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イヴ視点27

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ユーリを寝かせて、見回りのために外に出た。

部屋に結界を張っているから、誰が訪問してもユーリは分からないだろう。
もっと早くこうしてれば良かったが、流石に屋敷全体を結界でずっと覆うのは難しい。
だから屋敷に住んでいた時はユーリが外に出ないようにドアに仕掛ける結界しか出来なかった。

今は一室だけだから簡単にユーリを外の世界と塞ぐ事が出来る。
それに、通信魔導機を置いているから俺がいないユーリの行動は把握している。

ユーリに言ってしまうと、自然なユーリの姿が見えなくなるからユーリには内緒。
俺が見ている事も知らず、いなくなったのを確認してトイレに向かうユーリも愛おしい。
そんなにこそこそしなくても、俺に言ってくれたらトイレまで行かせてあげるのに…
いつまでも恥ずかしがり屋なユーリも愛しい。

流石にトイレの中までは見えないけど、そこにユーリがいるようで嬉しかった。
ずっとずっと、ユーリの傍に…

目の前で蠢く、魔物の成れの果てを見て剣を引き抜いた。
鬱陶しい、視界に入れるのも不愉快でしかない。
俺に汚い手を伸ばしてきたから剣で引き裂いた。

ずっと城の中にいるつもりない、あの部屋は騒がしい客が多いからな。

ユーリは閉じられた世界にいるから知らないんだろうけど、毎日のようにエマ様や騎士達がやって来る。
それを知っているのは俺だけで、基本部屋に来るなとは言っているが聞くような奴らではない。
あまりにもしつこいから話だけ聞くために部屋を出て聞いている。

ユーリには絶対に会わせないし、新しい使用人を雇ったとしか言っていないからユーリが部屋の中にいる事は誰も知らない。
知らせる事でもないし、俺とユーリだけの世界に他人を入れさせない。

エマ様は聖騎士について調べているらしく、俺に調べた情報を教えてくる。
それは本の中に書いてある情報ばかりで、何故聖騎士が今も生きているのか分からない。
聖騎士の生い立ちや伝説などに興味はない、ユーリに刃を向ける相手なら誰だろうと許さない…それだけだ。

人間の国も動きが派手になってくる、いつになったらユーリが安心出来る世界になるのか…
まぁ、俺がユーリを守るから俺の傍が一番安全だけどな。

「聖騎士様!こちらは異常なしです!」

「そうか…」

早く終わらせて帰ろうと思っていたら、通信魔導機に異変があった。
脳内で直接見ていたが、急に妨害のように映像が乱れた。
ユーリの姿が見えなくなって、頭に突き刺さる痛みに眉を寄せる。

ユーリになにかあった、そう考えるより先に足が動いていた。
騎士達がなにかあったのかと言っている声が聞こえたが、そんなものに構っている暇はない。

走っていると目の前を遮るように魔物が現れて、魔物に触れて破壊した。
こんなのに構っている場合じゃない!結界は強力だが、ユーリに異変が少しでもあるなら確かめに行かないと…

そう思って城の前まで来たら見覚えがある男がいた。

一度しか見ていないがよく覚えている、聖騎士と一緒にいる唯一の人物だからだ。
あれから誰なのか探してみたが、全く分からなかった。
ずっと探していた相手だが、ユーリの方が大切だ。
だから無視して行こうとしたが、声が聞こえた。

「イヴ様」

「……」

「どちらに行くのですか?あの魔物のところですか?」

通り過ぎたところで男に言われて、足を止めてすぐに剣を構えた。
ユーリの事は俺とユーリしか知らない。

ユーリが外に出れる訳がないし、ユーリが使用人という情報は一部しか知らない。
ユーリの家族から漏れたのか?と眉を寄せると、嫌な笑みを浮かべていた。

ただの人ではなさそうだ、聖騎士と一緒にユーリに危害を加えるならここで始末しておくか。

早くユーリのところに行きたいのに、と目の前の男に腹が立つ。

剣を男に向けても怯えも逃げる事もせず、微笑んでいた。

「私には分かるのです、魔物の姿が」

「……そんな自己紹介どうでもいい、消えてなくなれば全て同じだ」

「これが私の後釜なんて、本当に残念ですね」

そう言った男は自分の服の袖を肩まで捲った。

それを見て、すぐに殺そうとした手を止めて驚きで目を見開いた。
ユーリの腕にもあるそれは、魔騎士の紋様だった。

何故だ、紋様は同じものが二つとしてない筈だ。
だから俺が魔騎士でも紋様はない…何故かは分からないがユーリにあるんだ。
なのに、何故この男にあるんだ?
自分で書いたのか?それしか思いつかない。
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