでキュートでキャッチ~だろ?」
俺は魔法少女に関しての話題に触れた途端にこれでもかと頬を引っ張り、歯をすべて見せつけんばかりに満面の笑みを彼女にお見舞いする。
「えっと………そうだね」
魔法少女と対面した彼女は梅干しをほおばったような渋い表情で、「プリプリプリンて……」とか「その絵柄の女の子って目が大きいね。吉井くんが拭いたことでアス比がめちゃくちゃになってるよ」とか呟いている。
俺たちの会話はそこで一度途切れた。
夕空の下、俺たちは長年連れ添った老夫婦のように、公園のベンチにいた。
嘘である。
曇り空の下、何も話すこともせず、全く関心のない野鳥を見たり、延々噴き出す噴水の流れを目で追ったりと時間を無理やり潰していた。
午後四時という、帰るには早過ぎ、続けるにしては迷う時間帯。
無表情の彼女と、暇そうな俺。
鳥の鳴き声などもはや聞こえない。噴水の音だけが雑音にも思えてくるほどの静寂。
これは株を下げるとかよりも、単純に気まずい。
何か話した方が良いことだけは分かるのだが………。
彼女はついに携帯を確認しだした。
俺も携帯を見ようとするも、吉井の携帯のパスワードなど知る由もなく、ひたすら野鳥の動向を目で追う。
「えっと。そういえば………さ、最近、うちに新しい家族が来たんだ」
滝川さんは何か話題を思いついたのか、無理に出そうとしたせいで一瞬言葉に詰まるも、なんとか話しきる。
「えっとこの子。パグのマクガフィンちゃん」
彼女は自身の携帯に映る犬の写真を見せる。しかし、携帯はひび割れており、ちょうどマクガフィンちゃんの目が潰れていた。
「お、おう」
俺は苦笑いしつつも、彼女の犬を見て「可愛いね」とか「パグって感じだね。パグ」と意味の分からない言葉を吐く。
「うん。可愛いの。ビセソワ・フランシスコ・マク・デ・マリア・ウランティーヌ・マク・オセアンティヌス・マク・ビシソワーズ・マク・マクガフィンちゃん」
「え?」
なんか今、魔法攻撃でも受けたか?
俺は当惑し、彼女の顔を見るも、彼女は変わらぬ笑顔で俺を見る。
「だからビセソワ・フランシスコ・マク・デ・マリア…………」
「いやいや。それは聞いたから。何それ?ピカソ的な?後、そのマクって何?さっきからずっと挟んでくるけど。接続詞的な?」
「そうそう。マクが接続詞みたいな」
この子が賢いなんて、やはり嘘だったのだ。
「なんか他にもツッコミどころはあるけど、ビシソワーズって何なの?その犬ころはジャガイモ好きなの?ゆくゆくはスープにでもして食うの?」
「え?なんで?」
「いやこっちこそなんでだよ!!」
「えらく饒舌に話すね。吉井くん?」
あ、しまった。
俺は吉井のキャラを忘れて、盛大に彼女に突っ込んでいた。
彼女は氷のような冷めた顔でこちらを睥睨していた。
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