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第45話 義母の処分
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キャル鑑定士は、年齢差を理由に「絶対に結婚はあり得ない」と言っていたのがわかり、俺とエドウィンはなんとなくホッとした。
「……俺は、年齢差なんて気にしねぇけどな」
と誰もいないところでボソッと呟いていたが、それは本人の前で言えよ……。
ジェイド学長とキャル鑑定士、そしてアウズンブラアカデミーのクロース学長とミーミルアカデミーのイヤミー学長は同期らしい。
その中で、イヤミー学長だけが突出して年相応なのは、「他全員は虹色ローションを使用していたから」と、二人声をそろえて言っていた。
これからは俺も、自分の分を確保しようと思う。
エドウィンは、
「使う必要あんのか? あんなに若作りしなくたっていーだろが」
って言ったので、正しい一言を告げた。
「将来ハゲたら嫌だろ」
「バリバリ狩ってバリバリ使うぜ!」
張り切って返してきた。
キマイラとメデューサの件は、エーギルアカデミーが犯罪事件として正式に訴え、司法機関が調査を開始した。
ユーノは逃げもせず、寮の部屋にいたらしい。ハムザ・ヘンダーソンは戻ってきたユーノを問い詰めたが、チームを解消したんだから出てってくれと寮の部屋を追い出されたそうだ。
ユーノに対してはずっとだんまりだったハムザ・ヘンダーソンもさすがにキレて怒鳴ったのだが、立てこもって出てこない。
だが、司法機関の調査官が寮に入り、ユーノに呼びかけたらあっさりと出てきた。
「兄さん、死にました?」
が、開口一番のセリフだったそうだ。
「君には残念なことに、無事だよ」
と、告げると、ユーノは肩を竦めたそうだ。
「そうですか。でも僕は捕まるんでしょう? 期待のアイテムハンター候補生を殺そうとした罪でね」
「それは調査の結果次第だ。君の母親が主犯だという証拠固めが出来てからのことになる」
ユーノは調査官の言葉を聞いて、表情を固くした。
「……僕が計画した、と言ったとしても?」
「召喚魔法は、一介のアカデミー生にはどうにもならないんだよ。しかるべき、裏ルートに金を積んでやってもらわないとね。そして、そういう裏ルートは、自分たちが助かるために顧客情報は押さえているんだ」
調査官の言葉に、ユーノは瞳のハイライトを消して静かに笑ったという。
それからすぐ、義母が捕まった。
ジェイド学長とキャル鑑定士は、エドウィンの話を聞いて即セイバーズ協会に話を通し、義母を捕らえるべくあちこちに声をかけて証拠集めと逃亡阻止を行ったそうだ。
呑気に息子の吉報を待っていた義母は、踏み込んだセイバーズたちに捕らえられ、事情聴取が済むとすぐ収容所へ送られた。
俺が死んでなかったことで、キレて暴れたらしい。
キャル鑑定士が教えてくれた。
「収容所は、いろんな意味で一番環境が厳しいところね。気候的にも、暮らし的にも、中の収容者的にも」
「……そうなんですか」
ユーノはそれを聞いてどう思うんだろうか。
「まぁ、建て前としてはー、落ちこぼれとは言えセイバーズアカデミーの卒業生、生半可な収容所じゃ看守が危ないでしょ? なので、そんな収容者でも叩きのめせる屈強な看守のいるところになりましたー」
「建て前としては」
「ぶっちゃけ、私もジェイド君も、もっと言うならセイバーズ協会の偉い人たちも国の偉い人たちもご立腹なのよ。Sランクのアイテムハンター候補生の片方を殺そうとした、ってさー、つまりは国にとってもセイバーズ協会にとっても大損失! なワケ。偉い人たちは怒るでしょ?」
……まぁ、金が絡んでいるからな。俺は頷いた。
「私たちは、自分たちの不手際の八つ当たり、あと、ユーノ君と君をドロッドロの愛憎劇に巻き込んだことに対しての憤り! イイトシなんだから、若人を自分の醜い嫉妬で潰そうとするなっての! ババァいい加減にしろ! って怒鳴っちゃった」
……ノーコメントを貫こう。
「……俺は、年齢差なんて気にしねぇけどな」
と誰もいないところでボソッと呟いていたが、それは本人の前で言えよ……。
ジェイド学長とキャル鑑定士、そしてアウズンブラアカデミーのクロース学長とミーミルアカデミーのイヤミー学長は同期らしい。
その中で、イヤミー学長だけが突出して年相応なのは、「他全員は虹色ローションを使用していたから」と、二人声をそろえて言っていた。
これからは俺も、自分の分を確保しようと思う。
エドウィンは、
「使う必要あんのか? あんなに若作りしなくたっていーだろが」
って言ったので、正しい一言を告げた。
「将来ハゲたら嫌だろ」
「バリバリ狩ってバリバリ使うぜ!」
張り切って返してきた。
キマイラとメデューサの件は、エーギルアカデミーが犯罪事件として正式に訴え、司法機関が調査を開始した。
ユーノは逃げもせず、寮の部屋にいたらしい。ハムザ・ヘンダーソンは戻ってきたユーノを問い詰めたが、チームを解消したんだから出てってくれと寮の部屋を追い出されたそうだ。
ユーノに対してはずっとだんまりだったハムザ・ヘンダーソンもさすがにキレて怒鳴ったのだが、立てこもって出てこない。
だが、司法機関の調査官が寮に入り、ユーノに呼びかけたらあっさりと出てきた。
「兄さん、死にました?」
が、開口一番のセリフだったそうだ。
「君には残念なことに、無事だよ」
と、告げると、ユーノは肩を竦めたそうだ。
「そうですか。でも僕は捕まるんでしょう? 期待のアイテムハンター候補生を殺そうとした罪でね」
「それは調査の結果次第だ。君の母親が主犯だという証拠固めが出来てからのことになる」
ユーノは調査官の言葉を聞いて、表情を固くした。
「……僕が計画した、と言ったとしても?」
「召喚魔法は、一介のアカデミー生にはどうにもならないんだよ。しかるべき、裏ルートに金を積んでやってもらわないとね。そして、そういう裏ルートは、自分たちが助かるために顧客情報は押さえているんだ」
調査官の言葉に、ユーノは瞳のハイライトを消して静かに笑ったという。
それからすぐ、義母が捕まった。
ジェイド学長とキャル鑑定士は、エドウィンの話を聞いて即セイバーズ協会に話を通し、義母を捕らえるべくあちこちに声をかけて証拠集めと逃亡阻止を行ったそうだ。
呑気に息子の吉報を待っていた義母は、踏み込んだセイバーズたちに捕らえられ、事情聴取が済むとすぐ収容所へ送られた。
俺が死んでなかったことで、キレて暴れたらしい。
キャル鑑定士が教えてくれた。
「収容所は、いろんな意味で一番環境が厳しいところね。気候的にも、暮らし的にも、中の収容者的にも」
「……そうなんですか」
ユーノはそれを聞いてどう思うんだろうか。
「まぁ、建て前としてはー、落ちこぼれとは言えセイバーズアカデミーの卒業生、生半可な収容所じゃ看守が危ないでしょ? なので、そんな収容者でも叩きのめせる屈強な看守のいるところになりましたー」
「建て前としては」
「ぶっちゃけ、私もジェイド君も、もっと言うならセイバーズ協会の偉い人たちも国の偉い人たちもご立腹なのよ。Sランクのアイテムハンター候補生の片方を殺そうとした、ってさー、つまりは国にとってもセイバーズ協会にとっても大損失! なワケ。偉い人たちは怒るでしょ?」
……まぁ、金が絡んでいるからな。俺は頷いた。
「私たちは、自分たちの不手際の八つ当たり、あと、ユーノ君と君をドロッドロの愛憎劇に巻き込んだことに対しての憤り! イイトシなんだから、若人を自分の醜い嫉妬で潰そうとするなっての! ババァいい加減にしろ! って怒鳴っちゃった」
……ノーコメントを貫こう。
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