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死闘続発★ホモら共存編

(比較的)平和な日常

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「ふぁ~~~…」

清々しい朝……とは程遠く、俺の頭は頭痛を訴えていた。軽いけど、吐き気もするし…、昨日の記憶が曖昧だ。
確か…、ジャックさんに渡された酒を飲んでから…。

……あれ、その後どうなったんだろう…。
…俺、もしかしてぶっ倒れたりした?

ガチャ

「あ、リイサスさん。おはようございます」

「…やぁ、おはようコージくん。気分はどうだい?」

「ちょっと頭痛いですけど…、平気っす!」

「そうかい、なら今日は安静にしておこうか」

にっこりと隈の付いた目で微笑まれて…あ、あれー? どうしたんだろう…。なんかゲッソリ…。

「あの…リイサスさん……、どうしたんですか…。やつれてますけど…」

「………………覚えていないのかい…」

『こいつマジか』って顔で、リイサスさんが大きなため息を吐いた。
酔っ払って何かをやらかして、翌日覚えてないってのは異世界とかじゃなくても、どのジャンルの話でもあるあるだ。大抵、酒乱だったり下戸だったりがほとんどだけど…。
…もしや……、俺も…!?

「…はぁ、右手の世話になったのなんて、いつぶりだろう……」

嫌味かな?

「下品な話だけど…多分、昨日は俺以外の奴も全員、利き手の世話になったんじゃないかな」

「えっ。……昨日、一体何が」

「知らない方が良いよ。もし知ってしまったら、君は羞恥に耐えきれずギルドを飛び出しかねない…」

「えーーー……、俺本当に何したんだよ…!!」

必死に思い出そうと頭を抱えるも、最後の記憶は金色の液体と、独特の匂いだけ。ジャックさんの声もなんとなく覚えているけど…、それ以外はサッパリだった。
……もう酒飲むの止めよう。ここ日本じゃないけど、日本の法律に従って、20歳になったら1人の時に飲んでみよう…。……5年後かぁ。

「朝飯、食べるかい? ルークの奴、かなり頑張って作ったみたいだよ」

「めしっ! 食べますっ!!」

腹が減っていた俺は頭痛なんて忘れて、ベッドから飛び降りて、リイサスさんに抱き止められた。
一緒に1階に降りて、キッチンの良い匂いに誘われるようにルークさんと顔を合わせる。

「コージくん!」

「おはようございまぁ~す!」

「あ、ルーク。コージくんは昨日の事覚えていないようだよ」

「…そうか。…安心した…が、何なのだろう、この落胆は」

「分かるぞ。顔を真っ赤にして涙目で布団にもぐるコージくんが見たかったよな」

「おい、リイサスさん、おい」

適度にツッコミを入れながら、いつもより手の込んだ朝食を食べる為に席に着き、3人一緒にぱくぱくもぐもぐ。
あー美味しい、と半熟目玉焼き、ベーコン、チーズが乗ったトーストをはむはむしていると、ふと頭に浮かんだ色男のイケメン面。

「………あの、ここってリイサスさんの家ですよね。運んでくれたんですよね? …ガレ達はどうしたんですか?」

「…………盗賊達はコージくんがこの家に入るのを確認した後、近くに仮拠点を作りに言ったよ。多分だけど、ずっと空き家になってる屋敷にいるんじゃないかな?」

「やしき」

「とある事件があってから、何十年も買い手が見付からず放置状態になっている屋敷だ。ケダモノの巣窟となるので、絶対に近付かないように」

「ひでー」

「……そう言えばロイが、盗賊達の仮拠点に泊まると言っていたが…」

「え、ロイが?」

想像もしなかった事をルークさんから聞かされて、俺は軽く目を見開いた。
本当に泊まっているのなら、俺の目ん玉は絶対飛び出す。トムアンドジェリーみたいに。
あのアニメ、よく観てたんだよな。トムのおマヌケ具合とか、ジェリーのお茶目っぷりとか、結構好きでさ。たまに飼い主のおばさんとか、トムが喋ったりすると、レア感あるよな。
…あれ、いつの間にか脱線してる。
えっと、ロイがガレの拠点に泊まったんだっけ。
ガレの奴、ルークさんが俺にキスしたくらいでキレるくせに、ロイにはなんだか優しい気がする。
気にかけてるって言うか…。………ハッ!

「まさかあの2人、デキてる!?」

「「それは無い」」

「…即答ですか」

仲良いなぁ、流石親友だ。以心伝心というか…。まぁ俺も、勇輝とだったらそれぐらい出来るけどな!

「認めたくは無いが、あの盗賊頭とロイは君を一途に想っている」

「あぁ、ルークの言う通りだ。コージくんの可愛さについて語り合うならともかく、もしも自分に『恋人』と認識出来るような存在が出来たとコージくんが知れば、完全にコージくんの恋愛対象から外れてしまうと分かっている筈だ。コージくん、浮気とか許さないタイプだろう?」

「当然! つか許しちゃダメだろ!」

「そうだね。だから、俺達を含めた君を想う奴らは全員、他の奴と肉体関係すら持たないよ。君に恋人になって欲しいから、『遊んでいる』なんて印象、与えたくないんだ」


……………け、結構本気で、想われてるんだなぁ~…。
………………………ふぅ~ん……………。………………。



「コージくん、顔がニヤついているよ?」

「えっ」

リイサスさんの指摘に慌てて顔を触ると、確かに口角が上がっていて…。軽く絶望した。


…………俺も、ホモに染まってきちゃったかなぁ…。





********************





「よぉコージ。熊野郎と過保護野郎に何かされなかったか?」

「過保護野郎ってもしかして俺の事?」

朝食後、『今日は家でコージくんを可愛がりまくりたい』と駄々をこねだした2人を半ば引きずるようにして、ギルド行きの馬車に乗り込み、そこでイヤになるくらいキスしまくった俺達。
後半はルークさんの膝の上に乗って、正面のルークさん、背後のリイサスさんと海外ドラマの不倫する人妻のように熱烈なキスをしまくった。だって気持ち良いんだもん。

ギルドに到着して、乱れかけた服や片手でわしづかみされてボサボサになった後頭部の髪を直して、ギルドの大門をくぐる。
そしてその直後、すぐに俺達に気付いたガレが放った言葉が、さっきのあれだ。
熊も過保護も事実だから、俺も悪口として咎める事が出来ず、朝から火花がバチバチ。

俺に出来る事と言ったら、ガレの側にいた狐さん(狐バージョン)を取っ捕まえてもふもふする事ぐらいだった。もふもふ。


「あぁそうだ、忘れないうちに…。全員聞け! コージくんは昨日の事をまったく覚えていない! だからこのまま思い出させない方向でいくぞ!」

「それ本人の前で言っちゃうんだ?」

と、思わずツッコミを入れてしまった俺だが、マジで昨日の事はこれっぽっちも思い出せていない。
ガレが『いつか絶対に孕ませる…』と危なげな雰囲気でニヤリと笑っているのが気になるし、ジャックさんが『………今度は二人きりの時に』と呟いて、リイサスさんに無言の圧力をかけられているのも気になる。
ロイが能面のように無表情なのに耳がカァァァっと赤くなったのも気になるし、ワーナーさんが『俺もべろんべろんなコージ見たかった』とorzしているのも気になる。

本当に何したんだ!! なぁ、昨日の俺!!


「コージ、本当に手ェ出されなかったか? 襲われてねェか?」

「おい疑い過ぎだぞ盗賊頭! 昨日俺は自分を必死に慰めて健やかに眠るコージくんの安眠を最後まで守ったんだからな! というか、お前部下を使ってコージくんの寝室を一晩中見張らせていただろう!」

「お、なんだ気付いてたのかよ」

「あれで気付かれないと思っていたのか!? お前俺達をナメ過ぎだろう!」

「冗談だっつーの。プレッシャー与えてたんだよ」

「はぁ……」

ガレと会話して、ものの数分でリイサスさんが疲れはてた。
寝室が見張られていたってとこ、詳しく問い詰めたくはあるが、それは一先ず置いといて…。

「なぁガレ。昨日、ロイがガレの拠点に泊まったってホント?」

「なんだ、知ってたのか」

「確かに泊まった。これからの…、古龍達の対策なんかを話し合ってた」

ガレとロイが顔を見合わせて、なんでもないように言う。

「じゃあ…、2人はデキてる訳じゃないんだな?」

「は?」

「どこのどいつだそれ言ったバカ」

「ごめんなさいオーディアンギルドのコージくんです」

素直に謝ったのにガレとロイの奴、お仕置きとして俺を吸いやがった…。猫みたいに。髪と首筋に顔をうずめられて、スゥーーーーーって。ムズムズしたし、公衆の面前でいちゃついてるみたいで恥ずかしいのに…。

「あんなに激しく愛したのに、コージには全然伝わってなかったみてェだな」

「同感だ。悲しいぞ、コージ」

「ご、ごめんなさい…。…イタズラがバレたにゃんこの気分」

にゃんにゃん、ふにゃーん。ごめんにゃちゃい。許してにゃ。

「独占禁止!」

と、ガレとロイの間からリイサスさんが引っ張り出してくれた。
俺、猫になっちゃうところだったから、感謝感謝…。ありがとにゃん。

占はしてねェぞ? こいつもいるんだからな」

そう言って、ガレがロイの頭をバシバシと叩いた。
前に『独占しねェよ』って言ってたけど、こういう事か…。ガレってば、詐欺師に向いてる気がする。
そんなこんなで、ガレ&ロイ VS ルーク&リイサスが始まりそうになっていた時。


ドゴォォォォォォォォォン


ギルドのすぐ外で響いた轟音に地面が軽く揺れて、俺達はすぐに外に飛び出した。
そこにあったものは…。


「ワァーッハッハッハーーーッ!! コージ、今夜はコイツで宴でもどうだ!!!」


古龍の姿に戻ったセキと、その足下に横たわる何体もの巨大なヘビの集合体。
急いで俺は『上位鑑定』を発動。嫌な予感がしたから。


《※死亡している為、個体情報を標示する事が出来ません。

種族 ヒュドラ

世界に10体のみ生息する、多頭龍の1体。猛毒を撒き散らし、あらゆる生物を死へ導く。知能が高く、9つある頭のうち、8つは破壊すると2つに分裂して再生する。残りの1つは回復能力が非常に高い。一部の国では死を司る神の遣いとして神聖視されている》



「セキーーーーーーーーなんてことしてんだお前ーーーーーーーーーーッ!!!」



ハチャメチャで平和な日常が、幕を開けた。







********************


はぁい(* ̄∇ ̄)ノ
推し①(糸目)の誕生日が5月14日で、推し②(社畜)の誕生日が5月15日で、盛大に焦ったメルです。

誕生日だけで誰かを察した方は、私と握手しましょう。

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