恋の居場所

桜庭 葉菜

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期末テスト 1

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 今日の朝は私が少しばかり寝坊したため、アキラとは会わなかった。

 そしていつも通りのはずの授業はテスト前になったからか、少しだけ緊張感のあるものになってきた。

「ゆーりー」

 急に背中が重くなる。

「うわあっ!」

 抱きついてきたその人をなんとか支え、倒れることは免れる。

 後ろを確認すると、さながいた。

 さなとは去年知り合い、2年続けて同じクラスになった1番仲のいい女子だ。

 チャラそうな雰囲気をしているけど、成績は学年でトップ10に入るくらい優秀。

 そういえばここのところ私がゲームばかりであまり話していなかったかも。

「もー、寂しかったよー。だからその分今日は一緒に勉強しよ?」

 今はテスト前でゲームはやらないし、勉強ならちょうどいい。

 私達は近くのファストフード店で一緒に勉強をすることにした。

 席はあえて隣同士になれるカウンター席を選ぶ。

 私は軽くつまめるポテトと、いつもより大きいサイズのオレンジジュースをチョイス。

 さなはアイスクリームと、私と同じように大きいサイズの飲み物を持っていた。

「やっぱり夏のアイスはいいねー!」

 溶けないうちにと、早めにアイスを食べるさなを隣に、私は歴史の教科書を取り出した。

「斎藤とはどんな感じなのー?」

 斎藤、あきらの名字だ。

下の名前でばかり呼んでいると、たまに名字を忘れてしまう。

「どんな感じって?」

「付き合ってるんでしょ?」

「つき…………ぇえ!?」

 どうしたらそんな風に見えるんだ?

 私とあきらは全くそんな関係ではないのに。

「えー、付き合ってないのー?」

「付き合ってないよ。私、あきらを恋愛対象になんて見たことないし……」

 だって、あきらと手を繋いだりキスしたり……そんなこと考えられない。

「でも斎藤はゆりのこと、好きだと思うなー」

「え、あきらが?」

 あきらが私のことを好き?

 そんなそぶり、今まで見せたことないのに。

 それよりも──

「なんでさなにはわかるの?」

 そんなにわかりやすいものなのだろうか?

「わかるよー! 斎藤はゆり以外の女子とはほとんど話さないし、ゆりにばっかり優しいし」

「私ばっかりと話すのは幼馴染だからかもしれないし……優しいってのはどうだろうなぁ」

「もー。ゆりはわかってないなぁ」

 なんて残念がりながら、さなは飲み物を飲む。

 あきらが私を好き、かぁ。

 想像ができない。

 まさかいつか告白されちゃったりする?

 でも私はあきらとはこのままの幼馴染でいいんだけどな。
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