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2章74話
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オーディンから貰った竜王ヴァースキの目玉を嵌めると目玉の意思が文字化して見えた。
意思がある目玉…メメメの目太子の目玉お婆を思い出してクスッと笑ってしまった。
それで、僕は文字を読むのが面倒で具現言語を使って声を与えられて話しが出来るか試してみた。
「は、はじめまして!志村晴人です!喋れますか?ヴァースキさんの…目玉さん?」
[はいはい…はじめましてだ!その無神経過ぎる呼び方、それと残念なコミュ力に祝って拍手!まあ…手はないがな…]
具現言語魔法は成功して意思疎通は出来て声も聞こえた。
しかし…正確に急所を突いてくる辛くて容赦ないこのツッコミに…僕は少しイラッとした。
「……返品します」
[待て待て!他人の好意で貰ったのにそりゃないだろ!]
「そ、そうですね…」
[全く!今時の若い奴はなっとらんな…]
「……なので廃棄します」
[ま、待て待て!なんて奴だ!ひ、人でなし!やめろ!やめて!お、お願いします…]
僕が本気で取り出して握り潰そうとした事を感じ取ったヴァースキの目は…焦ったせいかピントがずれて視野がボヤけてた。
「なら…なんと呼べばいいですか?」
[ヴァースでいい…やっとオーディンから離れたと思って喜んだのにとんでもない奴に会った気がするわ]
「ん?オーディンと何があったんですか?」
[うん…色々ね、アイツ風呂もあまり入らないし…だらし無いし…それにタイプじゃない」
「タイプ?女性!いやメスか!」
[バカじゃないの?目玉に性別なんかある訳ないだろう]
確かにそうだが…何故か変な気がした。
「えっと…ヴァースさんの好きなものは?」
「可愛い男とカッコいい男だ!」
「……趣味は?」
「いい男を眺める事!」
これはダメなやつだ…不良品だわ。
[ふ、不良品だと!失礼しちゃうわね!お前も同じ男でも格好いい人を見たら…かっけーっと思うことあるだろ!]
確かにそうだが……でも[お前も同じ男]が何故か凄く引っかかって仕方がない。
ヴァースは僕が思った事と感情を把握出来るようだ。
変な奴ではあるが左目の代わりと暇つぶしには悪くなさそうで廃棄するのは辞める事にした。
それにオーディンが言っていたルーンの魔法を刻んである効果なのか、周りの生物の位置や数と種族まで把握出来る。
[それだけじゃないぞ…暗い場所でも明るく見える機能もある]
「へぇ…そうなんだ」
[色々私の能力を試して見るといい]
それを聞いてその機能も試してみた。
「いくぜ!光視力ビーム!」
暗い所でも良く見えるように目からハイビームが出た。
目からハイビームだけじゃなくズームイン機能まであった。
これは最早サイボーグだね…。
もう人間である事を諦めると少し気が楽になった。
それで…面白さ半分と調子に乗って腕を森に向けて叫んだ。
「……ロケットパンチ!」
その時…腕から激痛を感じた。
[おい!ハルト!左腕の大動脈から異常な程の量の血液が集まってるぞ!」
「えっ?まじ?」
[で、出るぞ!]
僕の腕は血を噴射しながら凄いスピードで飛んで行った。
それはかなり威力もあって…飛んで行った方向にはその跡で地面と森に道が出来た。
しかし、戻って来る技能はないようだ。
仕方なく左腕を探しに走ったが、貧血で体が上手く動かない。
この技は封印決定だな…。
[ハルト!前方から得体知らない物体が接近中だ…脅威度は超危険!」
「な、何が来てるんだ?ヴァース!ズームインだ」
[了解!]
視力が拡大されて…その脅威度が超危険の得体知らない物体が見えた。
それは二本指で必死に走って胴体に戻って来ている…僕の左腕だった。
[何だありゃー!]
「おお!左子ぉぉぉぉ!」
戻って来た左腕は僕の胸に飛び込んで来て…僕も嬉しくてぐっと抱きしめてあげた。
そして…一瞬で結合完了した。
[あ、あの…私、オーディンの元に戻っていい?]
「構わないけど…貰った物を返す…そんななってない子と思われたくないから廃棄してもいい?」
[……いいえ、ここでいいです]
失った左目はなんとかなった。
あとはルル姉を待つのみだが…心配でたまらん!
意思がある目玉…メメメの目太子の目玉お婆を思い出してクスッと笑ってしまった。
それで、僕は文字を読むのが面倒で具現言語を使って声を与えられて話しが出来るか試してみた。
「は、はじめまして!志村晴人です!喋れますか?ヴァースキさんの…目玉さん?」
[はいはい…はじめましてだ!その無神経過ぎる呼び方、それと残念なコミュ力に祝って拍手!まあ…手はないがな…]
具現言語魔法は成功して意思疎通は出来て声も聞こえた。
しかし…正確に急所を突いてくる辛くて容赦ないこのツッコミに…僕は少しイラッとした。
「……返品します」
[待て待て!他人の好意で貰ったのにそりゃないだろ!]
「そ、そうですね…」
[全く!今時の若い奴はなっとらんな…]
「……なので廃棄します」
[ま、待て待て!なんて奴だ!ひ、人でなし!やめろ!やめて!お、お願いします…]
僕が本気で取り出して握り潰そうとした事を感じ取ったヴァースキの目は…焦ったせいかピントがずれて視野がボヤけてた。
「なら…なんと呼べばいいですか?」
[ヴァースでいい…やっとオーディンから離れたと思って喜んだのにとんでもない奴に会った気がするわ]
「ん?オーディンと何があったんですか?」
[うん…色々ね、アイツ風呂もあまり入らないし…だらし無いし…それにタイプじゃない」
「タイプ?女性!いやメスか!」
[バカじゃないの?目玉に性別なんかある訳ないだろう]
確かにそうだが…何故か変な気がした。
「えっと…ヴァースさんの好きなものは?」
「可愛い男とカッコいい男だ!」
「……趣味は?」
「いい男を眺める事!」
これはダメなやつだ…不良品だわ。
[ふ、不良品だと!失礼しちゃうわね!お前も同じ男でも格好いい人を見たら…かっけーっと思うことあるだろ!]
確かにそうだが……でも[お前も同じ男]が何故か凄く引っかかって仕方がない。
ヴァースは僕が思った事と感情を把握出来るようだ。
変な奴ではあるが左目の代わりと暇つぶしには悪くなさそうで廃棄するのは辞める事にした。
それにオーディンが言っていたルーンの魔法を刻んである効果なのか、周りの生物の位置や数と種族まで把握出来る。
[それだけじゃないぞ…暗い場所でも明るく見える機能もある]
「へぇ…そうなんだ」
[色々私の能力を試して見るといい]
それを聞いてその機能も試してみた。
「いくぜ!光視力ビーム!」
暗い所でも良く見えるように目からハイビームが出た。
目からハイビームだけじゃなくズームイン機能まであった。
これは最早サイボーグだね…。
もう人間である事を諦めると少し気が楽になった。
それで…面白さ半分と調子に乗って腕を森に向けて叫んだ。
「……ロケットパンチ!」
その時…腕から激痛を感じた。
[おい!ハルト!左腕の大動脈から異常な程の量の血液が集まってるぞ!」
「えっ?まじ?」
[で、出るぞ!]
僕の腕は血を噴射しながら凄いスピードで飛んで行った。
それはかなり威力もあって…飛んで行った方向にはその跡で地面と森に道が出来た。
しかし、戻って来る技能はないようだ。
仕方なく左腕を探しに走ったが、貧血で体が上手く動かない。
この技は封印決定だな…。
[ハルト!前方から得体知らない物体が接近中だ…脅威度は超危険!」
「な、何が来てるんだ?ヴァース!ズームインだ」
[了解!]
視力が拡大されて…その脅威度が超危険の得体知らない物体が見えた。
それは二本指で必死に走って胴体に戻って来ている…僕の左腕だった。
[何だありゃー!]
「おお!左子ぉぉぉぉ!」
戻って来た左腕は僕の胸に飛び込んで来て…僕も嬉しくてぐっと抱きしめてあげた。
そして…一瞬で結合完了した。
[あ、あの…私、オーディンの元に戻っていい?]
「構わないけど…貰った物を返す…そんななってない子と思われたくないから廃棄してもいい?」
[……いいえ、ここでいいです]
失った左目はなんとかなった。
あとはルル姉を待つのみだが…心配でたまらん!
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