高校で人気者の幼馴染は何故か俺にだけ当たりが強い

第18話 謝罪

「よっ　おはよう」

玄関を出すとそこに幼馴染が立っていた。

「よう結衣か　おはよう　
　風邪は治ったみたいだな」

「あぁ　おかげで元気だ」

「やっぱりお前が病気とか信じられないしな
　クラスの奴がまた騒ぎそうだ」

「そうだな　クラスのやつとも仲良くしろよ？
　最低でも友達は作ったほうがいいぞ」

「作り方わからねぇよ」

「なんなら私が手伝ってやっても良いぞ？」

「おっまじ？　でもお前なんか出来るのか？」

「任せとけ」

なんか若干の不安が残るが幼馴染が
手伝うと言っているし、やってみるか。

教室にて

「ねぇねぇ良一君と友達になってくれない？」

「おい　流石に直球すぎないか？」

「そんなことないでしょー
　良一君ひどーいー」

「どう考えても直球すぎるだろ
　「任せとけ」がこれか」

「えーと…2人は仲がいいんですね」

「幼馴染だからねー
　どうしてもって頼まれちゃって」

「おい　平然と嘘つくな」

「それで良一君と友達になってくれない？」

こいつ無視しやがった。

「桜井さんの頼みなら…」

これ大丈夫か？
友達と言えるのか？

幼馴染を引っ張り囁く。

「おいこれ友達と言えるのか？
　絶対結衣からの頼みで仕方がなくだと思うぞ」

「仕方がないだろ　
　これしか思いつかなかったんだ」

「結衣が任せとけって言ったのに無責任だな」

「そもそもお前がコミュ症なのが悪い」

「それは言っちゃいけないぜ」

うーん幼馴染が自信満々で言うから
期待したが友達は無理そうだな。

「よっ！　良一…と桜井さん！」

クラスの陽キャ男子　陽介が話しかけてきた。

「あぁ　おはよう」

「おはよー！」

「何話してるんだ？」

「あっそうだ！
　お願いがあるんだけどさ！」

こいつまさか…

「なんだ？　
　桜井さんのお願いならなんだって聞くぜ」

「じゃあ良一君と友達になってくれない？」

「おいっ」

「桜井さんの頼みなら全然良いぜ！
　仲良くしような良一！」

まじかよ…この前、キレられたばかりなんだが
ふっ不安だ…

「良かったね良一君！」

「友達出来たから良かったけどさ…」

こんな友達の作り方するとはな…
物語の様な青春はやっぱり現実では
送れないんだな…

「なあ　良一今日一緒に帰らね？」

「えっ　なんで？」

「そりゃー友達だからだろ？」

「ははは　ははっ…」

あれこれまたキレられる流れじゃね？
それだったら嫌だなぁ…


放課後

昇降口から出ると壁を背にして待っている
陽介が立っていた。

「おう　じゃ帰ろっか」

「あぁ」

…気まずい、　幼馴染は先に帰ってしまったし、
不安だ… なんのやつだったんだろうか
やっぱりキレられるのか…

「あのさ…」

「なっなにかな？」

ビクビクしながら答える。

「この前は悪かったな」

「……えっ？」

またキレられると思っていたから
思わず拍子抜けた声が出てしまった。

「この前、キレちゃって…悪かったな」

「えっ？まじでどういうこと？」

「実はあの時、俺は失恋したばかりでな…」

「えっでもお前ならまた次の彼女作るんだろ？」

「…実はな俺あんまりモテない」

えっ　さらっと衝撃的なこと言った？
こいつ彼女いっぱいいるんじゃないのか？

「モテないって…えっ？
　でも前クラスの男子達にさん付けで
　呼ばれてたし、
　噂だとその手の噂ばっかりだが…」

「………恥ずかしいんだがそれ全部嘘だ」

「……そんなことある？」

「そんなことあるんだなこれが」

「…なんでそんなことに…？」

「クラスの男子どもと恋バナしたことが
　あったんだ。
　その時に今まで彼女がいなかったが、
　マウント取りたくて思わず話を盛りすぎたんだ」

「…そんなこと本当にある？」

「本当にあるんだなこれが
　という事だ…悪かったな…」

「でもなんでそれを俺に言うんだよ
　モテないって言わなくても
　良かったんじゃないか？」

「正直桜井さんに頼まれたことってのもあるし、
　罪悪感に耐えられなくてな
　でもこの事は現在お前にしか言ってないから
　他の奴には漏らさないでくれ」

「分かったよ　どうせ言うやついないしな
　じゃあ言わない代わりに友達になってくれよ」

「あぁ分かってる　桜井の頼みだしな」

「でもあくまで結衣の頼まれたのが理由なんだな」

「…お前桜井さんの事下の名前でそのまま
　呼んでんの？…付き合ってる？」

「いや付き合ってない　頼まれて呼んでるだけ」

「…それって……いや…いいや
　じゃあな俺家こっちだから」

「おうじゃあなまた明日」

まさか陽介がモテないとはな…
びっくりだわ　
でも友達が出来てよかった
幼馴染のお陰だな　
後であいつに何か奢ってやるか…ん？

「あれ？なんでお前いるの？」

「別に？　学校なら忘れ物したから
　戻ったら偶・然・お前が
　見えたから少し待ってやっただけ…」

「そうか　偶然か」

「それで？あいつとはどうだったんだ？」

「無事友達になったぞ」

「おーまじか　キレられると思ってたぞ」

「それは俺もそう思ってた
　人には表面と裏があるんだと思ったわ」

ていうか幼馴染もそうか、
陽介ぐらい裏表の差が著しいし。

「今回はお前のお陰だしな
　なんか奢ってやろうか？」

「よっしゃ！
　じゃあこの国買って」

「はいはい　そこのコンビニのアイスな」

「分かってるじゃないか」

「何年一緒にいると思ってるんだよ」

「それもそうだな」

幼馴染はそういうと元気よく笑った。