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第28話 先駆け
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「それではシエラをよろしくお願いします」
「お任せください。洞窟の入口は私兵に塞がせますので、先駆けをお願いします」
「シエラ、いい子にしてるんだよ」
「……すぐもどってくる?」
「戻って来る!」
「やくそく」
俺たちは既に泣きべそかいているシエラとそれぞれ指切りする。
「じゃあ、行ってきます」
精一杯手を振るシエラを置いて、俺たちは洞窟の中へと進み入る。
「なにこれ……」
「すごい……」
少し洞窟を下ると洞窟内はその様相を一変させた。
突如として広い空間が現れ、そこには巨大な神殿と思しきものが建っていた。
「これが候爵が言ってた古代遺跡か?」
「みたいね……相当古いわよこれ。アデル読めるこの古代文字?」
壁には壁画がされている。
立ち並ぶ巨大な石柱にも様々な文様が刻まれていた。
「……読めないけど……これたぶん神代文字ね」
「神代文字? これが神代の時代の遺跡だっていうの? そんなの世界を探しても数えるほどしか……」
「なんだ神代の時代って?」
「これだから学のない平民は……」
「しょうがないでしょ、みんながみんな学校に通えるわけじゃないんだから」
「はいはい、フェリシアママにかばってもらえてよかったね、ユウくん」
バリバリの高校生で勉強してましたけどって思うが黙っておく。
まあそんな勉強頑張ってたわけじゃないしな。
「神代の時代っていうのはね、まだ人間が地上で繁栄する前に、神々が地上にいた時代があるって言われてるの。神は自分に似せた人間を作られた。人間はその後、地上で生活するようになって、それから後は人間の時代。それより前は神代の時代と言われているわ。まあ、遺跡の解析なんかで決定的な証拠はなくて、伝説のようなものなんだけど」
「私は神代の時代はあった思ってるわ。そうだとしたら辻褄が合うことが多すぎるから」
「まあ、その辺は正直、私もよく分かってないんだけど」
「あんた馬鹿だもんね」
いきなりのストレートな悪口にフェリシアは目をひん剥いて怒る。
「なっ、馬鹿じゃありません!! …………確かに、学園の成績はよくはなかったけど」
「逆にあんな試験でどうやったらあんな低い点数取れるのか教えてもらいたいわ」
「うるさい! 逆になんであんたは居眠りばかりしてたのにあんな高得点だったのよ!」
「影で努力してに決まってるじゃない」
「嘘っ! 前に一度見た本は覚えてるって言ってたじゃない。そんなのズルよ!」
アデルは肩を竦めてそれ以上、取り合おうとしない。
もしかしてアデルのそれは瞬間記憶ってやつかな?
それは羨ましい。
もし、そんなアデルと比べてフェリシアが馬鹿扱いされてるなら可哀想だ。
話を聞く限りではそうでもなさそうだけど。
俺たちはそのまま神殿の中に足を踏み入れる。
すると少し、周りの空気が変わった気がした。
「気をつけて……」
フェリシアとアデルも何か感じ取ったようだった。
緩やかに緊張感が高まっていく。
俺は高レベルになって目がよくなった。
見ようと思ったら信じられない程、遠くが見えるようになったし、昔は残像も捉えられなかった例えばハエの羽ばたきさえ、集中すればスローモーションのように捉えられるようになった。
身体の強化もそうだが、もう一つ人間の器官でその性能が大幅に向上されたものがある。
――それは聴覚だ。
俺ははるか頭上から微かな衣擦れの音を捉えた。
見上げると二人の人間が猛スピードで降り落ちてくる。
「上だ!」
俺のその一声でフェリシアとアデルは、頭上からの攻撃を間一髪で躱す。
「お任せください。洞窟の入口は私兵に塞がせますので、先駆けをお願いします」
「シエラ、いい子にしてるんだよ」
「……すぐもどってくる?」
「戻って来る!」
「やくそく」
俺たちは既に泣きべそかいているシエラとそれぞれ指切りする。
「じゃあ、行ってきます」
精一杯手を振るシエラを置いて、俺たちは洞窟の中へと進み入る。
「なにこれ……」
「すごい……」
少し洞窟を下ると洞窟内はその様相を一変させた。
突如として広い空間が現れ、そこには巨大な神殿と思しきものが建っていた。
「これが候爵が言ってた古代遺跡か?」
「みたいね……相当古いわよこれ。アデル読めるこの古代文字?」
壁には壁画がされている。
立ち並ぶ巨大な石柱にも様々な文様が刻まれていた。
「……読めないけど……これたぶん神代文字ね」
「神代文字? これが神代の時代の遺跡だっていうの? そんなの世界を探しても数えるほどしか……」
「なんだ神代の時代って?」
「これだから学のない平民は……」
「しょうがないでしょ、みんながみんな学校に通えるわけじゃないんだから」
「はいはい、フェリシアママにかばってもらえてよかったね、ユウくん」
バリバリの高校生で勉強してましたけどって思うが黙っておく。
まあそんな勉強頑張ってたわけじゃないしな。
「神代の時代っていうのはね、まだ人間が地上で繁栄する前に、神々が地上にいた時代があるって言われてるの。神は自分に似せた人間を作られた。人間はその後、地上で生活するようになって、それから後は人間の時代。それより前は神代の時代と言われているわ。まあ、遺跡の解析なんかで決定的な証拠はなくて、伝説のようなものなんだけど」
「私は神代の時代はあった思ってるわ。そうだとしたら辻褄が合うことが多すぎるから」
「まあ、その辺は正直、私もよく分かってないんだけど」
「あんた馬鹿だもんね」
いきなりのストレートな悪口にフェリシアは目をひん剥いて怒る。
「なっ、馬鹿じゃありません!! …………確かに、学園の成績はよくはなかったけど」
「逆にあんな試験でどうやったらあんな低い点数取れるのか教えてもらいたいわ」
「うるさい! 逆になんであんたは居眠りばかりしてたのにあんな高得点だったのよ!」
「影で努力してに決まってるじゃない」
「嘘っ! 前に一度見た本は覚えてるって言ってたじゃない。そんなのズルよ!」
アデルは肩を竦めてそれ以上、取り合おうとしない。
もしかしてアデルのそれは瞬間記憶ってやつかな?
それは羨ましい。
もし、そんなアデルと比べてフェリシアが馬鹿扱いされてるなら可哀想だ。
話を聞く限りではそうでもなさそうだけど。
俺たちはそのまま神殿の中に足を踏み入れる。
すると少し、周りの空気が変わった気がした。
「気をつけて……」
フェリシアとアデルも何か感じ取ったようだった。
緩やかに緊張感が高まっていく。
俺は高レベルになって目がよくなった。
見ようと思ったら信じられない程、遠くが見えるようになったし、昔は残像も捉えられなかった例えばハエの羽ばたきさえ、集中すればスローモーションのように捉えられるようになった。
身体の強化もそうだが、もう一つ人間の器官でその性能が大幅に向上されたものがある。
――それは聴覚だ。
俺ははるか頭上から微かな衣擦れの音を捉えた。
見上げると二人の人間が猛スピードで降り落ちてくる。
「上だ!」
俺のその一声でフェリシアとアデルは、頭上からの攻撃を間一髪で躱す。
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