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告白
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『告白』
2人は、看板を店の前へ出し、店内から金魚の水槽を運び出す。
「はぁぁ~・・・。なかなか腰にくるなこりゃあ。」
「そんなガっタガタの体で、何が護衛だよ。」
「へへっ。たまにゃあ格好つけさせろよ。」
「年寄りの無理は、かえって哀れに見える。慣れねぇことすんな。必要と思えば、適材に連絡するさ。」
大きな水槽へ金魚を移し、老婆は空の水槽を持って店内へ向かう。
権三は、その背に問いかける。
「・・・聞かねぇのか。」
老婆は立ち止まり、空の水槽を隅へ置き、権三へ向き直る。
「聞いたら、正直に話す覚悟はできてんのか。」
「・・・はぁ~。銀さんは本当に・・・厄介な婆さんだなぁ。」
「そりゃこっちの台詞だ、ジジイ。」
売り言葉に買い言葉を交わし、権三は問いかける。
「・・例の勘は何て言ってる。」
「あんたの事だろ。そんなもん、聞いてどうする。」
「銀さんの力の精度を知りてぇんだ。てめぇの事だからこそ、それがより詳しく分かる。そうだろ?」
老婆は数秒思案し、口を開いた。
「様子がおかしいと思ったのは、昨日からだ。あのカリビトの話をしてから。それから、パトカーを運転して帰るところを見送ってたら、何故だか急に思い浮かんだ。」
「・・何が。」
「ほら、いつもあんたの携帯に映ってるやつ。あれは・・あんたの孫の入学式か?」
「・・孫のゆり子。高校の入学式だ。都内の学校で・・・第1志望校に合格した。この村から通うには遠すぎるんで、娘と一緒に都内へ引っ越した。」
「・・・それから、もう何年経った?」
「・・・かれこれ、3年は経ったかね。」
「なのに、写真は未だに高校の入学式のまま。」
「・・・この時が、1番幸せだったのさ。ゆり子は。」
「・・良い答えだ。これ以上口にしてほしいか。」
「・・・・・・・。」
「・・それでいい。男は痛みに弱いもんだ。旦那もそうだった。」
「孫の話なんざ銀さんにしたことねぇのに、よぉく出てきたもんだ。やっぱり、すげぇ力だなぁ。」
「何を今さら。」
「・・・時々、ゆり子から電話がきた。学校はどうだと聞くと、まぁまぁかな?と答えた。それに、最近彼氏が出来たとか?へっ、夢のためにはるばる上京したってぇのに、なぁにが彼氏だ!って言ってやりたかったが、嬉しそうに相手の事話してる声を聞いてたら、言えなくなっちまってなぁ。結局、ゆり子が幸せならそれでいいと思ったんだ。」
「年頃の娘だ。どこの娘だってそんなもんさ。」
「まぁな。その辺のチャラチャラしたモンと同じんなっちまったかと思ったが、イジメに遭っているクラスメイトを助けたと聞いた時は、とても誇らしかった。あの子の夢は、警察官になることだ。弱い者イジメを止めるくらい出来なくちゃ、警察官になんてなれないって、イジメの現場を目撃する度に、間に割って入ったらしい。良い子なんだ、本当に・・・。だがそのうちに、標的はゆり子に変わった。それで、ゆり子も変わっちまった・・・。」
「・・・・・・・。」
老婆は、権三から目をそらし、崖の方を見つめる。
「その辺りから、ゆり子から電話が来なくなっちまった。何度かかけたが繋がらなかった。娘に電話したら、最近元気が無くて、毎日イライラしていると。きっと思春期だからだと、ワシも娘も思い込んだ。だが、2年に上がると、ゆり子は不登校になった。部屋にこもって、食事もロクにとらねぇ。あとから知ったんだが、かなり酷いイジメを受けてたらしい。ゆり子の日記に・・・詳しく書いてあった。最初の頃は、学校へ訴えるつもりで書いていたらしい。自分以外にも被害者がいたからだ。訴える前に、親にも相談しようと思っていたようだが、相手に言われたそうだ。[誰かに話したら、あんただけじゃない。お母さんも生きづらくなるよ。]って。」
「へっ、馬鹿馬鹿しい脅しだ。高校生如きに何が出来る?」
「出来るんだよ今は、銀さん。インターネットってのは、無いことを、まるで事実みてぇにでっち上げられる媒体なんだ。ゆり子もそれを恐れて、手出し出来なくなった。」
「・・・理解不能だよ、あたしには。でも、でっち上げに関しては、抜きん出た人間達がいることは知ってる。ケツの青いガキの中にまでいるとはねぇ。」
「顔が見えねぇ分、何でも出来ちまうんだよ、ネットの世界は。子供が大人になりすますことも、その逆も。ゆり子もそれを理解していた。」
老婆は、世も末と言わんばかりの表情を浮かべる。
「不登校になってから、例の彼氏とも会わなくなった。それでも、彼氏は毎日欠かさず連絡してきて、何度も家まで足を運んでくれたらしい。娘が言うには、若いのにとても献身的な子だったそうだ。そんな思いが伝わって、ゆり子も彼氏だけは部屋に入れるようになった。時々2人の笑い声が聞こえてきて、娘もホッとしたし、彼氏にゃとても感謝していた。」
権三は、苦々しく顔を歪めて語る。
「・・・上手く取り入った。そんなところか。」
老婆の言葉に驚きを見せながら、権三は黙って頷く。
「不登校は続いていたが、時々彼氏と2人で外出するようになった。最初の内は、すぐに調子が悪くなって帰ってきたが、徐々に外出の時間が長くなって、ある日2人で旅行に行く事になった。娘は、まだ高校生なのにどうかとも思ったが、彼氏は信頼性があるし、せっかく外に出られるようになったからと、快く承諾したそうだ・・・。」
「・・・・・・・・。」
「・・1日目の夜までは連絡が取れたが、2日目は朝から連絡が取れなかった。帰ってくる日でもあったし、娘もあまり連絡ばかりして楽しんでるところ邪魔しても悪いかと思って、帰ってくるまで電話しないでおこうと決めた。だが・・・、ゆり子は深夜になっても、夜が明けても帰ってこなかった。娘はゆり子に連絡したが、まだ繋がらなかった。嫌な予感がしてすぐに警察に連絡して、ワシにも連絡してきた。すぐに都内へ飛んで、刑事時代の知り合いにも協力を頼んだ。ほんの数日帰って来ねぇだけじゃあ、警察はただの家出と判断してすぐに動いちゃくれねぇのは分かっていたんでね。あの子に限って、それはねぇ。親バカジジバカ上等で、内密だが本格的に捜査を始めた。すぐに見つかったよ・・・。2人の旅行先の警察署に、匿名の通報が入ってな。連絡が取れなくなってから、2日後のことだ・・・。山奥の登山道脇の斜面に人が倒れていると。熊がうろついて近づく事が出来ないから、早く助けてあげて下さいと。すぐにその山中を捜索して・・・協力してくれた地元の猟師が発見。発見したのは、食い散らかされた死体・・・ゆり子の遺体だった。男性の・・・彼氏の遺体は発見されなかった。だが、猟師が遺体の傍に男性のものらしき足跡を発見。現場から登山道まで往復し、その後登山道を使って下山した事を物語っていた。しかも、逃げるのに必死こいたようなモンじゃなく、ゆったりと歩いて戻った足跡だった。その後、ゆり子を襲ったと思われる熊は、猟師の手により射殺された。口内から採取した血痕や肉片は、ゆり子のものだけ。襲ったにしては、大きな血溜まりが見あたらないことから、死後襲われた事が分かり、ゆり子の遺体は検死に回された。死因は、頭部外傷死。後頭部を鈍器で一撃で即死したそうだ。」
「・・・彼氏は。」
「娘から[透部力亜]と名乗っていたと聞いて、名前から住所を割り出そうとしたが、偽名だった。未だに顔も足取りも掴めねぇ。唯一、顔を知っているのはワシの娘だ。だが、ゆり子の変わり果てた姿と対面して、ショックで記憶障害を起こしちまった。今も入院中で、会話もまともに出来ん。医者は、このまま戻らない可能性が高いが、何かをきっかけに記憶が戻った例もあると。」
「・・つまり、彼氏が見つかって顔を見せたら、記憶が戻る可能性もなくはないと?」
「ああ。しかもその彼氏、ワシはカリビトと踏んでる。」
「やっぱりな。だがその根拠はなんだ。死因は頭部を鈍器で一撃と言ったな。ヤツは手を汚すのを嫌う・・・ってこたぁ、汚した経験があるから嫌ってやがんのか。」
「多分な。だが決め手はそれじゃねぇ。ゆり子の日記の後半は、[死にたい][いなくなりたい]そんな言葉だらけだった。そんな言葉の後には、決まってゆり子の絶望に同調する彼氏のことが記されていた。日記は、旅行の前日で終わっていた。内容は、[明日、2人であの世へ旅立ちます。お父さん、お母さん、お爺ちゃん、お婆ちゃん。ごめんなさい。でも、怖くないよ。1人じゃないから。]遺書だった。」
「・・・・・・・。」
「これで、分かったろ。自殺志願者を焚きつける手口。心中するとみせかけてテメェはトンズラ。アイツに間違いねぇ。」
「・・・それで、カリビトが姿を現したら、どうするつもりだい。」
「そりゃあ決まってんだろ。本当の顔を拝んで、殺人罪で逮捕。あとは、刑法に委ねる。それだけだ。」
「・・・権三、お前はそこまで理性を保てるか?」
「おい銀さん、ワシを何だと思っとる。」
「定年間際の警察官だ。それ以前に、弱みにつけ込まれ、騙され、無惨に殺された女子高生の孫がいた爺さんだ。犯人を目の当たりにして、まともな判断なんぞ・・・そうできるモンじゃなかろう。」
「・・・そん時は、死んで償うさ。」
「・・・あ?」
「出来れば銀さんに・・始末してもらえたら・・・」
老婆は権三に近寄り、老いて張りの無い頬を平手打ちし、
「ふざけんじゃねぇッ!!」
血相を変えて怒鳴り散らす。そして、襟に掴み掛かって顔を近づけて、互いの目を覗き込む。
「あたしにまた・・あの苦しみを味わえってのか・・・?こんのクソジジイが・・・。一体今まで・・なに見て生きてきやがった。」
「・・・そうだよな。ずっと、苦しんできたもんなぁ・・・。すまん・・・今のは忘れてくれ。」
権三は、暖かく慈愛に満ちた目で告げる。老婆は唇を震わせて、掴んだ襟を離して背を向ける。
「・・おまえ・・・帰りな。」
「・・カリビトは、おそらく[すくいや]を狙ってる。通常通り逮捕するつもりだが、出来なきゃあ差し違えてでも終わらせる。終わらせなきゃいかん。これ以上被害者を出したくねぇんだ。頼む・・・。」
「断る。復讐心は、人を狂わす。1度帰って頭冷やしな。テメェの汚れたケツをテメェで拭こうともしねぇで、死んで済ませようなんて奴、いられても迷惑なんだよ。ここは、あたしら[すくいや]の仕事場だ。あんたには、あんたの場所と、やり方があんだろ。見つけろ、権三。今こそ、まともに向き合う時だろうが。娘はまだ生きてんだぞ?これ以上、家族を失わせんな。」
老婆は権三を放置して店に入り、出入り口のガラス戸を閉める。
カウンター越しに、厨房の裕貴と目が合う。
「大丈夫?」
「ああ。」
「権三さんは。」
「1度帰れと言った。入ってきたら追い出せ。少し、奥にいる。問題ないな?」
「うん。」
顔色が悪い老婆を、裕貴は見送る。
奥の部屋へ老婆が引っ込むと、裕貴は仕込みを中断して、店の外へ出る。
辺りを見回すと、権三は崖へ向かって歩いていた。
「権三さん。」
老いて、少し曲がった背に、裕貴が声をかけると、権三は片手を上げる。
「ちょっと風に当たりてぇだけだ。ここの眺め、昔っから好きなんだよ。」
「へぇ、そうなんですか。」
相槌を打ちながら、裕貴は権三の背後に近づく。
権三は、崖の淵よりずっと手前で立ち止まる。
「高所は苦手なんだけどな。へへっ。オメェは、何ともねぇらしいな。」
「はい。ここしか知らないですけど、この崖を怖いと思ったことはないです。」
「怖いもの知らずたぁオメェの事なんだろうなぁ。だが、何となく分かるぜ。ここの崖は、他の高所と何か違う。」
「どう違うんです?」
「説明はできんが・・・ここに立って、海を見てると落ち着くんだ。」
「それって、景色に癒やされてるだけじゃないですか?」
「かもな。いやだからよ、なぁんでここまで来て自殺したがるのか、ワシには気が知れねぇんだ。自殺志願者が来んのは、大抵は日暮れ時や夜だ。それだとこの見透しの良い景色は見れねぇ。暗い海なんか、お先真っ暗じゃねぇか。皆、昼間のこの景色を見りゃあ、もしかすると気が変わるんじゃねぇか?ってよ。そんなこと、ずっと思ってきた。この景色を知らねぇで死ぬなんて・・・勿体ねぇ話だよな。」
「・・そうかもしれませんね。でも、大抵の自殺志願者は命を断つ事が目的でここへやって来ます。多分、景色なんて眺める心の余裕は・・・」
「・・だよな。だから[すくいや]がいる。」
「・・あの、カリビトの件ですけど、少し気長に構えていた方がいいと思います。」
「・・・・・・。」
「根を詰めて徹夜し続けて、いざ現れた時に権三さんが動けなくなってしまっていては、俺もお婆ちゃんも困ります。現れたらすぐに連絡することを約束しますから、今まで通りにして下さい。」
「・・・どうするつもりだ。」
「え?」
「さぁ奴が現れた。どうやって連絡する?店に現れたとしたら?店の電話か?オメェのスマホか?奴がそれを目にした瞬間に、銀さんみてぇに催眠か何かかけられちまうかもしれねぇ。もしくは、崖で身捨てを説得中に現れたら?身捨てを人質にされたら、身動きなんて取れんだろ。」
「・・・確かにそうですね。どうしようかなぁ~。アハハハっ。」
「笑えねぇよ。」
そう言って、権三はシャツのポケットから、小型部品を取り出す。
「発信器だ。袖口か、襟付きの服を着るようにして、襟の裏にでも忍ばせておけ。現れたら、何気ない動作をしてこのスイッチを押す。これが1番バレにくい。」
裕貴は受け取り、袖口に入れてみる。
「銀さんに渡しても、あの人は事が治まるまで知らせては来ねぇだろう。」
「俺は知らせますよ、必ず。相手は指名手配犯ですから。」
「・・・信じてるぞ。」
権三は、軽く裕貴の肩を叩いて、横を通り過ぎる。
権三は、店裏に停めたパトカーに乗って、店をあとにした。
裕貴は店へ戻り、厨房に入りかけて、奥の部屋の閉ざされた襖に目がいく。
さっき、外からしてきた怒鳴り声は老婆の声だった。なんて言ったのかは分からないが、きっと権三を叱りつけていたのだろうと、裕貴は思いながら、ノックもせずに襖を開ける。
「ぅ・・なんだ。どうした。」
「ううん。何もないよ。」
老婆は、和室の真ん中に座り込み、普段見たことないくらい辛そうな表情で胸に何かを押し付け、ギュッと抱きしめている。
裕貴は少し驚きながらも、平静を装って、靴を脱ぎ和室に上がる。
老婆は、若干気まずそうに胸に抱き締めている物を、裕貴に背を向けて隠す。
裕貴は出入り口にあぐらを掻いて座り、老婆と距離をとる。
「帰ったよ、権三さん。」
「・・そうみたいだな。車の音がした。」
「・・何があったの。」
「ん・・・。」
「いや・・別に無理にとは・・・」
その時、襖を開けた時に老婆が抱き締めていた物を思い出す。指の間から覗く模様に、見覚えがあるような気がする。
「・・お婆ちゃん。それ、見せてくれない?」
「・・見てどうする。」
「それ・・もしかして、帽子?」
「・・・ああ、そうだが。」
そう言って、老婆は裕貴に見せる。老婆が大事に胸に抱いていたのは、古い野球帽だった。
裕貴は、ツバの上に刺繍されたロゴを食い入るように見つめる。
「それ・・・」
「なんだ。」
「そのロゴ、夢で見たやつだ。」
「・・・・・・・。」
「誰の野球帽?」
「・・雅紀の、お前さんの父親が少年時代に使っていた物だよ。」
「じゃあ、俺の夢に出てきた少年は、親父だったんだ。」
「・・違う。」
「え?」
「この野球帽をひどく欲しがるもんだから、雅紀はあげたんだ。」
「・・誰に。」
「・・床に伏して、まともに外へ出られなくなった弟に。」
「・・・弟がいるなんて、聞いたことなかった。」
「背格好が、14・5歳だって言ってたな。」
「うん。」
「その頃だった。あの子が死んだのは。」
「・・そうだったんだ。」
老婆は再び、まるで胸の中に埋め込むように野球帽を押し付け、強く抱き締める。
その姿を見て、裕貴も珍しく胸を傷める。老婆から目を背けて、何とか取り繕う努力をする。
「ごめん。思い出させちゃって・・・」
「・・・れば・・・・」
「・・・・・・・?」
「・・っと・・はやく、気づいていれば・・・・・」
「・・・・・・・!」
裕貴はその時思い出した。崖の上の少年の夢を。全て思い出した。
「・・・殺した。」
「・・・・・え。」
「あたしが、あの子を殺したんだ。」
2人は、看板を店の前へ出し、店内から金魚の水槽を運び出す。
「はぁぁ~・・・。なかなか腰にくるなこりゃあ。」
「そんなガっタガタの体で、何が護衛だよ。」
「へへっ。たまにゃあ格好つけさせろよ。」
「年寄りの無理は、かえって哀れに見える。慣れねぇことすんな。必要と思えば、適材に連絡するさ。」
大きな水槽へ金魚を移し、老婆は空の水槽を持って店内へ向かう。
権三は、その背に問いかける。
「・・・聞かねぇのか。」
老婆は立ち止まり、空の水槽を隅へ置き、権三へ向き直る。
「聞いたら、正直に話す覚悟はできてんのか。」
「・・・はぁ~。銀さんは本当に・・・厄介な婆さんだなぁ。」
「そりゃこっちの台詞だ、ジジイ。」
売り言葉に買い言葉を交わし、権三は問いかける。
「・・例の勘は何て言ってる。」
「あんたの事だろ。そんなもん、聞いてどうする。」
「銀さんの力の精度を知りてぇんだ。てめぇの事だからこそ、それがより詳しく分かる。そうだろ?」
老婆は数秒思案し、口を開いた。
「様子がおかしいと思ったのは、昨日からだ。あのカリビトの話をしてから。それから、パトカーを運転して帰るところを見送ってたら、何故だか急に思い浮かんだ。」
「・・何が。」
「ほら、いつもあんたの携帯に映ってるやつ。あれは・・あんたの孫の入学式か?」
「・・孫のゆり子。高校の入学式だ。都内の学校で・・・第1志望校に合格した。この村から通うには遠すぎるんで、娘と一緒に都内へ引っ越した。」
「・・・それから、もう何年経った?」
「・・・かれこれ、3年は経ったかね。」
「なのに、写真は未だに高校の入学式のまま。」
「・・・この時が、1番幸せだったのさ。ゆり子は。」
「・・良い答えだ。これ以上口にしてほしいか。」
「・・・・・・・。」
「・・それでいい。男は痛みに弱いもんだ。旦那もそうだった。」
「孫の話なんざ銀さんにしたことねぇのに、よぉく出てきたもんだ。やっぱり、すげぇ力だなぁ。」
「何を今さら。」
「・・・時々、ゆり子から電話がきた。学校はどうだと聞くと、まぁまぁかな?と答えた。それに、最近彼氏が出来たとか?へっ、夢のためにはるばる上京したってぇのに、なぁにが彼氏だ!って言ってやりたかったが、嬉しそうに相手の事話してる声を聞いてたら、言えなくなっちまってなぁ。結局、ゆり子が幸せならそれでいいと思ったんだ。」
「年頃の娘だ。どこの娘だってそんなもんさ。」
「まぁな。その辺のチャラチャラしたモンと同じんなっちまったかと思ったが、イジメに遭っているクラスメイトを助けたと聞いた時は、とても誇らしかった。あの子の夢は、警察官になることだ。弱い者イジメを止めるくらい出来なくちゃ、警察官になんてなれないって、イジメの現場を目撃する度に、間に割って入ったらしい。良い子なんだ、本当に・・・。だがそのうちに、標的はゆり子に変わった。それで、ゆり子も変わっちまった・・・。」
「・・・・・・・。」
老婆は、権三から目をそらし、崖の方を見つめる。
「その辺りから、ゆり子から電話が来なくなっちまった。何度かかけたが繋がらなかった。娘に電話したら、最近元気が無くて、毎日イライラしていると。きっと思春期だからだと、ワシも娘も思い込んだ。だが、2年に上がると、ゆり子は不登校になった。部屋にこもって、食事もロクにとらねぇ。あとから知ったんだが、かなり酷いイジメを受けてたらしい。ゆり子の日記に・・・詳しく書いてあった。最初の頃は、学校へ訴えるつもりで書いていたらしい。自分以外にも被害者がいたからだ。訴える前に、親にも相談しようと思っていたようだが、相手に言われたそうだ。[誰かに話したら、あんただけじゃない。お母さんも生きづらくなるよ。]って。」
「へっ、馬鹿馬鹿しい脅しだ。高校生如きに何が出来る?」
「出来るんだよ今は、銀さん。インターネットってのは、無いことを、まるで事実みてぇにでっち上げられる媒体なんだ。ゆり子もそれを恐れて、手出し出来なくなった。」
「・・・理解不能だよ、あたしには。でも、でっち上げに関しては、抜きん出た人間達がいることは知ってる。ケツの青いガキの中にまでいるとはねぇ。」
「顔が見えねぇ分、何でも出来ちまうんだよ、ネットの世界は。子供が大人になりすますことも、その逆も。ゆり子もそれを理解していた。」
老婆は、世も末と言わんばかりの表情を浮かべる。
「不登校になってから、例の彼氏とも会わなくなった。それでも、彼氏は毎日欠かさず連絡してきて、何度も家まで足を運んでくれたらしい。娘が言うには、若いのにとても献身的な子だったそうだ。そんな思いが伝わって、ゆり子も彼氏だけは部屋に入れるようになった。時々2人の笑い声が聞こえてきて、娘もホッとしたし、彼氏にゃとても感謝していた。」
権三は、苦々しく顔を歪めて語る。
「・・・上手く取り入った。そんなところか。」
老婆の言葉に驚きを見せながら、権三は黙って頷く。
「不登校は続いていたが、時々彼氏と2人で外出するようになった。最初の内は、すぐに調子が悪くなって帰ってきたが、徐々に外出の時間が長くなって、ある日2人で旅行に行く事になった。娘は、まだ高校生なのにどうかとも思ったが、彼氏は信頼性があるし、せっかく外に出られるようになったからと、快く承諾したそうだ・・・。」
「・・・・・・・・。」
「・・1日目の夜までは連絡が取れたが、2日目は朝から連絡が取れなかった。帰ってくる日でもあったし、娘もあまり連絡ばかりして楽しんでるところ邪魔しても悪いかと思って、帰ってくるまで電話しないでおこうと決めた。だが・・・、ゆり子は深夜になっても、夜が明けても帰ってこなかった。娘はゆり子に連絡したが、まだ繋がらなかった。嫌な予感がしてすぐに警察に連絡して、ワシにも連絡してきた。すぐに都内へ飛んで、刑事時代の知り合いにも協力を頼んだ。ほんの数日帰って来ねぇだけじゃあ、警察はただの家出と判断してすぐに動いちゃくれねぇのは分かっていたんでね。あの子に限って、それはねぇ。親バカジジバカ上等で、内密だが本格的に捜査を始めた。すぐに見つかったよ・・・。2人の旅行先の警察署に、匿名の通報が入ってな。連絡が取れなくなってから、2日後のことだ・・・。山奥の登山道脇の斜面に人が倒れていると。熊がうろついて近づく事が出来ないから、早く助けてあげて下さいと。すぐにその山中を捜索して・・・協力してくれた地元の猟師が発見。発見したのは、食い散らかされた死体・・・ゆり子の遺体だった。男性の・・・彼氏の遺体は発見されなかった。だが、猟師が遺体の傍に男性のものらしき足跡を発見。現場から登山道まで往復し、その後登山道を使って下山した事を物語っていた。しかも、逃げるのに必死こいたようなモンじゃなく、ゆったりと歩いて戻った足跡だった。その後、ゆり子を襲ったと思われる熊は、猟師の手により射殺された。口内から採取した血痕や肉片は、ゆり子のものだけ。襲ったにしては、大きな血溜まりが見あたらないことから、死後襲われた事が分かり、ゆり子の遺体は検死に回された。死因は、頭部外傷死。後頭部を鈍器で一撃で即死したそうだ。」
「・・・彼氏は。」
「娘から[透部力亜]と名乗っていたと聞いて、名前から住所を割り出そうとしたが、偽名だった。未だに顔も足取りも掴めねぇ。唯一、顔を知っているのはワシの娘だ。だが、ゆり子の変わり果てた姿と対面して、ショックで記憶障害を起こしちまった。今も入院中で、会話もまともに出来ん。医者は、このまま戻らない可能性が高いが、何かをきっかけに記憶が戻った例もあると。」
「・・つまり、彼氏が見つかって顔を見せたら、記憶が戻る可能性もなくはないと?」
「ああ。しかもその彼氏、ワシはカリビトと踏んでる。」
「やっぱりな。だがその根拠はなんだ。死因は頭部を鈍器で一撃と言ったな。ヤツは手を汚すのを嫌う・・・ってこたぁ、汚した経験があるから嫌ってやがんのか。」
「多分な。だが決め手はそれじゃねぇ。ゆり子の日記の後半は、[死にたい][いなくなりたい]そんな言葉だらけだった。そんな言葉の後には、決まってゆり子の絶望に同調する彼氏のことが記されていた。日記は、旅行の前日で終わっていた。内容は、[明日、2人であの世へ旅立ちます。お父さん、お母さん、お爺ちゃん、お婆ちゃん。ごめんなさい。でも、怖くないよ。1人じゃないから。]遺書だった。」
「・・・・・・・。」
「これで、分かったろ。自殺志願者を焚きつける手口。心中するとみせかけてテメェはトンズラ。アイツに間違いねぇ。」
「・・・それで、カリビトが姿を現したら、どうするつもりだい。」
「そりゃあ決まってんだろ。本当の顔を拝んで、殺人罪で逮捕。あとは、刑法に委ねる。それだけだ。」
「・・・権三、お前はそこまで理性を保てるか?」
「おい銀さん、ワシを何だと思っとる。」
「定年間際の警察官だ。それ以前に、弱みにつけ込まれ、騙され、無惨に殺された女子高生の孫がいた爺さんだ。犯人を目の当たりにして、まともな判断なんぞ・・・そうできるモンじゃなかろう。」
「・・・そん時は、死んで償うさ。」
「・・・あ?」
「出来れば銀さんに・・始末してもらえたら・・・」
老婆は権三に近寄り、老いて張りの無い頬を平手打ちし、
「ふざけんじゃねぇッ!!」
血相を変えて怒鳴り散らす。そして、襟に掴み掛かって顔を近づけて、互いの目を覗き込む。
「あたしにまた・・あの苦しみを味わえってのか・・・?こんのクソジジイが・・・。一体今まで・・なに見て生きてきやがった。」
「・・・そうだよな。ずっと、苦しんできたもんなぁ・・・。すまん・・・今のは忘れてくれ。」
権三は、暖かく慈愛に満ちた目で告げる。老婆は唇を震わせて、掴んだ襟を離して背を向ける。
「・・おまえ・・・帰りな。」
「・・カリビトは、おそらく[すくいや]を狙ってる。通常通り逮捕するつもりだが、出来なきゃあ差し違えてでも終わらせる。終わらせなきゃいかん。これ以上被害者を出したくねぇんだ。頼む・・・。」
「断る。復讐心は、人を狂わす。1度帰って頭冷やしな。テメェの汚れたケツをテメェで拭こうともしねぇで、死んで済ませようなんて奴、いられても迷惑なんだよ。ここは、あたしら[すくいや]の仕事場だ。あんたには、あんたの場所と、やり方があんだろ。見つけろ、権三。今こそ、まともに向き合う時だろうが。娘はまだ生きてんだぞ?これ以上、家族を失わせんな。」
老婆は権三を放置して店に入り、出入り口のガラス戸を閉める。
カウンター越しに、厨房の裕貴と目が合う。
「大丈夫?」
「ああ。」
「権三さんは。」
「1度帰れと言った。入ってきたら追い出せ。少し、奥にいる。問題ないな?」
「うん。」
顔色が悪い老婆を、裕貴は見送る。
奥の部屋へ老婆が引っ込むと、裕貴は仕込みを中断して、店の外へ出る。
辺りを見回すと、権三は崖へ向かって歩いていた。
「権三さん。」
老いて、少し曲がった背に、裕貴が声をかけると、権三は片手を上げる。
「ちょっと風に当たりてぇだけだ。ここの眺め、昔っから好きなんだよ。」
「へぇ、そうなんですか。」
相槌を打ちながら、裕貴は権三の背後に近づく。
権三は、崖の淵よりずっと手前で立ち止まる。
「高所は苦手なんだけどな。へへっ。オメェは、何ともねぇらしいな。」
「はい。ここしか知らないですけど、この崖を怖いと思ったことはないです。」
「怖いもの知らずたぁオメェの事なんだろうなぁ。だが、何となく分かるぜ。ここの崖は、他の高所と何か違う。」
「どう違うんです?」
「説明はできんが・・・ここに立って、海を見てると落ち着くんだ。」
「それって、景色に癒やされてるだけじゃないですか?」
「かもな。いやだからよ、なぁんでここまで来て自殺したがるのか、ワシには気が知れねぇんだ。自殺志願者が来んのは、大抵は日暮れ時や夜だ。それだとこの見透しの良い景色は見れねぇ。暗い海なんか、お先真っ暗じゃねぇか。皆、昼間のこの景色を見りゃあ、もしかすると気が変わるんじゃねぇか?ってよ。そんなこと、ずっと思ってきた。この景色を知らねぇで死ぬなんて・・・勿体ねぇ話だよな。」
「・・そうかもしれませんね。でも、大抵の自殺志願者は命を断つ事が目的でここへやって来ます。多分、景色なんて眺める心の余裕は・・・」
「・・だよな。だから[すくいや]がいる。」
「・・あの、カリビトの件ですけど、少し気長に構えていた方がいいと思います。」
「・・・・・・。」
「根を詰めて徹夜し続けて、いざ現れた時に権三さんが動けなくなってしまっていては、俺もお婆ちゃんも困ります。現れたらすぐに連絡することを約束しますから、今まで通りにして下さい。」
「・・・どうするつもりだ。」
「え?」
「さぁ奴が現れた。どうやって連絡する?店に現れたとしたら?店の電話か?オメェのスマホか?奴がそれを目にした瞬間に、銀さんみてぇに催眠か何かかけられちまうかもしれねぇ。もしくは、崖で身捨てを説得中に現れたら?身捨てを人質にされたら、身動きなんて取れんだろ。」
「・・・確かにそうですね。どうしようかなぁ~。アハハハっ。」
「笑えねぇよ。」
そう言って、権三はシャツのポケットから、小型部品を取り出す。
「発信器だ。袖口か、襟付きの服を着るようにして、襟の裏にでも忍ばせておけ。現れたら、何気ない動作をしてこのスイッチを押す。これが1番バレにくい。」
裕貴は受け取り、袖口に入れてみる。
「銀さんに渡しても、あの人は事が治まるまで知らせては来ねぇだろう。」
「俺は知らせますよ、必ず。相手は指名手配犯ですから。」
「・・・信じてるぞ。」
権三は、軽く裕貴の肩を叩いて、横を通り過ぎる。
権三は、店裏に停めたパトカーに乗って、店をあとにした。
裕貴は店へ戻り、厨房に入りかけて、奥の部屋の閉ざされた襖に目がいく。
さっき、外からしてきた怒鳴り声は老婆の声だった。なんて言ったのかは分からないが、きっと権三を叱りつけていたのだろうと、裕貴は思いながら、ノックもせずに襖を開ける。
「ぅ・・なんだ。どうした。」
「ううん。何もないよ。」
老婆は、和室の真ん中に座り込み、普段見たことないくらい辛そうな表情で胸に何かを押し付け、ギュッと抱きしめている。
裕貴は少し驚きながらも、平静を装って、靴を脱ぎ和室に上がる。
老婆は、若干気まずそうに胸に抱き締めている物を、裕貴に背を向けて隠す。
裕貴は出入り口にあぐらを掻いて座り、老婆と距離をとる。
「帰ったよ、権三さん。」
「・・そうみたいだな。車の音がした。」
「・・何があったの。」
「ん・・・。」
「いや・・別に無理にとは・・・」
その時、襖を開けた時に老婆が抱き締めていた物を思い出す。指の間から覗く模様に、見覚えがあるような気がする。
「・・お婆ちゃん。それ、見せてくれない?」
「・・見てどうする。」
「それ・・もしかして、帽子?」
「・・・ああ、そうだが。」
そう言って、老婆は裕貴に見せる。老婆が大事に胸に抱いていたのは、古い野球帽だった。
裕貴は、ツバの上に刺繍されたロゴを食い入るように見つめる。
「それ・・・」
「なんだ。」
「そのロゴ、夢で見たやつだ。」
「・・・・・・・。」
「誰の野球帽?」
「・・雅紀の、お前さんの父親が少年時代に使っていた物だよ。」
「じゃあ、俺の夢に出てきた少年は、親父だったんだ。」
「・・違う。」
「え?」
「この野球帽をひどく欲しがるもんだから、雅紀はあげたんだ。」
「・・誰に。」
「・・床に伏して、まともに外へ出られなくなった弟に。」
「・・・弟がいるなんて、聞いたことなかった。」
「背格好が、14・5歳だって言ってたな。」
「うん。」
「その頃だった。あの子が死んだのは。」
「・・そうだったんだ。」
老婆は再び、まるで胸の中に埋め込むように野球帽を押し付け、強く抱き締める。
その姿を見て、裕貴も珍しく胸を傷める。老婆から目を背けて、何とか取り繕う努力をする。
「ごめん。思い出させちゃって・・・」
「・・・れば・・・・」
「・・・・・・・?」
「・・っと・・はやく、気づいていれば・・・・・」
「・・・・・・・!」
裕貴はその時思い出した。崖の上の少年の夢を。全て思い出した。
「・・・殺した。」
「・・・・・え。」
「あたしが、あの子を殺したんだ。」
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