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第2章
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隣で眠る柚子の髪を撫でる零士は、自己嫌悪に陥っていた。
「やるつもりはなかったんだけどなぁ……」
それでもポツリと呟く零士は、柚子と関係を持ったことに幸せを感じていた。
「柚子」
眠り姫のように眠る柚子の名前を呼ぶ。初めてなのに無理をさせたのではないかと心配になる。
眠る柚子を抱き寄せては軽くキスをし、瞼を閉じた。
寝室のカーテンの隙間から光が射し込んでくる。その光が柚子の頬を照らす。
「……ん」
寝返りを打つ柚子に気付いて隣から手が伸びてくる。自分の方へ抱き寄せて離さない。
「零士さん……」
寝ぼけた状態の零士は柚子の頭撫でる。
「……おはよう」
うっすらと目を開けた零士は柚子にキスをした。
「零士さ……」
名前を呼ぶ時に自分たちが裸であることに気付いて顔を真っ赤にする。零士は気にもせずに柚子を抱き寄せている。
「あ、あの……、零士さん……」
(恥ずかしい……)
裸であることがどういうことなのか、理解出来たのは眠気が飛び頭が覚醒してきたからだ。
恥ずかしくて掛け布団を頭まで被る。けど、掛け布団の下は何もつけてない自分たちの身体が見えてしまうから余計に恥ずかしくなった。
「恥ずかしがってんじゃねぇよ」
耳元で聞こえる零士の声がくすぐったい。
「昨夜はあんなに俺を求めてきただろ」
今更なんだとでも言うように笑う。
(昨日はなんであんなことを……)
自分でも分からない。そういうことをするつもりはなかった筈だ。でも傍にいたい思いからもっと零士に近付きたい。もっと零士の傍にいたい。もっと零士と一緒に……。そんな思いが募ってしまった。
それを零士は感じ取ったのだろうか。零士も自分を抑えることは出来なかった。
◇◇◇◇◇
ピンポーン!
呼び鈴が鳴る。でも零士は完全に無視していた。
「零士さん……?いいの?」
「いいの。もう少しこうしていたいから無視!」
そう言ってまた抱きしめている。
ピンポーン!
また鳴った。今度は鳴っただけじゃなかった。玄関の方からドンドンドンドン!とドアを叩く音がした。
「零士さん……」
「そのうち収まる」
もう一度、寝ようとしている零士。だけどそうは言ってられなかった。
ガチャガチャッ!
玄関の開く音がした。そしてドカドカと室内に入り込んでくる足音。それは寝室前まで一直線に。
ドカッ!
と、寝室のドアを蹴破った人。それは湊だった。
「スマホの電源切ってんじゃねぇー!」
叫んだと同時に目に入ってきた光景に一瞬動きが止まる。だがすぐに状況を把握した湊は顔を真っ赤にして零士に向かってきた。
「零士ぃ!てめぇ、柚子に何しやがったぁ!」
布団を剥ごうとする湊に零士は冷静に言い放つ。
「俺の裸見たいのか」
「バッカじゃねぇの!」
「とりあえず着替えるから、あっちにいてよ」
そう言って湊を寝室から追い出す。その後ろ姿を見て「はぁ~」と大きくため息を吐く。
「絶対、優樹菜だ」
「ん?」
「鍵。優樹菜が渡した」
優樹菜はメンバー全員の家の鍵を所有している。それは朝が弱いメンバーたちを起こす為と、忙しいメンバーたちに変わって部屋の片付けなどをする為。
「柚子。ゆっくり着替えておいで」
そう言うと自分は素早く着替えた。
零士がリビングに行った後、柚子はゆっくりと起き上がる。自分が何もつけていない状態だってのを改めて見て昨夜のことを思い出し恥ずかしくなる。
そしてそのことを湊に知られてしまったことにどうしようと考えていた。
散らばってる下着を拾い、洋服を着て深呼吸をした。
どんな顔で湊に会えばいいのか……。
考えても仕方ない。寝室のドアを開けてリビングに向かった。
「やるつもりはなかったんだけどなぁ……」
それでもポツリと呟く零士は、柚子と関係を持ったことに幸せを感じていた。
「柚子」
眠り姫のように眠る柚子の名前を呼ぶ。初めてなのに無理をさせたのではないかと心配になる。
眠る柚子を抱き寄せては軽くキスをし、瞼を閉じた。
寝室のカーテンの隙間から光が射し込んでくる。その光が柚子の頬を照らす。
「……ん」
寝返りを打つ柚子に気付いて隣から手が伸びてくる。自分の方へ抱き寄せて離さない。
「零士さん……」
寝ぼけた状態の零士は柚子の頭撫でる。
「……おはよう」
うっすらと目を開けた零士は柚子にキスをした。
「零士さ……」
名前を呼ぶ時に自分たちが裸であることに気付いて顔を真っ赤にする。零士は気にもせずに柚子を抱き寄せている。
「あ、あの……、零士さん……」
(恥ずかしい……)
裸であることがどういうことなのか、理解出来たのは眠気が飛び頭が覚醒してきたからだ。
恥ずかしくて掛け布団を頭まで被る。けど、掛け布団の下は何もつけてない自分たちの身体が見えてしまうから余計に恥ずかしくなった。
「恥ずかしがってんじゃねぇよ」
耳元で聞こえる零士の声がくすぐったい。
「昨夜はあんなに俺を求めてきただろ」
今更なんだとでも言うように笑う。
(昨日はなんであんなことを……)
自分でも分からない。そういうことをするつもりはなかった筈だ。でも傍にいたい思いからもっと零士に近付きたい。もっと零士の傍にいたい。もっと零士と一緒に……。そんな思いが募ってしまった。
それを零士は感じ取ったのだろうか。零士も自分を抑えることは出来なかった。
◇◇◇◇◇
ピンポーン!
呼び鈴が鳴る。でも零士は完全に無視していた。
「零士さん……?いいの?」
「いいの。もう少しこうしていたいから無視!」
そう言ってまた抱きしめている。
ピンポーン!
また鳴った。今度は鳴っただけじゃなかった。玄関の方からドンドンドンドン!とドアを叩く音がした。
「零士さん……」
「そのうち収まる」
もう一度、寝ようとしている零士。だけどそうは言ってられなかった。
ガチャガチャッ!
玄関の開く音がした。そしてドカドカと室内に入り込んでくる足音。それは寝室前まで一直線に。
ドカッ!
と、寝室のドアを蹴破った人。それは湊だった。
「スマホの電源切ってんじゃねぇー!」
叫んだと同時に目に入ってきた光景に一瞬動きが止まる。だがすぐに状況を把握した湊は顔を真っ赤にして零士に向かってきた。
「零士ぃ!てめぇ、柚子に何しやがったぁ!」
布団を剥ごうとする湊に零士は冷静に言い放つ。
「俺の裸見たいのか」
「バッカじゃねぇの!」
「とりあえず着替えるから、あっちにいてよ」
そう言って湊を寝室から追い出す。その後ろ姿を見て「はぁ~」と大きくため息を吐く。
「絶対、優樹菜だ」
「ん?」
「鍵。優樹菜が渡した」
優樹菜はメンバー全員の家の鍵を所有している。それは朝が弱いメンバーたちを起こす為と、忙しいメンバーたちに変わって部屋の片付けなどをする為。
「柚子。ゆっくり着替えておいで」
そう言うと自分は素早く着替えた。
零士がリビングに行った後、柚子はゆっくりと起き上がる。自分が何もつけていない状態だってのを改めて見て昨夜のことを思い出し恥ずかしくなる。
そしてそのことを湊に知られてしまったことにどうしようと考えていた。
散らばってる下着を拾い、洋服を着て深呼吸をした。
どんな顔で湊に会えばいいのか……。
考えても仕方ない。寝室のドアを開けてリビングに向かった。
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