45 / 127
衝撃の事実
しおりを挟む
伝書鳥に手紙を届けるのをお願いすると、その日に届けてくれる。
だから早い時にはその日に返事が返ってくる事があるが、母さん忙しいかもしれないし…返事を急ぐわけではないから俺の今の生活を伝えられたらそれでいい。
イヴは朝早くに用事があると言って朝食を食べずに部屋を出ていった。
俺もぐうたらとずっと寝るわけにはいかず、イヴがいなくても仕事をしようと起き上がる。
学校に行くついでに手紙を出せばいいかな。
まずは自分の朝食を作って食べてから、今日の掃除とか洗濯物とかしよう。
もう慣れた感じで、軽やかに動いていつもより早く終わりそうだ。
布団を干すために、布団を抱えて歩いていると昨日入ったあの部屋があった。
黒いなにかがいた部屋、自然と足が引いてしまう。
大丈夫だ、イヴはもういないって言っていたから…
部屋に背を向けて、ランドリーに向かって歩いた。
午前の仕事が終わり、学校に向かう時前に伝書鳥を取り扱ってる郵便屋に向かった。
送り先を伝書鳥の首に掛かっている首輪に数字を書いて足に手紙を付けた紐を巻いて、伝書鳥が窓から飛び立った。
伝書鳥は普通の鳥ではなく、魔力を宿した鳥で首に掛かっている首輪の文字を読んで運ぶ事が出来る頭のいい子だ。
仕送りは送っていたからやり方は分かっていて、後は無事に届く事を祈るだけだ。
自分で家に届ければいいが、この世界にポストはないから荷物とかは伝書鳥が届けるしかない。
そこの住民が不在だったら、帰ってくるまで外灯に止まって待っている。
一日過ぎても戻らない場合は郵便屋にまだ戻ってくる。
今まで戻ってくる事はなかったから大丈夫だろう。
郵便屋を出てから、学校に向かって歩いていった。
家に帰ると、イヴが先に帰っていて玄関の前に立っていた。
「今日は早いですね」
「ユーリ、話がある…ちょっといいか」
イヴは俺に向かって手招きをするから、何も考えずにイヴに近付いた。
すると、突然イヴが俺の目の前に跪いて驚いて俺もしゃがんだ。
なんでいきなり跪くのか分からず「どうしたんですか?」と聞いてみた。
イヴは俺の腕を優しく掴んで、手のひらに頬を擦り寄せていた。
イヴの体温が手のひらから伝わってきて、イヴの手が俺の手の上から重ねられた。
イヴの目蓋が閉じられたと思ったら、熱い眼差しで俺を見つめていた。
「ユーリ、俺もユーリに証を与えたい」
「証?」
「ユーリに常に身につけてほしい、俺の魂」
イヴは大袈裟に言うなぁと思っていたら、俺の手に口付けると俺の薬指に金色の指輪が嵌められていた。
いつの間に嵌められたのか分からない、サイズもぴったりだ。
シンプルなものだが、かなりの高価なものだとすぐに分かった。
イヴは「ユーリといつも一緒だから」と微笑んでいた。
こんな高価なもの受け取る理由がない!指輪を外そうとしたら、その前にイヴが手を握ってきて外せなくなった。
イヴに手を離してほしかったが、全然力を緩めてくれない。
「こんな高価なもの貰えません!」
「ユーリ、この指輪に俺の一部を埋め込んだ特注品だから……貰ってくれないのか?骨がいい?」
「…ほ、骨?」
「骨を埋め込めばきっとユーリといつも手を握れるね」
イヴが何を言っているのか分からないが、怖い事なのは何となく分かる。
イヴの一部が何なのか分からないけど、これでいいと言った。
本当に自分の骨を埋めそうなほど真剣な顔だったから怖かった。
何を埋め込んだんだろう、見た目金の指輪だけど…
でも、力は感じる…強い…俺の力ではない暖かく見守っている力。
……見守っているというより、見られているような…
「ありがとうございます、大切にします」
「うん、ユーリに大切にしてもらえたら俺も嬉しいよ」
イヴは指輪を口付けて、笑いかけていて…つられて俺も微笑む。
イヴの手の指が俺の指に触れて、自然と唇が重なった。
指に輝く金色の指輪が手を輝かせていた。
あれから数日が経過して、俺は机から覗く窓の向こう側に覗く外の景色を眺めていた。
今日は学校が休みだから仕事が終わったら何もする事がない。
まだ昼間だからイヴが帰ってこないから、部屋でボーッとしていた。
家族に送った手紙の返事が返ってこない。
急いではいないと思ったが、こんなに返事が来ないと不安になる。
郵便屋に行って、ちゃんと届いた事を確認するだけしようかな。
思い付いたら即行動しようと立ち上がった。
そして、郵便屋に俺の手紙がちゃんと届けられたから聞いたら驚いた。
俺の手には、俺が書いた手紙があり…不在を知らせていた。
伝書鳥は手紙を届けるまで丸一日送り先の家の近くで待っている。
一日中外出しているなんて、今までなかった。
もしかしてなにかあったんじゃないかと思い、手紙を握りしめて郵便屋を出た。
母さんが忙しいと思うし、会ったらいろいろ俺の事を悟られてしまいそうだから会えなかった。
昔から母さんはいろいろと人の気持ちを見抜く鋭い人だから…
でもなにかあったとしたら、そんな事言ってられない。
何でもないならそれでいい、確認するだけ…
俺は実家がある平民街に向かって急いだ。
家の前に着いて、窓から中を見ようと思ったが窓はカーテンで遮られて部屋が見えない。
ドアをノックしても返事がない。
俺が変な人に見えたのか、近所の人が不審そうに俺を見つめていた。
「あの…」
「なんだい、そこの家になにか用かい?騎士様に通報するよ」
「怪しい者じゃなくて、俺…ここの家に住んでるグリモア家の長男で」
自己紹介をしようとしたら、目の前の人の顔色が変わった。
グリモアという名を聞いた時だったような気がする。
とても小さな声だったが、後ろからも声が聞こえて振り返ると水晶型の通信機を使って何処かに連絡していた。
俺には関係ないと思って、目の前を見て「連絡が取れないんですが、知りませんか?」と聞いた。
まだ不審人物だと思っているから怯えた表情をしているんだと思った。
その人の言葉を聞くまでは…
「アンタ、まさか…貧民堕ちしたあの人達の息子かい!?」
「……え」
貧民堕ち、そんな筈ない……そんな筈は…
後ろからガシャガシャと騒がしい足音が聞こえて振り返ると、俺の目の前にゴツい鎧に身を包んだ騎士が三人いた。
もう拳が近付いていて、頭を殴られて意識がなくなった。
だから早い時にはその日に返事が返ってくる事があるが、母さん忙しいかもしれないし…返事を急ぐわけではないから俺の今の生活を伝えられたらそれでいい。
イヴは朝早くに用事があると言って朝食を食べずに部屋を出ていった。
俺もぐうたらとずっと寝るわけにはいかず、イヴがいなくても仕事をしようと起き上がる。
学校に行くついでに手紙を出せばいいかな。
まずは自分の朝食を作って食べてから、今日の掃除とか洗濯物とかしよう。
もう慣れた感じで、軽やかに動いていつもより早く終わりそうだ。
布団を干すために、布団を抱えて歩いていると昨日入ったあの部屋があった。
黒いなにかがいた部屋、自然と足が引いてしまう。
大丈夫だ、イヴはもういないって言っていたから…
部屋に背を向けて、ランドリーに向かって歩いた。
午前の仕事が終わり、学校に向かう時前に伝書鳥を取り扱ってる郵便屋に向かった。
送り先を伝書鳥の首に掛かっている首輪に数字を書いて足に手紙を付けた紐を巻いて、伝書鳥が窓から飛び立った。
伝書鳥は普通の鳥ではなく、魔力を宿した鳥で首に掛かっている首輪の文字を読んで運ぶ事が出来る頭のいい子だ。
仕送りは送っていたからやり方は分かっていて、後は無事に届く事を祈るだけだ。
自分で家に届ければいいが、この世界にポストはないから荷物とかは伝書鳥が届けるしかない。
そこの住民が不在だったら、帰ってくるまで外灯に止まって待っている。
一日過ぎても戻らない場合は郵便屋にまだ戻ってくる。
今まで戻ってくる事はなかったから大丈夫だろう。
郵便屋を出てから、学校に向かって歩いていった。
家に帰ると、イヴが先に帰っていて玄関の前に立っていた。
「今日は早いですね」
「ユーリ、話がある…ちょっといいか」
イヴは俺に向かって手招きをするから、何も考えずにイヴに近付いた。
すると、突然イヴが俺の目の前に跪いて驚いて俺もしゃがんだ。
なんでいきなり跪くのか分からず「どうしたんですか?」と聞いてみた。
イヴは俺の腕を優しく掴んで、手のひらに頬を擦り寄せていた。
イヴの体温が手のひらから伝わってきて、イヴの手が俺の手の上から重ねられた。
イヴの目蓋が閉じられたと思ったら、熱い眼差しで俺を見つめていた。
「ユーリ、俺もユーリに証を与えたい」
「証?」
「ユーリに常に身につけてほしい、俺の魂」
イヴは大袈裟に言うなぁと思っていたら、俺の手に口付けると俺の薬指に金色の指輪が嵌められていた。
いつの間に嵌められたのか分からない、サイズもぴったりだ。
シンプルなものだが、かなりの高価なものだとすぐに分かった。
イヴは「ユーリといつも一緒だから」と微笑んでいた。
こんな高価なもの受け取る理由がない!指輪を外そうとしたら、その前にイヴが手を握ってきて外せなくなった。
イヴに手を離してほしかったが、全然力を緩めてくれない。
「こんな高価なもの貰えません!」
「ユーリ、この指輪に俺の一部を埋め込んだ特注品だから……貰ってくれないのか?骨がいい?」
「…ほ、骨?」
「骨を埋め込めばきっとユーリといつも手を握れるね」
イヴが何を言っているのか分からないが、怖い事なのは何となく分かる。
イヴの一部が何なのか分からないけど、これでいいと言った。
本当に自分の骨を埋めそうなほど真剣な顔だったから怖かった。
何を埋め込んだんだろう、見た目金の指輪だけど…
でも、力は感じる…強い…俺の力ではない暖かく見守っている力。
……見守っているというより、見られているような…
「ありがとうございます、大切にします」
「うん、ユーリに大切にしてもらえたら俺も嬉しいよ」
イヴは指輪を口付けて、笑いかけていて…つられて俺も微笑む。
イヴの手の指が俺の指に触れて、自然と唇が重なった。
指に輝く金色の指輪が手を輝かせていた。
あれから数日が経過して、俺は机から覗く窓の向こう側に覗く外の景色を眺めていた。
今日は学校が休みだから仕事が終わったら何もする事がない。
まだ昼間だからイヴが帰ってこないから、部屋でボーッとしていた。
家族に送った手紙の返事が返ってこない。
急いではいないと思ったが、こんなに返事が来ないと不安になる。
郵便屋に行って、ちゃんと届いた事を確認するだけしようかな。
思い付いたら即行動しようと立ち上がった。
そして、郵便屋に俺の手紙がちゃんと届けられたから聞いたら驚いた。
俺の手には、俺が書いた手紙があり…不在を知らせていた。
伝書鳥は手紙を届けるまで丸一日送り先の家の近くで待っている。
一日中外出しているなんて、今までなかった。
もしかしてなにかあったんじゃないかと思い、手紙を握りしめて郵便屋を出た。
母さんが忙しいと思うし、会ったらいろいろ俺の事を悟られてしまいそうだから会えなかった。
昔から母さんはいろいろと人の気持ちを見抜く鋭い人だから…
でもなにかあったとしたら、そんな事言ってられない。
何でもないならそれでいい、確認するだけ…
俺は実家がある平民街に向かって急いだ。
家の前に着いて、窓から中を見ようと思ったが窓はカーテンで遮られて部屋が見えない。
ドアをノックしても返事がない。
俺が変な人に見えたのか、近所の人が不審そうに俺を見つめていた。
「あの…」
「なんだい、そこの家になにか用かい?騎士様に通報するよ」
「怪しい者じゃなくて、俺…ここの家に住んでるグリモア家の長男で」
自己紹介をしようとしたら、目の前の人の顔色が変わった。
グリモアという名を聞いた時だったような気がする。
とても小さな声だったが、後ろからも声が聞こえて振り返ると水晶型の通信機を使って何処かに連絡していた。
俺には関係ないと思って、目の前を見て「連絡が取れないんですが、知りませんか?」と聞いた。
まだ不審人物だと思っているから怯えた表情をしているんだと思った。
その人の言葉を聞くまでは…
「アンタ、まさか…貧民堕ちしたあの人達の息子かい!?」
「……え」
貧民堕ち、そんな筈ない……そんな筈は…
後ろからガシャガシャと騒がしい足音が聞こえて振り返ると、俺の目の前にゴツい鎧に身を包んだ騎士が三人いた。
もう拳が近付いていて、頭を殴られて意識がなくなった。
14
お気に入りに追加
3,725
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【完結】前世の記憶が転生先で全く役に立たないのだが?! ~逆チートの俺が異世界で生き延びる方法~
.mizutama.
BL
☆本編完結しました!!番外編を続々更新予定!!☆
由緒正しい家柄である騎士団長の夫妻に拾われた赤ん坊の俺、アントンには日本人だった前世の記憶があった。
夫妻に溺愛されてすくすくと成長した俺だが、キラキラしたこの異世界での場違い感が半端ない!
そして、夫妻の実子である一歳年下の弟・アルベルトの冷たい視線が突き刺さる!
見た目がザ・平民の俺は、貴族の子弟が通う学園でクラスメートからほぼいない者として扱われ、16歳になるのに婚約者さえ決まらない!
体力もなければ、魔力もない。選ばれし勇者でもなければ、神子でもない。
この物語は、そんな俺がこの異世界を生き抜き、なんとか安らげる居場所を求めてあがいた生々しい記録である!!
【R18】
完全無欠美貌騎士の弟×平凡無自覚兄
(※その他攻めキャラいろいろ・・・・)
※注意事項※
愛されという名の総受け。
ギャグですが、R18要素は多め!(R18シーンは予告なく、突然に始まります!)
攻めはイケメンですが、全員変態です。
それでもいいという方のみご覧ください!!!
【お願い】
ネタバレ感想はネタバレフィルターかけさせていただきます。あしからずご了承ください!アンチ感想・感想という名の展開予測はご遠慮ください。
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、騎士見習の少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。
拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ
親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。
え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか
※独自の世界線
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる