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イヴ視点21

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ユーリの服を持って部屋を出た時、ランドリー室に入ってユーリの服を手に持った。
鼻に押し当てると、ユーリの汗のにおいがした。

さっきユーリに触られて、イったばかりなのに俺の下半身はユーリを求めている。
でも今のユーリに無理をさせるわけにはいかない。
このまま放置してもユーリのにおいを嗅いだらまた同じだ。

ズボンと下着の中に手を入れて、一人で慰める。

さっきのユーリの体、顔、声を思い出して息を乱す。
ユーリがいない時は、精神が不安定だったからユーリがいないのに一人でする気にはなれなかった。

今はユーリがいる、俺の気持ちは自分でも驚くほど安定している。

「はぁ、ユーリ…ユーリ」

ユーリの服を握りしめながら、そのまま絶頂を迎える。
手に付いた自分の精液を見つめて、今度はユーリの中に俺の愛を注ぎたいなと微笑む。

勿体ないけど、本人がいるんだしユーリの服を洗った。
自分の下着も汚れていたからランドリーに干している俺の服を取り着替えた。

ユーリが洗ってくれたと思うだけで、幸せを感じる。
部屋に戻ると、ユーリはもう寝ているのか目蓋を閉じていた。
ベッドの上に乗り、ユーリを見ていたら起きてしまった。

こっそりキスをしようと思ったんだけど、起こしてしまったかな。

ユーリは時々、ボーッとしている時がある…俺の力の影響だろう。
ユーリの心の隙間に俺の感情を入れたり、魔物とも接触している。

俺の感情が魔物からユーリを守ってくれるからマティアスみたいに魔物に体を乗っ取られたりしないだろうが、心配だ。
俺がずっと見守っていたいが、ユーリは自分のために騎士の仕事をサボるのは良しとはしない。
ユーリのためにこの仕事を選んだんだ、失望させるわけにはいかない。

なにか代わりになるものはないだろうか……そういえば古い書物に良さそうな事が書いてあったような気がした。
あの時は自分でユーリを守れば良いかと思ってあまり気にしていなかった。

翌朝、少し治ったとはいえ昨日と同じユーリの朝食を作って運んだ。
ユーリは俺の体を心配していた、心配しなくても大丈夫だよ。
自身の治癒能力が強いから他人を治す時は俺の体液を相手に与えるからレベルが下がってしまうが、俺を治す事なら出来る。

ユーリが居ないと自身の治癒能力でさえ治りが鈍くなるが、ユーリがいると治りも早くなる。
ユーリの体の中にあったものだから治癒を支度はなかったが、元気になった体は俺の意思関係なく治してしまう。

残念だな、ユーリにだったらこの体を傷付けても構わない。
ユーリに与えられる全ては、俺にとって何ものにも変えられないものだから…

「ユーリ、じゃあ俺行くね」

「今日、支度手伝えなくてごめん」

「気にしないで、そう思ってくれただけで嬉しいから、なにか必要なものはある?」

「…あ、その…聖騎士の事が書いてある本が読みたい」

ユーリが聖騎士に興味があるなんて驚いたが、同時に嬉しくもあった。
俺に興味があるのか…それがたとえ神話の聖騎士だったとしても同じ事だ。

聖騎士で良かったと思える日がまた増えた、全部ユーリ関連なのは当然だ。
暇つぶしになるものなら、読みやすい本が良いだろう。
この家にある本は全て両親が大量に送ってきたものだ。

処分に困っていたが、ユーリのためになるなら取っておいて良かった。

本棚に近付き、そこまで分厚くない本をユーリに渡した。

「これなら一日で読めるよ」

「ありがとう」

ユーリは嬉しそうに本を受け取って、俺は「好きな本読んでていいよ」と言うともう一つ言い忘れたみたいで呼び止めてきた。

家の前に誰かがいて、チャイムを鳴らさずに去っていったらしい。

さっきまで嬉しさだけで満たされていたのに、心が黒く染まる。
ユーリは外に出なかった、それでいい…この家は一番安全だ。

ユーリに特徴を教えられても分からない、どっかの誰かだとは思うが…忘れた。
俺に用があったが、ユーリを見て逃げた……俺のユーリと目線を合わせたのか?…グッと手を握りしめる。

一番街は安全だと思ったらマティアスの事もあるし、貴族には甘いんだと分かった。
唯一のメリットは近所に誰もいない事くらいしかない。

「ユーリ、次来ても無視していいよ」

「うん、大丈夫…いってらっしゃい」

「…行ってきます」

ユーリにそう言って部屋を出て、俺は心配で心配で死にそうだ。

結界をもっと強くしないと、ユーリさえも閉じ込めるほど…

手のひらから黒いドロドロとした液体が流れてくる。
また魔騎士の血が俺のユーリへの気持ちを支配しようとする。

ユーリを傷付けたくない、優しくしたいのに…ユーリを壊したい、めちゃくちゃに抱いて泣かせたいと思っている気持ちもある。

だから俺はその危ない気持ちを抑えるために、衝動を自分にぶつける。
体を傷付けてもすぐに治るし、ユーリが守られて幸せに笑ってくれるならそれだけでいい。

心配だって思うと、俺の脳内が心配の原因を消せばいいと囁く。
俺もそう思うが、ただ家の前をウロウロしていただけの奴なんて分からない。
俺の知り合いじゃなくても、聖騎士が住んでると誰かが知っていたら来る。

ユーリが心配だ、もしユーリになにかしたらバラバラに引き裂いてやる。

「ユーリ、ユーリ…」

部屋の前でずっと立っていたら、俺の祈りが届いたのかユーリがドアを開けた。

俺と目が合って、まだここにいるのが不思議と言いたげな顔だ。
ユーリに情けない姿を見せるわけにはいかないな。

俺は誤魔化すように「どうしたの?」と聞いた、ユーリからしたら俺に同じ質問をしたいだろう。
ユーリは自分の昼飯を先に作ってからのんびりする予定だったらしい。
今日は一日中ユーリはのんびりしてていいんだから昼飯も夕飯も俺が準備している。

冷蔵庫の中を開けたらすぐに分かるからあえて言わなかったが、ユーリに伝えた。

「何から何までありがとう」

「ユーリのためなら何でもするよ」

「イヴ」

「ん?」

「ちょっと顔色悪いけどどうしたんだ?やっぱり俺の熱?」

「違う、これは…本当に違う」

ユーリに隠していたつもりだったが、呆気なく見破られてしまった。
悲しそうなユーリの顔が見えて、頬を優しく包み込んだ。

俺が勝手に心配しているだけだ、ユーリは何も悪くない。

俺はついユーリの心に直接「大丈夫」と伝えるとユーリは頷いた。
俺の気持ちを直接伝えるには一番の方法だが、この時のユーリは人形のように感情が失ったみたいで心が苦しい。
大丈夫、ユーリは人形じゃない…ちゃんと意思があって…生きている。

自分が臆病なだけだ、ユーリを納得させようとしない。
ちゃんと目と目を合わせて向き合って、お互いを理解する事が…恋人というものなのかな。

俺は小さな声で「ごめんね、ユーリ」と言って家を出た。
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