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第1章 こういうわけで俺は3児のママになった編
第3話 元カレからの誘い
しおりを挟む「…何やってるの?」
「っ成宮先輩!?」
成宮?と、上村の声に反応して俺は上体を起こすと、目の前にはなぜか成宮が立っていた。
なんだか不機嫌そうだ。
「なに後輩いじめてんの」
「っ…いじめてねぇよ。な、上村?…おい目逸らすな」
俺と上村を交互に見ながら成宮は、はぁとため息を吐く。
「まあいいよ、いつもの事だし」
いつもそんなことしてねえよ。
「それで…渡辺、さ」
言いにくそうにして少し口をどもらせた成宮は、床に尻を着く俺に目線を合わせるようにして腰を下ろした。
内緒話をするように。
「今日の夜、ちょっと飲まないか。話したいことがあるんだ」
「は?」
なんでまた急に。
最近俺と成宮はあまり関わりがなかったので、その急な誘いに困惑した。
一つは部署が違うからそもそも関わるきっかけがないというのと、もうひとつは俺が彼を避けてきたからというのだ。
しかし俺の言う言葉は決まっている。
「すまん成宮。俺今日遅刻しちゃって、それでその分残業しなきゃいけないんだ」
成宮がほんとに…?と疑わしげに俺の顔を見てくる。
嘘はついてない、本当に残業なんだ。
今回は。
「別に残業終わってからでもいいんだけど」
「ひぇっ?いや、待たせるなんて悪いよ。結構かかりそうで…夜遅くなるかもな~…」
遠回しに断ってみるも、成宮は無言でこちらを見続けている。
構わない、というようだ。
「成宮も疲れてるだろうし、また今度に…」
「それ、何回目だよ。定時終わったらお前んとこ行くから」
「待っ」
そう言い捨てて立ち去って行ってしまった。
どうしよう。
「なんか成宮先輩、せんぱいと話す時はなんか雰囲気違いますよね」
「…同期だからだろ」
適当に言い訳をしておく。
「そんなことないすよ、ほらあそこ同期の川島先輩ですよね」
指差す方向を見ると同期の川島さんと、その他数人の女性に囲まれている成宮の姿があった。
安定のキラキラスマイルだ。
かなりイケメンの顔をさらに輝かせるそのキラキラスマイルは、ありとあらゆる女性を高確率で尊死させる。
「成宮先輩は誰に対してもあのキラッキラな笑顔で、andジェントルマンって感じでカッコいいんすから。ほら見てくださいよあの女子たち、完全に成宮先輩に惚れてますって」
「そーだねー」
真っ赤に顔を染める女性社員達をぼーっと見ながら俺はこの後のことを考えていた。
成宮と、2人で飲むことになってしまった。
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