Eternal Chains - 圧政の影

ペコかな

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第3章: 反逆の決意

3. 裏切りの可能性

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反乱軍の絆が深まり、戦う決意が固まった頃、リーシャは不安な気持ちに囚われていた。

彼女は何度も過去の戦闘を振り返り、計画を見直していたが、
どこかに不穏な影が潜んでいるような感覚を拭い去ることができなかった。


ある夜、リーシャはグレタとアンリを呼び出し、納屋の奥まった場所で密かに話し合いを始めた。

火の灯りが静かに揺れる中、リーシャの表情は普段よりもさらに真剣だった。


「グレタさん、アンリ、ここ数日、私たちの動きが敵に読まれているような気がするの。」
リーシャは低い声で話し始めた。

「補給隊の襲撃の時も、敵が予想以上に早く動いていた。
まるで、私たちの計画を知っていたかのように。」


アンリは眉をひそめ、
「それって…誰かが情報を漏らしているってことか?」と、疑念を抱いた。


グレタは静かに頷いた。
「可能性はあるわ。私たちの中に、セリオンの手先が潜んでいるのかもしれない。」


その言葉に、リーシャの心はさらに重くなった。

彼女は仲間たちを信じていたが、反乱軍の中にスパイがいる可能性があると考えると、不安が募った。


「でも、誰がそんなことを…?」
アンリは疑念を抱きながらも、すぐに仲間たちを疑うことに抵抗を感じていた。


「みんな、俺たちと同じようにこの村を守りたいと思っているんじゃないのか?」

「もちろん、そう願いたいわ。」
リーシャは深い溜息をついた。


「でも、私たちはセリオンに対して常に一歩遅れている。
何度も計画が読まれていると感じるのは偶然じゃないかもしれない。」


「それに、スパイがいるとしたら、私たちの計画がすべて敵に筒抜けになる可能性がある。」
グレタが慎重な口調で続けた。


「早急に対策を考えないと、私たち全員が危険にさらされることになるわ。」


アンリはしばらく考え込んでいたが、やがて口を開いた。

「じゃあ、どうすればいいんだ?仲間たちを全員疑うわけにはいかない。
でも、何か手を打たなければならないのも確かだ。」


リーシャは一瞬考え込んだ後、意を決して言った。

「まずは、これまでの計画や情報の流れを再確認しましょう。
そして、次の行動計画を少しずつ変更していく。
スパイがいるかどうかを確かめるために、偽の情報を流すことも検討する必要があるかもしれない。」


「偽の情報?」
アンリは驚いた表情を見せた。


「ええ。
もし私たちの中にスパイがいるなら、その情報が敵に渡るはずです。」
リーシャは決然とした表情で言った。


「それがわかれば、スパイを特定する手がかりになるはず。」


グレタは少し考えた後、リーシャの提案に賛同した。

「それは有効な手段かもしれないわ。
リスクはあるけれど、現状ではそれが一番の方法かもしれない。」


アンリはまだ躊躇している様子だったが、最終的にリーシャの提案に同意した。

「わかった、やってみよう。
俺たちがこのままでは危険だし、敵に出し抜かれるわけにはいかない。」


リーシャは頷き、さらに計画を練り始めた。

「私たちが次に動くのは、あくまで偽の情報を基にした行動です。
実際には別の作戦を立てておく必要があります。
どの情報が漏れ、どの情報が敵に伝わらなかったかを確認することで、スパイの存在を確かめましょう。」


「でも、リーシャ…」
アンリは心配そうに言った。


「それって、仲間たちを裏切るような行為にならないか?もし、全員が無実だったら…」

リーシャはアンリの不安を理解しつつも、毅然とした態度で答えた。


「その可能性も考えているわ。
でも、今の状況では、私たちはどんな手段でも使って敵に立ち向かわなければならない。
仲間たちを守るためにも、スパイがいるかどうかを確かめることが必要なの。」


アンリはしばらく黙っていたが、やがて深く息を吸い込み、「君の言う通りだ」と、納得したように頷いた。


「俺たち全員を守るために、やるしかない。」


グレタも同意し、リーシャの手を取った。

「リーシャ、あなたの判断を信じています。
私たちは共にこの試練を乗り越えましょう。」


リーシャは二人の支持を受け、心を強くした。

「ありがとう、二人とも。
私たちが力を合わせれば、きっとこの危機を乗り越えられるはず。」


その夜、リーシャたちは密かに次の計画を練り直し、偽の情報を流す準備を整えた。

反乱軍のメンバーたちが疑心暗鬼に陥ることがないよう、最大限の注意を払いながら行動する決意を固めた。


内部に潜むスパイの影が、彼らの絆を揺るがそうとしていたが、リーシャたちはそれを乗り越え、
さらに強固な結束を築くために、全力で立ち向かう準備を進めていった。


これから始まる試練が、彼らをどれほど苦しめるかは分からない。

しかし、リーシャはリーダーとして、その責任を全うする覚悟を胸に、前を向いて進み続けるのだった。
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