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第1章 ゴブリン討伐編
第1話 追放
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「お前みたいな、適なしの無能はこのパーティーから追放だ!」
ランスは所属する冒険者パーティーのリーダー、ランドルフから突然の宣告をうける。
パーティーは高難易度ダンジョンに、本日初めて潜っていた。
その宣告は、5階層まで到達したところで強敵のマンティコアに遭遇した直後のことだった。
「え!?いやぁ……そんな………、冗談だろ?」
ランスはそれが突然すぎて、最初はただの冗談かと疑った。
「適なしのガキのおまえを、パーティーに入れてやってたのは、使い勝手のいいタダ働きの小間使いにするためと。後はこういうピンチのときに、おとりにするためだよ!」
「タダ働きの小間使いとおとり!?」
俺は絶句する。
剣士、魔術師、錬金術師、鍛冶屋。
人は何かしらの適性をもって生まれてくるものだ。
だが適性なしと判定される人間が稀にいる。
適なしとは冒険者適性がないものたちを示す略語である。
俺は冒険者ライセンスを発行するときに、適性検査で適性なしと判定されてしまっていた。
冒険者という世界、適性がすべてではない。
だが適なしは通常、固有スキルを一切覚えることができず強みもない。
この適なしというレッテルのため、俺はどのパーティーにも加入できずにいた。
しかし今のパーティーの暁の旅団は受け入れてくれた。
いや、今となっては受け入れてくれたフリをしていた、といったほうがよいだろうか。
加入した当初は、Dランクだったパーティーも、今ではBランク。
新進気鋭のパーティーとなっている。
「そんな……パーティーがBランクに上がったのも、俺の皇帝時間と、瞬神のスキルが、ずいぶんと貢献してるはずだぞ!」
「平民のお前には過ぎたスキルなんだよ。今まで貴族出身の俺たちの役に立てた事を感謝しろ!」
パーティーメンバーはランスを除くとすべて貴族出身であった。
平民出身のランスが優秀なスキルを保持している事を他のメンバーたちは実は苦々しく思っていたのだ。
今回の追放劇もこれから先、パーティーがこれから先に高ランクになった時に平民のランスに注目が当たらないようにする為でもあった。
貴族出身の彼らは歪んだ考えを持っており、平民が自分たちよりも優れているという事実を受け入れる事ができないのだ。
さて、実はこの皇帝時間と瞬神。
魔王と勇者だけが持てる固有スキルなのだがランスは、この時はまだそれを知らなかった。
ランスの母は、彼が幼い頃に亡くなり父は不明。
ランスの育ての親であり、ランスの母の父であるじいちゃん。
じいちゃんは、自分の娘が勇者であることを知らされていなかった。
ましてや孫の父が、魔王であるなどと想像だにしていなかったのだ。
「そ、そんな……俺たちは、仲間じゃなかったのかよ……」
ひゃーはっはっはー!
パーティーメンバーたちが大笑いする。
「仲間だなんて思ってたのはおまえだけだよ! 俺たちはみんな、平民の下賤なおまえのこと仲間だなんて思ったことは一度もなかったぜ!」
「……………」
適なしの自分を、受け入れてくれたパーティーメンバーに恩義を感じていた。
無給で働き、パーティーを支えていたのもこんな自分を受けいれてくれたからこそのことだった。
その実状がこんなことだったとは。
仲間への信頼と恩義。
俺の中で、今まで積み重ねてきたと思っていたものが、瓦礫のように崩れおちていった。
「……分かった、じゃあもういけよ」
俺は失望と怒りから投げやりになってそういった。
「ああ! 言われなくてもいくよ! 無能だったが、最後にパーティーの役にたったな! ほめてやるぜ!」
ぎゃーはっはっはっはー。
パーティーメンバーたちは、その気にさわる甲高い笑い声を、ダンジョン内に反響させながらその場から去っていった。
こうしてランスは、冒険者パーティーの暁の旅団から追放される運びとなったのである。
後にランスを追放したパーティーは、この追放を心から後悔することになるが、それはまだまだ先のことであった。
===================================================
【※大切なお願い】
少しでも
「面白い!」
「続きが気になる!」
「更新頑張って欲しい!」
と思ってくださったら、
お気に入りして頂いて、応援して下さると大変嬉しいです!!
ランスは所属する冒険者パーティーのリーダー、ランドルフから突然の宣告をうける。
パーティーは高難易度ダンジョンに、本日初めて潜っていた。
その宣告は、5階層まで到達したところで強敵のマンティコアに遭遇した直後のことだった。
「え!?いやぁ……そんな………、冗談だろ?」
ランスはそれが突然すぎて、最初はただの冗談かと疑った。
「適なしのガキのおまえを、パーティーに入れてやってたのは、使い勝手のいいタダ働きの小間使いにするためと。後はこういうピンチのときに、おとりにするためだよ!」
「タダ働きの小間使いとおとり!?」
俺は絶句する。
剣士、魔術師、錬金術師、鍛冶屋。
人は何かしらの適性をもって生まれてくるものだ。
だが適性なしと判定される人間が稀にいる。
適なしとは冒険者適性がないものたちを示す略語である。
俺は冒険者ライセンスを発行するときに、適性検査で適性なしと判定されてしまっていた。
冒険者という世界、適性がすべてではない。
だが適なしは通常、固有スキルを一切覚えることができず強みもない。
この適なしというレッテルのため、俺はどのパーティーにも加入できずにいた。
しかし今のパーティーの暁の旅団は受け入れてくれた。
いや、今となっては受け入れてくれたフリをしていた、といったほうがよいだろうか。
加入した当初は、Dランクだったパーティーも、今ではBランク。
新進気鋭のパーティーとなっている。
「そんな……パーティーがBランクに上がったのも、俺の皇帝時間と、瞬神のスキルが、ずいぶんと貢献してるはずだぞ!」
「平民のお前には過ぎたスキルなんだよ。今まで貴族出身の俺たちの役に立てた事を感謝しろ!」
パーティーメンバーはランスを除くとすべて貴族出身であった。
平民出身のランスが優秀なスキルを保持している事を他のメンバーたちは実は苦々しく思っていたのだ。
今回の追放劇もこれから先、パーティーがこれから先に高ランクになった時に平民のランスに注目が当たらないようにする為でもあった。
貴族出身の彼らは歪んだ考えを持っており、平民が自分たちよりも優れているという事実を受け入れる事ができないのだ。
さて、実はこの皇帝時間と瞬神。
魔王と勇者だけが持てる固有スキルなのだがランスは、この時はまだそれを知らなかった。
ランスの母は、彼が幼い頃に亡くなり父は不明。
ランスの育ての親であり、ランスの母の父であるじいちゃん。
じいちゃんは、自分の娘が勇者であることを知らされていなかった。
ましてや孫の父が、魔王であるなどと想像だにしていなかったのだ。
「そ、そんな……俺たちは、仲間じゃなかったのかよ……」
ひゃーはっはっはー!
パーティーメンバーたちが大笑いする。
「仲間だなんて思ってたのはおまえだけだよ! 俺たちはみんな、平民の下賤なおまえのこと仲間だなんて思ったことは一度もなかったぜ!」
「……………」
適なしの自分を、受け入れてくれたパーティーメンバーに恩義を感じていた。
無給で働き、パーティーを支えていたのもこんな自分を受けいれてくれたからこそのことだった。
その実状がこんなことだったとは。
仲間への信頼と恩義。
俺の中で、今まで積み重ねてきたと思っていたものが、瓦礫のように崩れおちていった。
「……分かった、じゃあもういけよ」
俺は失望と怒りから投げやりになってそういった。
「ああ! 言われなくてもいくよ! 無能だったが、最後にパーティーの役にたったな! ほめてやるぜ!」
ぎゃーはっはっはっはー。
パーティーメンバーたちは、その気にさわる甲高い笑い声を、ダンジョン内に反響させながらその場から去っていった。
こうしてランスは、冒険者パーティーの暁の旅団から追放される運びとなったのである。
後にランスを追放したパーティーは、この追放を心から後悔することになるが、それはまだまだ先のことであった。
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【※大切なお願い】
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