16 / 127
イヴ視点8
しおりを挟む
浮かれた国民達を見つめて、冷静になる。
騎士団長になったからって、なんでこんなに大々的にやるのか理解出来ない。
聖騎士だから、見世物にするつもりなのだろう。
俺はユーリのために聖騎士になっただけなのに…
白馬に乗って俺が前を走り、手を振らなくてはいけない。
ニコニコと笑顔を貼り付けて、国民達の期待に応えるのがパレードで俺がやる事だ。
ユーリがあの中にいると思っていないとやってられないな。
騎士団は影で動けばいい、目立つ事は好きではない。
「国民達にこんなに愛されている騎士は貴方しかいませんよ、イヴ様…少しバルコニーで手を振ってみたらいかがですか?」
「……ちょっと外に出ていく」
「時間までにお戻り下さい、あと…くれぐれも人が多い場所は…」
「分かっている」
グレイグは頭を下げて、城の中にある騎士団長の部屋から出ようと扉に向かった。
最近、グレイグから騎士団長の引き継ぎやパレードの準備とかでユーリに会えない日が続いていた。
俺の中の、ユーリが足りない…このままだと死んでしまう。
一目でいい、ユーリに会いたい…声を聞きたい。
ユーリは来てくれているのだろうか、最近ユーリの家にも行っていないから分からない。
ユーリを知らない時間があるなんて、耐えられない…ユーリになにかあったら、俺は…
魔物がユーリの傍に来ないように家の周りに俺の血を少量垂らして魔法陣を作った。
俺の血には魔力が混じっていて、魔物は俺の血が嫌いなのだろう。
動物のマーキングと同じだ、俺の場所という印を付けた。
今までは俺自身がユーリを守りたかったから、印を付ける事はしなかった。
でも、会う時間が減るとなると俺の代わりにこの血がユーリを守ってくれる。
でも、守るのは家とその周辺だけでユーリを完璧に守れるわけではない。
だから早くパレードを終わらせて、俺の日常に戻るんだ。
時間はあまり取れないだろうが、ユーリを見守る時間は取れる。
血で真っ赤に染めたナイフを手に持ち、指先で弄る。
刃に触れると皮膚が切れて、血が刃に流れる。
ユーリのためなら、この血を流す事も厭わない。
でも、ユーリと会えない時間は俺にとって何の価値もない。
俺の存在意義は、ユーリのためにある………扉を開けると目の前にエマ様がいて俺が目の前に来たから驚いていた。
でも、俺の瞳にはユーリしか見えなくてそのまま素通りした。
「エマ様、どうかされたんですか?」
「いえ…イヴに会いに来たのだけど、なんか顔色が優れないみたいね」
歩く後ろ姿を二人に見つめられながら、廊下を歩いた。
騎士団長になったからって、なんでこんなに大々的にやるのか理解出来ない。
聖騎士だから、見世物にするつもりなのだろう。
俺はユーリのために聖騎士になっただけなのに…
白馬に乗って俺が前を走り、手を振らなくてはいけない。
ニコニコと笑顔を貼り付けて、国民達の期待に応えるのがパレードで俺がやる事だ。
ユーリがあの中にいると思っていないとやってられないな。
騎士団は影で動けばいい、目立つ事は好きではない。
「国民達にこんなに愛されている騎士は貴方しかいませんよ、イヴ様…少しバルコニーで手を振ってみたらいかがですか?」
「……ちょっと外に出ていく」
「時間までにお戻り下さい、あと…くれぐれも人が多い場所は…」
「分かっている」
グレイグは頭を下げて、城の中にある騎士団長の部屋から出ようと扉に向かった。
最近、グレイグから騎士団長の引き継ぎやパレードの準備とかでユーリに会えない日が続いていた。
俺の中の、ユーリが足りない…このままだと死んでしまう。
一目でいい、ユーリに会いたい…声を聞きたい。
ユーリは来てくれているのだろうか、最近ユーリの家にも行っていないから分からない。
ユーリを知らない時間があるなんて、耐えられない…ユーリになにかあったら、俺は…
魔物がユーリの傍に来ないように家の周りに俺の血を少量垂らして魔法陣を作った。
俺の血には魔力が混じっていて、魔物は俺の血が嫌いなのだろう。
動物のマーキングと同じだ、俺の場所という印を付けた。
今までは俺自身がユーリを守りたかったから、印を付ける事はしなかった。
でも、会う時間が減るとなると俺の代わりにこの血がユーリを守ってくれる。
でも、守るのは家とその周辺だけでユーリを完璧に守れるわけではない。
だから早くパレードを終わらせて、俺の日常に戻るんだ。
時間はあまり取れないだろうが、ユーリを見守る時間は取れる。
血で真っ赤に染めたナイフを手に持ち、指先で弄る。
刃に触れると皮膚が切れて、血が刃に流れる。
ユーリのためなら、この血を流す事も厭わない。
でも、ユーリと会えない時間は俺にとって何の価値もない。
俺の存在意義は、ユーリのためにある………扉を開けると目の前にエマ様がいて俺が目の前に来たから驚いていた。
でも、俺の瞳にはユーリしか見えなくてそのまま素通りした。
「エマ様、どうかされたんですか?」
「いえ…イヴに会いに来たのだけど、なんか顔色が優れないみたいね」
歩く後ろ姿を二人に見つめられながら、廊下を歩いた。
17
お気に入りに追加
3,724
あなたにおすすめの小説
転生先の執事が愛しているのは「僕」であって「俺」ではない
紅
BL
如月蒼羽(きさらぎ あおば)はある日突然何者かに襲われ、数多の異種族の共存する異世界へと転生を果たす。金髪青眼の可愛らしい顔立ちをした少年、アトレへと転生した蒼羽だったが、アトレに仕えるイケメン執事に何故か命を狙われる羽目に!
絶対に死にたくない蒼羽と、あの手この手で命を狙ってくる執事の物語
━━その忠誠心が俺に向けられる事は絶対にない…
異世界転生とはいうけれど、転生された者の魂は何処へ在る?
※表紙はAI画像で制作いたしました
ビッチな僕が過保護獣人に囲われている件について。
ミイ
BL
小学生の時にイタズラをされたことがきっかけで後ろでの快感を知った陽介(ようすけ)はその後、自分で致す時は後ろを弄らないとイけなくなってしまう。そんな性癖を持って中・高を過ごし、大学生になって一人暮らしを始めた陽介は夜な夜な一夜限りの相手を探すようになった。
そんな生活が2年程続き、20歳になった陽介は何故か自慰の後、目覚めると男性のみ、それも獣人しかいない世界へ異世界トリップしていた。
そこでは人間であるヒト科は絶滅危惧種で保護対象。運良く保護してくれた獣人は自分を大切にする余り一切触れようとはしない。
そんな中、自分を王家に保護してもらうと言い出してー…。
「僕の性欲はどうなるの…!?」
そう思った陽介は王家に行かないために逃げることを計画する。
*争いごとを好まないマイペース主人公。性的欲求には忠実です。
*主人公が本命を見つけるまで複数と身体の関係を持ちます。苦手な方はご遠慮下さい。
*本編完結・番外編執筆中
モブ兄に転生した俺、弟の身代わりになって婚約破棄される予定です
深凪雪花
BL
テンプレBL小説のヒロイン♂の兄に異世界転生した主人公セラフィル。可愛い弟がバカ王太子タクトスに傷物にされる上、身に覚えのない罪で婚約破棄される未来が許せず、先にタクトスの婚約者になって代わりに婚約破棄される役どころを演じ、弟を守ることを決める。
どうにか婚約に持ち込み、あとは婚約破棄される時を待つだけ、だったはずなのだが……え、いつ婚約破棄してくれるんですか?
※★は性描写あり。
当て馬にも、ワンチャンあってしかるべき!
紫蘇
BL
タイトル先行型。
今度こそコメディ路線にしたい。
妙に貞操観念がゆるいR18のBLゲーに転生してしまった当馬譲(とうまゆずる)。
そのゲームとは、スーパー攻様が無双する学園物で、魔法やら剣やらのお決まりの設定にやたらとエロが絡むとんでもない内容で…。
スーパー攻様(王子様)が気になっている男の子にまとわりつき、あの子を落としたいと思わせるためだけに存在する「当て馬君」に転生してしまった譲は、インターネットで見ただけのゲームの知識と前世の知識で、どこまで戦えるのか!?
当て馬君の未来はどっちだ!?
ドS王子✕幼馴染み
※主人公カップル以外の描写もあり
【完結】身売りした妖精姫は氷血公爵に溺愛される
鈴木かなえ
恋愛
第17回恋愛小説大賞にエントリーしています。
レティシア・マークスは、『妖精姫』と呼ばれる社交界随一の美少女だが、実際は亡くなった前妻の子として家族からは虐げられていて、過去に起きたある出来事により男嫌いになってしまっていた。
社交界デビューしたレティシアは、家族から逃げるために条件にあう男を必死で探していた。
そんな時に目についたのが、女嫌いで有名な『氷血公爵』ことテオドール・エデルマン公爵だった。
レティシアは、自分自身と生まれた時から一緒にいるメイドと護衛を救うため、テオドールに決死の覚悟で取引をもちかける。
R18シーンがある場合、サブタイトルに※がつけてあります。
ムーンライトで公開してあるものを、少しずつ改稿しながら投稿していきます。
可愛い男の子に異世界転生したおじさん、領主のイケメンご子息に溺愛される
八神紫音
BL
【9話以降、1日1話更新】
昔からモテなかったアラフォーの俺は、気付いたら異世界転生していた。
というか、スライムに激突されて前世の記憶が蘇り、異世界転生した元おじさんだと言うことを思い出した。
栗色のサラサラなマッシュヘアーにくりくりのエメラルドの瞳。めちゃくちゃ可愛い美少年に転生していた。
そんな『ディオン・ラグエル』としての第二の人生を楽しんでいた俺は、3つ上の幼馴染の青年に恋をしている。だけどそれは決して叶うことのない恋であり、片思いのまま終わらせるつもりだったのだが……。
※R18の話には*がついています。
※エールありがとうございます!
もしも○○だったら~らぶえっちシリーズ
中村 心響
恋愛
もしもシリーズと題しまして、オリジナル作品の二次創作。ファンサービスで書いた"もしも、あのキャラとこのキャラがこうだったら~"など、本編では有り得ない夢の妄想短編ストーリーの総集編となっております。
※ 作品
「男装バレてイケメンに~」
「灼熱の砂丘」
「イケメンはずんどうぽっちゃり…」
こちらの作品を先にお読みください。
各、作品のファン様へ。
こちらの作品は、ノリと悪ふざけで作者が書き散らした、らぶえっちだらけの物語りとなっております。
故に、本作品のイメージが崩れた!とか。
あのキャラにこんなことさせないで!とか。
その他諸々の苦情は一切受け付けておりません。(。ᵕᴗᵕ。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる