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死闘続発★ホモら共存編

俺の人権どこ行った

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「…コージくんの方の事情は分かったし、君が何を望んでいるのかも理解した。…だが従魔契約を結んだ古龍達はともかく、ガレ・プリストファーとその部下らをここに置くわけにはいかない」

ルークさんの言葉に、俺は肩を落とした。
いやまぁ? そんなアッサリOK貰えるとは思ってなかったぜ? ただ、やっぱ説得しなきゃいけないとなると面倒だなって…。

「だ、ダメな理由は…」

「…彼らが君を狙うライバルであり、犯罪者だからだ。通報もせずに留まる事を容認すれば、私達も共犯と捉えられかねない」

あっ……。
そうだ、そう言えばガレ達は悪い盗賊だった…。うーん確かに、ギルドメンバーが疑われるなんて、ギルドマスターにとっちゃ嫌だよな…。…でも、ガレは俺といたいって言うし、俺はクエスト受けてお金稼がなきゃいけないし…。………難しい…。
俺がうんうん唸っていると、ガレが近付いて来て俺の耳に口を寄せてボソッと呟く。

「惚れた弱味って言葉、知ってるか?」

はぅっ…! 息で耳がムズムズする…!
…でも、ガレの言いたい事は分かったぜ…。『説得したきゃコージ自身を人質に脅せ』って事だろ? ワーナーさんを庇う時も同じ手法だったから、多分通じると思うけど…、ぐぬぅ、お仕置きが恐い。…それに、本当にルークさん達が聖騎士団とかに狙われちゃったら、申し訳無さ過ぎて胃に穴が開きそう…。…ぐぬぉぉぉ…!!


「はぁ……、しゃーねェな」

俺の頭に手をぽんっと置いて、ガレが一歩前に出てルークさん、リイサスさんと向き合う。一方の2人はガレを睨み、『お前が交渉するのか』って言いたげに舌打ちした。

「もしもお前らが俺らを攻撃しようもんなら、俺はこのままコージを連れ去る」

「!!!?」

「貴様……!!」

身動きが取れないぐらいの敵意、殺気がドゥンッ!! て部屋を満たし、殺る気まんまんの2人と、ガレとセキ以外の人はまったく動けない。勿論、俺も。

「おい赤古龍。お前はだ」

「ふははは!! 俺はどちらにも付かん! 俺が直接干渉するのはコージの身に危険が迫った時のみだ!」

「だとよ。この意味が分かるよな、ルーク・アラウザにリイサス・ラック」

俺は意味が分からなかったけど、ルークさんとリイサスさんは一層険しい表情になった。フルネームを言い当てられて、驚いてるみたいでもある。
…ガレは『鑑定』スキルがあるんだから知ってて当然なんだけど、それを知らない2人は…。
ガレとの出会いを説明した時だって、プライバシーの侵害だと思って、濁したんだ。だって、許可を取ってたならともかく、俺が勝手にガレのスキルをバラす訳にはいかないだろ?

「つまりはだな…、赤古龍が中立を決めた今、この場で最も強いのは俺だ」

ルークさんリイサスさんに続き、ガレも殺気を放ち始めた。狐さんとミゲルさんを殺した時と同じ、体中がブルブル震えて止まらない。殺気を肉眼で捉える事は出来ないけど、ルークさんとリイサスさんが圧されたのが分かった。

「だがここでお前らを皆殺しにしてもコージが悲しむだけだし、コージの核心が揺らぐと俺が古龍共に消されかねない。だからお前らが血を見る事はねェから、まぁ安心しろ」

「は…安心出来る訳がないだろう…!」

「だろーな。お前らを殺さずにコージだけ連れ去る方法なんて、いくらでもあるしな」

ニッコリと笑ったガレ。冷や汗を流しながら何かを模索してるリイサスさん。徐々に気力を取り戻し、負けじとガレを睨むルークさん。疲れ果てたお顔のジャックさん。俺の半歩後ろで恐怖に引き攣っているワーナーさん。俺とドアの間で様子見のロイ。終始面白そうに傍観を決め込むセキ。いつでもガレの助太刀が出来るよう、投げナイフを握り締めるミゲルさん。殺気の重圧にやられて鉄棒で失敗した時みたいに、ソファの背もたれにぐてんとぶら下がる狐さ………狐さぁぁん!!

一瞬、狐さんの仇としてごっつん★させようかとも思ったけど、ガレは俺の代わりに交渉脅迫してくれているんだから、邪魔しちゃいけないよな。……あぁごめんなさい狐さんっ! 後でいっぱいもふもふしましょうねっ!!

「…あー、ま、なんだ。何も容認しろとは言ってねェ。通報だってして貰っても構わん」

「!? え…」

衝撃の爆弾発言…ってほどでもないけど、全員の目を見開かせるには充分な内容だ。
だって、通報したら…、聖騎士とかいっぱい来ちゃうかも知れねーのに。

「駆け付けた騎士の奴らは土に還ってもらうが…、俺達に攻撃さえしなきゃ、俺もコージは攫わねェ。俺の部下らもお前らを攻撃しねェ。あ、ギルドには入り浸るぜ?」

「…………」

「俺はコージの側にいたいだけだ。が…欲を言えば抱きたい。更に言えば結婚したい」

「おい…」

「お前らも同じだろ」

「…………まぁ……」

あ、おふざけモード入った。しかもリイサスさんもおふざけ空気に呑まれた。
……これは、ガレの勝ちだな…。

「コージを攫われたくなきゃ、攻撃するな。この条件をお前らが呑めば、俺達もお前らを攻撃しねェし、コージ案件以外で迷惑は極力掛けない。…呑めなきゃコージは貰って行く。至極簡単だろ?」

なるほど、おバカと言われる俺でも理解出来た! 俺も攫われたくはねーなぁ…。…あれ? 俺の人権は?

「…しかし……」

眉間にしわを寄せて俺をチラリと見るルークさん。多分、ライバルが増える事を良しとしてない。

「おいおい、俺は最大限妥協してんだぞ。お前ら抹殺してコージとラブラブ新婚生活送りてェ所を、コージの希望に沿って新婚生活は先送りにしたんだ。お前らもコージが好きなら、コイツの意見に耳を傾けろや」

「あくまで先送りなんだな…」

「……………………」

「……………………」

俺のツッコミも空しく、ルークさんとリイサスさんは顔を見合わせて考えている。
ところで俺の人権どこ行った?

「…こちらからも、条件がある」

「ほぉ、言ってみな」

「……コージくんを独占するな」

おおぅ、そうきたか。確かにヤンデレを前に独占ってのは、自殺行為だな…。これはガレに呑んでもらうしかないか…。

「……はぁ、ここに来た時点で覚悟の上だ。独占しねェよ」

……これはもしかして…、交渉成立?

「…分かった。条件を、呑もう」

ルークさんのその言葉に、部屋に充満していた殺気がふっと消えた。と、同時に俺は力無くソファに座り込んで、安心の意味でため息を吐く。

…解決、した。


「ふぃーー…、一件落ちゃ…、あっ狐さーん!!」

まだぐてーん中の狐さんをひょいって抱き上げ、元気になるように、もふもふ。するとちょっと目を開いて『きゅ…』と鳴いた後に、気絶しちゃった。うー殺気まみれで怖かったですよねぇ~よしよし。狐さんは俺が守る!

「…こ、コージ? ソイツ、一応21の男だからな?」

気絶した狐さんを撫でる俺に、ガレが言うが…、へへん! 関係無いもんね! 可愛いもんは可愛い! もふもふはもふもふ!!

「コージくん、私も…!」

「あ、俺、ルークさんに頼みたい事があったんですけど」

「何かね?」

俺に頼られてからなのか、嬉しそうに食い付くルークさん。くまみみがぴくぴく動いてる。可愛い。

「人化、解いてくれませんか?」

──…そう、これが俺の最近の目的。というか楽しみ。
名付けて、『人化を解いて熊になったもふもふルークさんにぎゅってされたい大作戦』!!

え? 作戦名が長い? そんな事はどーでも良い! 大切なものはもふれるか! ただそれだけだ!!

「勿論良いとも! ちょっと待ってくれたまえ。今、解く…」

「うぉぉぉちょっと待てルーク! ここで解くな! 全員が君と壁に押し潰される!」

人化を解こうとしゃがみこんだルークさんを、慌てた様子でリイサスさんが止める。
……ん? 壁とルークさんに押し潰される…? この部屋、それなりに広いし、物置小屋じゃないんだから大丈夫だろ。

「コージくん…。言っておくが、ルークはかなりデカいぞ…! ただでさえデカい熊の獣人だが、ルークの血族はその中でも特にデカい。人化を解いたルークの大きさなら、腹の上でコージくんがお昼寝出来るくらいだ…」

「マジで!!?」

リアルト○ロ!! あれはメイちゃんが幼女だったから出来た事だけど、俺は今15歳…。そんな俺がお昼寝出来るくらいだと!?

「人化を解くなら大広間でやれ。コージくんが帰って来たってあいつらに伝えられるし、コージくんはお昼ご飯がまだだろう? おらクソドワーフ、さっさと作ってこい」

……ワーナーさんに対してだけ口悪いの、変わってないなリイサスさん…。
でもご飯は食べたいっ!! 仮昇天はともかく、またあの美味しいご飯を食べたい!!

「お前に言われなくても作る! コージは何食べたい? 今日はコージが帰って来てくれたから、豪勢にいくぞ!」

「ワーナーさんの作る料理なら何でも食べたいです!!」

「はははっ! 嬉しい事言ってくれるなコージ! よぉし、腕によりをかけて作るからな!!」

「わぁい!!」

はしゃぐ俺に、俺の頭をなでなでするワーナーさん。兄貴って感じで、最高に癒されます!

「で、ロイは? ロイも食うんだろ?」

俺をなでなで…いや、もはや、わしゃわしゃしながら、ワーナーさんがロイに話し掛ける。
ワーナーさんの傷跡だらけのごつごつの手で撫で回されて、俺はもうとろとろ。
あっエロい意味じゃないからな!?

「あー…、旅費で金あんまり無いから、パンと肉だけで良い。………緊張で食欲無いし」

「分かった。……で、あんたらは…」

今度はガレとミゲルさんに向かって、ワーナーさんがちょっと緊張してる風に聞いた。その問い掛けに、ガレは意外そうにニヤリと笑う。

「へぇ、作ってくれるんだなァ」

「…こっちも商売だから、金は取るぞ」

「おうよ。コージが美味い美味い言うもんだから、気になってたんだよな。部下らの分は俺が払う。食えりゃ何でも良い。6人分頼むぜ」

そう言って、ガレが懐から取り出した金貨を10枚机の上に置いた。ガレと、狐さんミゲルさん、その他3人の部下の人の分だな! 意外と太っ腹だなぁガレの奴…。

「……好みは、無いのか?」

「俺はねェな。部下らは知らん。おいミゲル、お前は?」

「俺も特に…。食えれば生きていけましたから…」

「だよなァ」

『好み? 何それ美味しいの?』みたいな表情で顔を見合わせるガレとミゲルさん。
いや…好みは美味しいだろ。一体どんな環境に身を置いてきて……アッ(察し)

「……ふ、はははは…」

…あれれ、ワーナーさん壊れちゃった?

「良いだろう…。んな事、2度と言えねぇよう、お前らの好み、全部探り出してやる…」

両手をわきわきさせてメラメラ炎を瞳に宿すワーナーさん。そんな変態染みた動作に、ガレとミゲルさんが半歩下がった。
………比較的まともな筈のワーナーさんが、エロゲの悪役みたいになってるぅぅぅ…!!






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