異世界で僕…。

ゆうやま

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17話 その2

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双子の事を聞いたクイル兄さんは僕達を誘ってくれて3人で高難易度の依頼を何度か一緒にやった。

クイル兄さんは剣術の達人で貴族から剣術指南役に何度も頼まれるほどである。

でも、その話を全部断った。

堅苦しいの貴族は嫌いらしい。

依頼を終わらせて時間が空いた時は僕に剣術の稽古をつけてくれたりして今はすごく仲良くなった。

「ようー!ハルト!帰って来たか!」

「クイル兄さん、お客さんだよ♪バブ~バブ~」

「頭…大丈夫か?」

「貴方のお客様のせいでイラついてます…バフ~」

「ん?俺に客?」

「元気そうだな クイル…」

「お前!マリーヌか!久しぶりだな!最後に会ったのは4年前か?」

マリーヌという依頼人はクイル兄さんと古い知り合いのようで彼女は顔を合わせると照れ臭いように笑った。

うむ…この二人、なんかあるような関係のよいな気がして面白そうな事になるんじゃないかと思いちょっとみてから帰ろうとした。

その時、おじさんとネイビー姉さんが地下から戻った。

「はぁ~やっと手入れが終わったわ…おーい!クイル?」

「や、やぁ…ネイビーも……久しぶり」

「マリーヌ……」

「……」

ネイビー姉さんの表情を見るとこれは三角関係ではないかと…益々面白くなって目が離せない。

「4年ぶりね…急にパーティーを出て心配したけど元気そうでなりよりだよ」

「ああ…あの時は理由も言わずに出て悪かった」

「理由は荒方聞いてる…大変だったでしょ?」

「もう大丈夫だから安心して」

修羅場が見れるのかと思ったがそうでもなかったようでササっと退散しようとした。

「坊主…そこに座れ」

「は?はぃ…」

宿に戻ろうとしたがおじさんに何故か止められた。

悪い予感しかしないがおじさんには逆らえない。

今までたくさん面倒をみてくれて多大な迷惑をかけたからである…。

「彼女からの依頼だ!聖都エデールまで護衛任務だ」

「聖都まで?」

「護衛?」

「依頼料は金貨200枚、必要経費まで負担するらしい…やるか?」

「ふむ…この時期に聖都の護衛か…まあ、俺はいいけどネイビーは?」

「うん…報酬もいいし、断る理由はないね」

二人はその護衛依頼に疑問を持った顔をしていたが断らず依頼を受けた。

「本当にありがとう、クイル、ネイビー!あと一人は?」

「ああ…この坊主だ」

えっ?何故そうなるんだよ!

おじさんは僕を猫掴みして依頼人の前に出した。

「おい!正気か?子供だぞ…」

そうた!そうだ!僕は子供!守って貰わないといけない子供!護衛難しいバブ~バブ~」

「だから!それやめろってんの!!」

何か厄介な予感がプンプンしてこの依頼は乗る気にならなかった。

「ハルトなら問題ないか…」

「だね…それ以上の人も居ないしね」

僕の意見など聞かず依頼の話を勝手に進めていた。

「あの?僕には拒否権ないんですか?」

「無いね、俺の指名だ!それに、そろそろお前も護衛任務も経験した方がいいだろ?クイル達も一緒だしな…丁度いいと思ってな」

「分かりましたよ!!イリヤもリリヤも別口の依頼でしばらくいないし…やりますやればいいでしょ!」

おじさんの指名だけは拒否出来なくて足掻くのはやめて依頼受けると決めた。

「マリーヌ…」

「如何なさいました?」

マリーヌの言葉遣いから察してこっちのフードを被ったもう一人、この人が護衛対象だと直感した。

「お嬢様は危険な任務をこのような少年に任せるのは気が重いと…それは私も同じだ」

その話を聞いてひょっとしたらやらなくていい状況に転がるんじゃないかと期待した。

依頼主のお嬢さん!行け行け!押し通せ!

「大丈夫だ、こいつは化け物だ」

「あ?今何つった?筋肉ダルマ!!ゴホン…もはや人間扱いもしてくれないの…クイル兄さん…」

「出発はいつだ?」

「買い出しもしないとね…」

僕の抗議を二人はさらっと無視した。

しかし!まだマリーヌと依頼主は納得しないようで微かな希望を持って依頼主に熱い視線を送った。

「クイル、君を指名した意味分かるよね…」

「ああ…」

「まだ、子供には荷が重いし、時と場合では人を…」

「わってるよ…ハルトなら大丈夫だから」

「クイル…お前が珍しく強く推薦するってことはいい腕をしていると信用しよう…だが私とお嬢様が納得出来るように実力を見せて貰う!」

「ハルト、悪いが彼女に付き合ってくれるか?」

「はぁー?」

依頼を受けるしかないなら…お気に入りの鎧を失ったこの憂鬱な気分をぶっ放す丁度いい機会と思ってその提示を受けた。

「ハルト…お願いだから手加減しろよ」

「僕、子供だから手加減?ワカラナイ♪♪」

「おいおい……ま、待って!」

僕とマリーヌはギルド内にある練武場に行った。

「全力で来い!世の厳しさを教えてあげよう」

「全力でやっていいの?下手したら死ぬよ?」

「は?ガキが…少し出来るようになったからと自惚れるな!」

マリーヌは剣を抜いて容赦なく瞬速で先手を打って来た。

.
.

練武場の外でクイルとネイビーは不安そうな表情をした。

「な…お嬢…止めなくていいか?」

「マリーヌに任せてあります…」

「そういう意味じゃないんだけどね…クイル止めに行こウヨ」

「ああ…止めに行ったほうがいいかもな…あいつ何か機嫌悪そうだったし…」

その時だった…。

とっかーーーん!!と爆音がしてギルド内部がが揺れた。

その衝撃で練武場のドアが壊れた隙間からハルトとマリーヌの声が聞こえた。

「あーれぇ?避けたね…凄い!やるっ!」

「うっそ!ちょ…ちょ…ちょっとまっ!」

「バブ~バブ~♪ほいっさ」

ガーーン!

またギルドが揺れた。

「いやいや…きゃーっ!!」

「きゃっーーほぅ♪♪うりゃー」

「くっはぁぁ!!………」

そして、何か激しく当たる重い音がした。

「う、うう…」

「そっちから申し出たのに訴えたりしないよね?♪うひひひ」

「や…や、やめ………」

何か叩きつける音がしてしばらく…マリーヌの声も衝撃音も意味不明なやり取りの声も聞こえ無くなった。

「遅かったか……」

「たね……」

「?????」

練武場から出たハルトはマリーヌを引き摺り出した。

「終わったよ…クイル兄さん」

「うん……こりゃ…回復薬大量にいるね」

「きゃーーー!!マリーヌ!」

マリーヌは手足が折られてお嫁に行けないような顔になっていた。

これで三人…護衛依頼は決まったのであった。
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