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イヴ視点32
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剣に触れると、力が手のひらから剣に流れてきて文字が浮かび上がった。
普段は魔騎士の力を使うから、あまり聖騎士の力は使わない。
人前で使う時は魔騎士だと気付かれないように聖騎士の力を使うようにしている。
とはいえ俺の前で戦いを挑む奴はいない。
だからほとんど人気がないところでしか使わない。
マティアスがいた時は、腹立たしくて早く終わらすために魔騎士の力を使っていたが普段ならそうしない。
あの時はユーリを隠す事で必死だったからな。
ハルフィリアは元々魔騎士の力で殺すと決めているから戸惑いはない。
聖騎士相手に聖騎士の力で戦うなんて愚かな事はしない。
ハルフィリア対策は考えていたが、魔騎士対策は何も考えていない。
鬱陶しいのは変わらないが、俺の力はそもそも魔騎士の力の方が強い。
だからイケるかと思っていたが、やはり魔騎士の力はどんなに強くても魔騎士には通用しない。
剣が光り輝き、夜の世界を明るく照らした。
「もったいないねぇ、そんなに強い聖騎士の力があるのに闇に堕ちてしまうなんて」
「……」
「素質はあったから子供の頃なら、簡単に魔騎士に出来ると思ったのに…」
男は可笑しな事をベラベラ喋っていた。
俺にはそんなの関係ない、ただこの男を殺す…今はそれしか考えられない。
剣を思いっきり振り下ろすと、男は触れる直前で笑みを浮かべて姿が変わった。
そのまま黒い液体になって、地面に大きな水溜まりが出来た。
まだ生きているのか、水溜まりは隙間に入っていき消えた。
俺はもう追いかける気力がなかった。
光により、他の騎士達が気付いて駆け寄ってきたが俺はそれに構っている暇はなかった。
あの最後に見せた姿、それはよく覚えている姿だった。
子供の頃、傍に常に引っ付いてくる視線が嫌だった。
俺を狙って、魂を吸おうとする黒い影。
ユーリと出会ってから俺は黒い影と会う事はあっても、あんな強い影に会った事はなかった。
俺が魔騎士の力で消したんだ、当然いるわけがない。
元々あった俺の潜在能力が目覚めたのも、あの時からだ。
影なんて皆同じに見えて、あの影の殺意は誰にも似ていなかった。
何故、あの男は、あの影と同じ殺意をして姿を影に変えたんだ?
まさか、アイツが……?
周りがなにかを話していて、俺は何処か遠くに聞こえた。
今思えば、魔物が人の魂を染めて取り憑く事は出来る。
でも、魂を抜くなんて事出来ない。
俺の命を燃やして記憶を抹消させる魔騎士の力と何処か似ているのかもしれない。
剣を強く握りしめて、冷静になろうと深呼吸する。
あれがあの魔騎士で、生きていたとして俺に何の関係があるんだ。
俺に魔騎士として目覚めさせたのに、自分の思い通りにならなかった…ただそれだけだろ。
アイツさえ消せば、俺は自由になる…簡単な事だ。
「聖騎士様、なにがあったんですか!?」
「何でもない、行くぞ」
「は、はい!」
騎士達に言って、見回りを再開した。
ただ、魔力を使っただけなのに疲れた。
早くユーリに会いたい。
その日の俺の夢は、どす黒く穢れていた。
ユーリと一緒に寝ていた筈なのに、ユーリが何処にもいない。
ユーリがいないと不安で頭が可笑しくなりそうだ。
遠くの方で微かにユーリの声が聞こえて、小さな丸い光が見えた。
あそこにユーリがいると本能でそう思って、走り出す。
手を伸ばすと光が強くなり、もう少しで届きそうだったのに足がなにかにつまづいて転けた。
目の前に自分の手があり、違和感に気付いた。
こんなに俺の手は小さかっただろうか。
目の前を見ると、真っ暗だった視界が一気に開けた。
そこは俺の知る街の風景だった。
目の前には手を伸ばすユーリの姿があった。
でも今のユーリではない、姿は子供だった。
そうだ、これは初めてユーリと出会った俺の記憶だ。
影から逃げていた俺をユーリが助けてくれたんだ。
その手を握ると、俺達の物語が始まる…俺の心はユーリに染まったんだ。
手をしっかりと握った、あの時と一緒だ。
なのに俺とユーリの繋がった腕から黒い煙が出ていた。
すぐに腕を離そうとしたが、腕を離した記憶はないから繋がったままだ。
離したいと思っていても、記憶の俺はそれを拒絶した。
ユーリの腕に刻まれるものは、確かに俺からユーリに流れていったものだ。
ユーリの腕の紋様は、元々俺の中にあった魔騎士の力から流れたもの…?
じゃあ、ユーリを魔物にしたのは……俺自身?
普段は魔騎士の力を使うから、あまり聖騎士の力は使わない。
人前で使う時は魔騎士だと気付かれないように聖騎士の力を使うようにしている。
とはいえ俺の前で戦いを挑む奴はいない。
だからほとんど人気がないところでしか使わない。
マティアスがいた時は、腹立たしくて早く終わらすために魔騎士の力を使っていたが普段ならそうしない。
あの時はユーリを隠す事で必死だったからな。
ハルフィリアは元々魔騎士の力で殺すと決めているから戸惑いはない。
聖騎士相手に聖騎士の力で戦うなんて愚かな事はしない。
ハルフィリア対策は考えていたが、魔騎士対策は何も考えていない。
鬱陶しいのは変わらないが、俺の力はそもそも魔騎士の力の方が強い。
だからイケるかと思っていたが、やはり魔騎士の力はどんなに強くても魔騎士には通用しない。
剣が光り輝き、夜の世界を明るく照らした。
「もったいないねぇ、そんなに強い聖騎士の力があるのに闇に堕ちてしまうなんて」
「……」
「素質はあったから子供の頃なら、簡単に魔騎士に出来ると思ったのに…」
男は可笑しな事をベラベラ喋っていた。
俺にはそんなの関係ない、ただこの男を殺す…今はそれしか考えられない。
剣を思いっきり振り下ろすと、男は触れる直前で笑みを浮かべて姿が変わった。
そのまま黒い液体になって、地面に大きな水溜まりが出来た。
まだ生きているのか、水溜まりは隙間に入っていき消えた。
俺はもう追いかける気力がなかった。
光により、他の騎士達が気付いて駆け寄ってきたが俺はそれに構っている暇はなかった。
あの最後に見せた姿、それはよく覚えている姿だった。
子供の頃、傍に常に引っ付いてくる視線が嫌だった。
俺を狙って、魂を吸おうとする黒い影。
ユーリと出会ってから俺は黒い影と会う事はあっても、あんな強い影に会った事はなかった。
俺が魔騎士の力で消したんだ、当然いるわけがない。
元々あった俺の潜在能力が目覚めたのも、あの時からだ。
影なんて皆同じに見えて、あの影の殺意は誰にも似ていなかった。
何故、あの男は、あの影と同じ殺意をして姿を影に変えたんだ?
まさか、アイツが……?
周りがなにかを話していて、俺は何処か遠くに聞こえた。
今思えば、魔物が人の魂を染めて取り憑く事は出来る。
でも、魂を抜くなんて事出来ない。
俺の命を燃やして記憶を抹消させる魔騎士の力と何処か似ているのかもしれない。
剣を強く握りしめて、冷静になろうと深呼吸する。
あれがあの魔騎士で、生きていたとして俺に何の関係があるんだ。
俺に魔騎士として目覚めさせたのに、自分の思い通りにならなかった…ただそれだけだろ。
アイツさえ消せば、俺は自由になる…簡単な事だ。
「聖騎士様、なにがあったんですか!?」
「何でもない、行くぞ」
「は、はい!」
騎士達に言って、見回りを再開した。
ただ、魔力を使っただけなのに疲れた。
早くユーリに会いたい。
その日の俺の夢は、どす黒く穢れていた。
ユーリと一緒に寝ていた筈なのに、ユーリが何処にもいない。
ユーリがいないと不安で頭が可笑しくなりそうだ。
遠くの方で微かにユーリの声が聞こえて、小さな丸い光が見えた。
あそこにユーリがいると本能でそう思って、走り出す。
手を伸ばすと光が強くなり、もう少しで届きそうだったのに足がなにかにつまづいて転けた。
目の前に自分の手があり、違和感に気付いた。
こんなに俺の手は小さかっただろうか。
目の前を見ると、真っ暗だった視界が一気に開けた。
そこは俺の知る街の風景だった。
目の前には手を伸ばすユーリの姿があった。
でも今のユーリではない、姿は子供だった。
そうだ、これは初めてユーリと出会った俺の記憶だ。
影から逃げていた俺をユーリが助けてくれたんだ。
その手を握ると、俺達の物語が始まる…俺の心はユーリに染まったんだ。
手をしっかりと握った、あの時と一緒だ。
なのに俺とユーリの繋がった腕から黒い煙が出ていた。
すぐに腕を離そうとしたが、腕を離した記憶はないから繋がったままだ。
離したいと思っていても、記憶の俺はそれを拒絶した。
ユーリの腕に刻まれるものは、確かに俺からユーリに流れていったものだ。
ユーリの腕の紋様は、元々俺の中にあった魔騎士の力から流れたもの…?
じゃあ、ユーリを魔物にしたのは……俺自身?
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