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第48話 第三の転生者
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転生者だと名乗った男の顔を凝視するが、見覚えがない顔だ。
知らないキャラクターだし、冗談でこんなことは言わないよな。
「今どこに向かおうとしてるか当てようか?」
「……どうぞ」
「路地裏のマザー。中盤以降のゲーム攻略情報とかアップデート情報とか教えてくれるし、カルディアに来たらあそこに行くのは鉄板だよね。どう、図星じゃない?」
男は得意げに言った。
俺は同意を示すために頷く。
「グレイスでよかったよね。悪役令息の」
「ああ。で、そっちは誰かな? 見覚えがないキャラクターだけど」
「俺はマルクだ。まあ普段は前世のセーイチって名乗ってるけど。しがない冒険者の一人として転生した。完全なモブキャラでゲーム内でもかすりもしないようなキャラだから、一般には知られてないんだよな。グレイスも知らなかっただろ?」
セーイチはニコニコとしながら愛想よく言う。
「うん、知らなかった。……で用はなに?」
「つれないなあ、同じ転生者じゃないか。旧交を深めたりだとか色々あるだろ?」
「旧交を深めるって、別に君はとは前世で親交はないんだからさ」
「だからこれから親交を深めようって言ってるんだよ!」
大げさなジェスチャーを交えながらセーイチは話す。
なんか嘘くさいし、苦手なタイプな気がする。
俺が前世の人間関係で学んだことが一つある。
初対面でやたら愛想よく、笑顔が印象的な人間は注意が必要だということだ。
結果、普通にいい人だったということもあるが、それよりも実は癖が強かったり問題がある人間という可能性の方が遥かに高い。
「悪いけど同じ転生者だからといって馴れ合うつもりはないよ。ただ情報交換はしたい」
「ふーん…………まあいいよ、そういうドライな関係も嫌いじゃないし。で、まだ中盤なのに随分とレベル高いみたいだけど何やったの?」
「単刀直入だね」
俺は苦笑いしながら応える。
「余計な問答は嫌いなタイプだと思ってさ。雑談好きなら色々と話したいことはあるけど?」
「いや、必要なことだけで結構。そうだな…………2chのまとめ情報っていったら通じるかな?」
「もちろん! 2chまとめは現代ゲーマーの重要な攻略情報の宝庫だからね。って序盤で高レベルになれる情報でしょ…………そんなのあったっけ?」
こいつモグリか?
あれは大型アップデート並みの情報で拡散されてただろ。
「いや、結構話題になったから定期的に情報ウォッチしてたら絶対知ってるはずだけど。そこまで確認してないけど、その情報だったらゲームwikiにも転載されてるはずだよ」
「そ、そうかあ。じゃあ俺が見逃してるか、忘れてるだけかもしれないね」
「unknownっていったら通じる?」
そこでセーイチは目を大きく見開いた。
「ああ、そうか。そういうことね。うんうん、分かったよ。ありがとう!」
「ほんとに分かってる?」
「あれでしょ、未確認情報とかって言われてるやつでしょ」
「……まあ、そうだね」
そこでセーイチは「よくできてるなあ」と小声で独り言を呟いた。
なんだよくできてるって?
まあでもその独り言は他人に聞かせるつもりで言ったものではないことは分かっているのでスルーする。
「そっちは何か聞きたいことは?」
「聞きたいことか…………獲得したユニークスキルは?」
「獲得したユニークスキルはねえ――」
とセーイチが口を開こうとした後で――
「ははは、言うと思った? まあ提供できる情報とできない情報があるのよね。ちなみに俺が言ったらそちらは教えてくれるの?」
「教えない」
「だよね」
真鑑定でセーイチのステータスが確認できなかったのでもしかしたら口頭で、と思ったがそんなに甘いものでもないよな。
「じゃあ、もういいかな。言った通り路地裏のマザーに用があるからさ」
「ああ、いいよ。またすぐに会えるだろうし」
またすぐに会える?
そういえばこいつどうして俺がマザーに会いに来ることを知ってたんだ?
セーイチはもうすでにその場から去るために歩きはじめていた。
「それはどういう――」
「あっ、そうそう。アルフレッド君がよろしくって言ってたよ」
「なっ、お前あいつとも繋がってるのか!?」
そう言うとセーイチは路地裏の角を曲がり姿を消した。
急いで後を追いかけたが、角を曲がった所にセーイチの姿はすでになかった。
気配ごと消えてることから、空間転移系の能力かアイテムでも使ったのだろうか。
アルフレッドと繋がっているならもっと警戒していた。
あいつは明らかに俺を敵視しているからな。
もしセーイチも俺を敵視しているなら、今日はさしづめ敵情視察といった所だろうか。
あいつは俺の敵なのかそれとも……。
「全く……」
俺はなんとも言えないモヤモヤを感じながらも、路地裏のマザーの元へと向かった。
知らないキャラクターだし、冗談でこんなことは言わないよな。
「今どこに向かおうとしてるか当てようか?」
「……どうぞ」
「路地裏のマザー。中盤以降のゲーム攻略情報とかアップデート情報とか教えてくれるし、カルディアに来たらあそこに行くのは鉄板だよね。どう、図星じゃない?」
男は得意げに言った。
俺は同意を示すために頷く。
「グレイスでよかったよね。悪役令息の」
「ああ。で、そっちは誰かな? 見覚えがないキャラクターだけど」
「俺はマルクだ。まあ普段は前世のセーイチって名乗ってるけど。しがない冒険者の一人として転生した。完全なモブキャラでゲーム内でもかすりもしないようなキャラだから、一般には知られてないんだよな。グレイスも知らなかっただろ?」
セーイチはニコニコとしながら愛想よく言う。
「うん、知らなかった。……で用はなに?」
「つれないなあ、同じ転生者じゃないか。旧交を深めたりだとか色々あるだろ?」
「旧交を深めるって、別に君はとは前世で親交はないんだからさ」
「だからこれから親交を深めようって言ってるんだよ!」
大げさなジェスチャーを交えながらセーイチは話す。
なんか嘘くさいし、苦手なタイプな気がする。
俺が前世の人間関係で学んだことが一つある。
初対面でやたら愛想よく、笑顔が印象的な人間は注意が必要だということだ。
結果、普通にいい人だったということもあるが、それよりも実は癖が強かったり問題がある人間という可能性の方が遥かに高い。
「悪いけど同じ転生者だからといって馴れ合うつもりはないよ。ただ情報交換はしたい」
「ふーん…………まあいいよ、そういうドライな関係も嫌いじゃないし。で、まだ中盤なのに随分とレベル高いみたいだけど何やったの?」
「単刀直入だね」
俺は苦笑いしながら応える。
「余計な問答は嫌いなタイプだと思ってさ。雑談好きなら色々と話したいことはあるけど?」
「いや、必要なことだけで結構。そうだな…………2chのまとめ情報っていったら通じるかな?」
「もちろん! 2chまとめは現代ゲーマーの重要な攻略情報の宝庫だからね。って序盤で高レベルになれる情報でしょ…………そんなのあったっけ?」
こいつモグリか?
あれは大型アップデート並みの情報で拡散されてただろ。
「いや、結構話題になったから定期的に情報ウォッチしてたら絶対知ってるはずだけど。そこまで確認してないけど、その情報だったらゲームwikiにも転載されてるはずだよ」
「そ、そうかあ。じゃあ俺が見逃してるか、忘れてるだけかもしれないね」
「unknownっていったら通じる?」
そこでセーイチは目を大きく見開いた。
「ああ、そうか。そういうことね。うんうん、分かったよ。ありがとう!」
「ほんとに分かってる?」
「あれでしょ、未確認情報とかって言われてるやつでしょ」
「……まあ、そうだね」
そこでセーイチは「よくできてるなあ」と小声で独り言を呟いた。
なんだよくできてるって?
まあでもその独り言は他人に聞かせるつもりで言ったものではないことは分かっているのでスルーする。
「そっちは何か聞きたいことは?」
「聞きたいことか…………獲得したユニークスキルは?」
「獲得したユニークスキルはねえ――」
とセーイチが口を開こうとした後で――
「ははは、言うと思った? まあ提供できる情報とできない情報があるのよね。ちなみに俺が言ったらそちらは教えてくれるの?」
「教えない」
「だよね」
真鑑定でセーイチのステータスが確認できなかったのでもしかしたら口頭で、と思ったがそんなに甘いものでもないよな。
「じゃあ、もういいかな。言った通り路地裏のマザーに用があるからさ」
「ああ、いいよ。またすぐに会えるだろうし」
またすぐに会える?
そういえばこいつどうして俺がマザーに会いに来ることを知ってたんだ?
セーイチはもうすでにその場から去るために歩きはじめていた。
「それはどういう――」
「あっ、そうそう。アルフレッド君がよろしくって言ってたよ」
「なっ、お前あいつとも繋がってるのか!?」
そう言うとセーイチは路地裏の角を曲がり姿を消した。
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もしセーイチも俺を敵視しているなら、今日はさしづめ敵情視察といった所だろうか。
あいつは俺の敵なのかそれとも……。
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