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第1話 俺様のバディになれよ!

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 常に、差し出された手を握ってきた。
 俺は孤独で、だけど一歩も前に踏み出せなくて、逃げているわりに立ち止まっている奴なんだ。
 そんな俺には、差し出されたその手を握らないという選択肢は存在しなかったんだ。
 それがどんな手であれ、たとえすぐ振り払われたとしても。握らずにはいられなかったんだ。

          *

 俺はいつもの通り、気配を消しつつ俯きながら廊下を歩いている。
 ちょっと前を歩くのは、血の繋がらない同い年の弟、ユーノだ。ユーノは人気者で、あちこちに声をかけられている。
「お、今回もうまくやったのかよ!」
「まぁな。足手まといがいても大したことなかった」
 そう言って俺をチラリと見ると、声をかけていた連中も俺を見て笑う。
「トップは誰と組んでもトップかよ。嫌みだね」
 ユーノは肩を竦めた。

 ここはセイバーズ養成専門の、エーギルアカデミーだ。
 セイバーズとは魔物討伐を専門に行う職業で、俺の父はこの職業に就いている。俺の母と弟の父親も、この職業に就いていた。
 十五歳になり、進路を決める上で俺と弟はここに入学した。
 最初、義母は猛反対した。
 だいたいが義母の言うがままの俺も、それだけは無理だと突っぱねた。俺の進路がかかっている。
 理由を言ったら義母はせせら笑い、さんざん罵ってきた。
 義母は俺に罵詈雑言を浴びせ続け、さらには脅しまで使って絶対に行かせまいとしていたが、途中で意見を翻した。
 ユーノがこう説得したからだ。
「どうやっても言うことを聞かせられなさそうだし、仕方ないから行かせよう? 大丈夫、どうせ僕も同じ学校に行くことになるんだし、そしたら兄さんにすべてをやらせるからさ。僕を守らせ、僕の手足になり働き、僕の成績を上げさせる。……血のつながらない弟の方が成績優秀になるんだ。――笑えると思わない?」
 義母はその言葉に喜び、俺の入学を許可した。義母もユーノも俺を憎んでいるから、嫌がらせが出来るのならなんでもよかったんだろう。

 ユーノは義母への説得の言葉通り、俺とチームを組み、こき使った。
 セイバーズは必ず二人組のバディでチームを結成し、行動しなくてはならない。だから俺がセイバーズになるには、アカデミーを無事に卒業するには、ユーノとチームを組まなくてはならない。

 俺は、チームを解消されないようユーノの言いなりになるしかなかった。
 チームで活躍した際に得られるポイントは、すべてユーノに渡している。
 ポイント総取りでユーノは一位だ。
 だが別に構わない。俺には野望があり、たとえワーストだろうとアカデミーを卒業し、無事セイバーズになれればいいのだから。

 ――なれればいいはずなのに、ユーノと一緒にいるのが辛すぎて、『何もかも投げ出したい』と考えている自分がいる。

 でも、どんなに辛くてもユーノとのチーム解消は出来ない。
 もしもユーノとチームを解消したらユーノも俺も次のバディを探さないといけなくなる。
 ユーノは成績優秀でスクールカーストも当然上位。フリーになったユーノを誰もが放っておかないし、そうじゃなくたって教官がどうにかするだろう。
 代わって俺は自主退学を勧められるな。

 ただでさ誰とも組んでもらえない俺は、現在ワーストワンだ。ますます相手が見つからず、ユーノ以外は組んでもすぐ解消されるだに決まっている。
 父がセイバーズとして活躍しているので、あからさまにはないだろう。それとなく仄めかすか進路指導されるかだろうが、どのみちチームを組んでいなければ実技を受けられない。セイバーズの成績は実技の方に重きをおかれるため、落第になる。
 バディの代理制度というのがあるのだが、ワーストの俺じゃ頼んでも誰も引き受けてくれない。

 俺は、どうにか無事に卒業したい。卒業さえすれば野望は叶う。
 だからこそ、たとえユーノにすべてを奪われ言いなりになろうとも、ユーノとのチームを解消することは出来ない。

 ……だけど、精神的にはもう挫けそうだ。
 自分でも、こんな情けない性格を呪ってる。
 先回りしていろいろ考えすぎて一歩も進めず、結局現状維持に甘んじる。
 暗闇に一歩踏み出す勇気がない。
 一緒にいたくないくせに、ネガティブな考えばかりが浮かびそれが現実になることを恐れて立ち止まり、おまけに責任が取りたくなくて逃げている。
 ……アカデミーを卒業さえすれば……。

 そう言い聞かせ、ハァ、と暗いため息をつく。
 ……と、前方から騒ぐ声が聴こえたので顔を上げた。
 あそこは確か、学長室じゃなかったか……?
 思いっきりドアが開き、中から出てきたのは、目つきの悪い男だった。
 目つきは悪いが、顔は良い。
 身長も高いな。俺と同じくらいありそうだ。
 ボーッと見ていたら、目が合った。

「――おい! それはこっちのセリフだ! お前なんか金輪際願い下げだ!」
 学長室からそんな声が聴こえてきて、また誰が出てきた。

 俺が出てきた人物を見ようとしたら、俺の前にさっき学長室から出てきた目つきの悪い男が立ち塞がった。
 え、誰、何? って思ったら。

「よう! テメェが俺様の次のバディだな。よろしく頼むぜ!」
 って言って、俺に手を差し出してきた。

 全員が、呆気にとられて俺とソイツに注目したよ。
 誰か事情を説明してください。

 俺は放心しつつも握手してしまった。
「…………どういうことだよ?」
「握手してから訊くのかよ」
 そう言うと男は笑った。
「俺様は、エドウィン・フォックスだ! さっきチームを解消したから、お前が俺様のバディになったんだよ! わかったか?」
 わかるわけがないだろう!?

 啞然としてたら、後から出てきた男がこっちにやってきた。
「お前、何勝手にやってんだよ!?」
 目つきの悪い男……じゃなくエドウィン・フォックスはますます目つきを悪くしながら後ろから来た男を睨んだ。
「あァん? 解消したんだから勝手にやって何が悪いんだよ? テメーにゃカンケーねぇだろ」
 男はぐっと詰まった。
「……元、バディとして、他人に迷惑をかけるなって言ってるんだ!」
「うっせーな。お前が言い出したんだろ、未練がましく構ってくんじゃねーよ。それに俺は、お前が組みたいっつってた奴と組めるようにコイツに俺のバディになれ、っつったんだ。むしろ感謝しろ、頭を下げて礼を言え」
「誰が言うか!」
 エドウィン・フォックスと、どうやら元バディらしい男が怒鳴り合っていた。

 ……何が起きてるんだ?
 マジでわからん……と言いたいところだが、だんだんわかってきた。
 コイツら、口論の末学長室まで行ってチーム解消を申し出たらしい。
 でもって、後から来た怒鳴っている男は、俺の弟と組みたいって言ったんだろう。というか、何度も言ってたんだろうな、それで頭にきたエドウィン・フォックスは俺の弟に声をかけるのではなく、そのバディである俺に声をかけてきた、と。

「……なんとなく事情は察した。でも、本気か? 解消するのもそうだけど、二人でユーノを取り合うんじゃなくてか?」
 俺が尋ねると、エドウィン・フォックスはニッと笑った。
「俺は、お前の方がいいぜ! うるさく言わなそうだからな!」
「あぁ、そういう……え? そんなことで選ぶの、お前?」
 俺は呆れた。
「勘だよ、勘! こういうのは頭で考えんじゃねーんだ!」
 ……俺の方が不安になってきたんだけど。大丈夫かよこの男。
 とは思いつつも、ガッチリ握手してしまっている。
 もはや反射神経だった。差し出された手は握るという……。

 ユーノも啞然としてコッチを見てたけど、眉根を寄せてこちらにやってきた。
「……なんだか、僕のいないところで勝手に話が進んでる気がするんだけど……何事かな?」
 ユーノが笑ってない笑顔で尋ねてきた。
「え……いや、あの」
 後から来た男はしどろもどろ。
 代わってエドウィン・フォックスが朗らかに言った。
「コイツ、俺とチーム解消してお前と組みたいんだってよ! いい加減うるさかったから、さっきコイツを連れて学長室でチーム解消してきた! だからお前、組んでやれよ!」

 シ━━━━ン。
 全員、静まった。

 そんな簡単にチーム解消して、別のチームを解消させて組め、ってさ……。
 常に如才ないユーノも、さすがに度肝を抜かれたらしい。
 二の句が継げずに口をパクパクと開閉させている。
 エドウィン・フォックスはさらに言い募った。
「別にいいだろ? お前だって『ワーストワンじゃなくてもっと成績のいい奴と組みたい』とか言ってたんだろ。安心しろよ、ソイツは俺やお前の元バディよか上だ!」
 と、自分を指さし、とどめをさしてきた。
「俺がワースト二位だからな! ワースト一位と組んだ方が楽しめるよな!」

 ……この会話は、学長室のそば、人が大勢いる廊下で行われていた。
 衆人のいる中で、大声でやりとりしていたのだ。
 そして、学長室には学長もいた。
「話し合いで解決出来そうで、何よりだ」
 学長が出てきてしまったのだった。

 ユーノはごねた。
 理由は『俺がかわいそう』ということにしていた。自分が面倒を見なければいけない、兄弟だから、ワーストの兄を一位の自分が支えなくては、と述べた。
 ただ俺は……正直、疲れていた。
 ユーノが発する言葉に。ユーノといることに。ユーノの存在自体に。ユーノを通して聞く、義母の罵りもすべてが。ユーノと義母の存在が、俺を苦しめ追いつめる。
 だけど、それでも俺は自分から解消したいとは言わなかった。言えなかった。
 解消してほしいと願いながらも黙っていた。黙って、成り行きを見守った。

 学長は、俺以外の主張を聞いた後、俺に尋ねた。
「さて。ユーノ・モーガン君、エドウィン・フォックス君、ハムザ・ヘンダーソン君の意見を聞いたが……君、ジミー・モーガン君からの意見はないのか? 他人事みたいにずっと黙っているが、この際ハッキリと意見を言いなさい」
 ……言いたくないから黙ってたんだよ、と内心で愚痴りつつ俺は重い口を開いた。
「自分がワーストワンなのを弁えて発言していませんでした。発言を許されるのなら……自分は、チームを組んでくれるのであれば誰であろうと文句は言いません、言える成績でもないですから」
 ユーノは顔を歪めた。それは、ユーノが俺や周囲によく言っているセリフだからだ。
「……本当に、兄さんは弁えているよね。でも、せっかくだからちゃんと頭を下げてお願いしたらどう?『僕と組みたい、組ませてください』ってさ」
 ……俺がそれを言うと思うのか?
 言葉にはせず、口を真横に結んで決して口を開かない決意を見せていると、しびれを切らせたユーノは舌打ちして学長に訴えた。
「兄は、僕と組みたいそうですよ」
「言ってないね」
「言ってねぇな!」
 学長とエドウィン・フォックスが声を揃えてユーノの言葉を否定した。

「言ってないので、君が兄に執着する理由を聞こう。なぜ兄とそんなに組みたいのだ?」
 学長がユーノに詰め寄ると、ユーノは笑顔で言った。
「執着していません。僕は、解消しても困らないですから」
「そうか。では解消しよう」
 学長がこともなげに告げた。

「「「「え」」」」

 俺たちはあまりの呆気なさに思わず声を洩らす。
「その二人は解消してしまったから、早急にバディを見つけなくてはならない。だが、今このアカデミーにはバディ欠けをしている生徒はいない。ならば、チームを解消していいと思っている二人に解消してもらい、相性の良さそうな方と組んでもらうのが一番穏便な解決方法なのだ。――理解出来たかね?」

 …………。
 つまり、ユーノがどう足掻いても、俺とユーノのチーム解消は決定されていたようだった。
 いや、ユーノが俺のせいにせず解消したくない理由を言ったのなら解消されなかったかもしれない。
 珍しく失敗したんだな、いや学長の方が遣り手だっただけか、とぼんやり考えながらチーム解消の書類にサインし、再度チーム結成の書類にサインした。
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