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衝撃の事実

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伝書鳥に手紙を届けるのをお願いすると、その日に届けてくれる。
だから早い時にはその日に返事が返ってくる事があるが、母さん忙しいかもしれないし…返事を急ぐわけではないから俺の今の生活を伝えられたらそれでいい。

イヴは朝早くに用事があると言って朝食を食べずに部屋を出ていった。

俺もぐうたらとずっと寝るわけにはいかず、イヴがいなくても仕事をしようと起き上がる。
学校に行くついでに手紙を出せばいいかな。

まずは自分の朝食を作って食べてから、今日の掃除とか洗濯物とかしよう。

もう慣れた感じで、軽やかに動いていつもより早く終わりそうだ。
布団を干すために、布団を抱えて歩いていると昨日入ったあの部屋があった。
黒いなにかがいた部屋、自然と足が引いてしまう。

大丈夫だ、イヴはもういないって言っていたから…

部屋に背を向けて、ランドリーに向かって歩いた。

午前の仕事が終わり、学校に向かう時前に伝書鳥を取り扱ってる郵便屋に向かった。
送り先を伝書鳥の首に掛かっている首輪に数字を書いて足に手紙を付けた紐を巻いて、伝書鳥が窓から飛び立った。
伝書鳥は普通の鳥ではなく、魔力を宿した鳥で首に掛かっている首輪の文字を読んで運ぶ事が出来る頭のいい子だ。

仕送りは送っていたからやり方は分かっていて、後は無事に届く事を祈るだけだ。

自分で家に届ければいいが、この世界にポストはないから荷物とかは伝書鳥が届けるしかない。
そこの住民が不在だったら、帰ってくるまで外灯に止まって待っている。

一日過ぎても戻らない場合は郵便屋にまだ戻ってくる。

今まで戻ってくる事はなかったから大丈夫だろう。

郵便屋を出てから、学校に向かって歩いていった。

家に帰ると、イヴが先に帰っていて玄関の前に立っていた。

「今日は早いですね」

「ユーリ、話がある…ちょっといいか」

イヴは俺に向かって手招きをするから、何も考えずにイヴに近付いた。
すると、突然イヴが俺の目の前に跪いて驚いて俺もしゃがんだ。

なんでいきなり跪くのか分からず「どうしたんですか?」と聞いてみた。
イヴは俺の腕を優しく掴んで、手のひらに頬を擦り寄せていた。
イヴの体温が手のひらから伝わってきて、イヴの手が俺の手の上から重ねられた。

イヴの目蓋が閉じられたと思ったら、熱い眼差しで俺を見つめていた。

「ユーリ、俺もユーリに証を与えたい」

「証?」

「ユーリに常に身につけてほしい、俺の魂」

イヴは大袈裟に言うなぁと思っていたら、俺の手に口付けると俺の薬指に金色の指輪が嵌められていた。
いつの間に嵌められたのか分からない、サイズもぴったりだ。
シンプルなものだが、かなりの高価なものだとすぐに分かった。

イヴは「ユーリといつも一緒だから」と微笑んでいた。

こんな高価なもの受け取る理由がない!指輪を外そうとしたら、その前にイヴが手を握ってきて外せなくなった。
イヴに手を離してほしかったが、全然力を緩めてくれない。

「こんな高価なもの貰えません!」

「ユーリ、この指輪に俺の一部を埋め込んだ特注品だから……貰ってくれないのか?骨がいい?」

「…ほ、骨?」

「骨を埋め込めばきっとユーリといつも手を握れるね」

イヴが何を言っているのか分からないが、怖い事なのは何となく分かる。
イヴの一部が何なのか分からないけど、これでいいと言った。

本当に自分の骨を埋めそうなほど真剣な顔だったから怖かった。
何を埋め込んだんだろう、見た目金の指輪だけど…

でも、力は感じる…強い…俺の力ではない暖かく見守っている力。

……見守っているというより、見られているような…

「ありがとうございます、大切にします」

「うん、ユーリに大切にしてもらえたら俺も嬉しいよ」

イヴは指輪を口付けて、笑いかけていて…つられて俺も微笑む。

イヴの手の指が俺の指に触れて、自然と唇が重なった。

指に輝く金色の指輪が手を輝かせていた。

あれから数日が経過して、俺は机から覗く窓の向こう側に覗く外の景色を眺めていた。
今日は学校が休みだから仕事が終わったら何もする事がない。

まだ昼間だからイヴが帰ってこないから、部屋でボーッとしていた。
家族に送った手紙の返事が返ってこない。

急いではいないと思ったが、こんなに返事が来ないと不安になる。
郵便屋に行って、ちゃんと届いた事を確認するだけしようかな。

思い付いたら即行動しようと立ち上がった。

そして、郵便屋に俺の手紙がちゃんと届けられたから聞いたら驚いた。

俺の手には、俺が書いた手紙があり…不在を知らせていた。
伝書鳥は手紙を届けるまで丸一日送り先の家の近くで待っている。

一日中外出しているなんて、今までなかった。
もしかしてなにかあったんじゃないかと思い、手紙を握りしめて郵便屋を出た。
母さんが忙しいと思うし、会ったらいろいろ俺の事を悟られてしまいそうだから会えなかった。
昔から母さんはいろいろと人の気持ちを見抜く鋭い人だから…

でもなにかあったとしたら、そんな事言ってられない。
何でもないならそれでいい、確認するだけ…

俺は実家がある平民街に向かって急いだ。

家の前に着いて、窓から中を見ようと思ったが窓はカーテンで遮られて部屋が見えない。
ドアをノックしても返事がない。
俺が変な人に見えたのか、近所の人が不審そうに俺を見つめていた。

「あの…」

「なんだい、そこの家になにか用かい?騎士様に通報するよ」

「怪しい者じゃなくて、俺…ここの家に住んでるグリモア家の長男で」

自己紹介をしようとしたら、目の前の人の顔色が変わった。
グリモアという名を聞いた時だったような気がする。

とても小さな声だったが、後ろからも声が聞こえて振り返ると水晶型の通信機を使って何処かに連絡していた。
俺には関係ないと思って、目の前を見て「連絡が取れないんですが、知りませんか?」と聞いた。

まだ不審人物だと思っているから怯えた表情をしているんだと思った。

その人の言葉を聞くまでは…

「アンタ、まさか…貧民堕ちしたあの人達の息子かい!?」

「……え」

貧民堕ち、そんな筈ない……そんな筈は…

後ろからガシャガシャと騒がしい足音が聞こえて振り返ると、俺の目の前にゴツい鎧に身を包んだ騎士が三人いた。
もう拳が近付いていて、頭を殴られて意識がなくなった。
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