【溺愛の恋】～あなたは、私だけのモノ～

43.

（……あれ？）
そこでふと、違和感を覚えた私が首を傾げる中、そんな私の様子を不思議に思ったのか、声をかけてきた彼女に、
何でもないと答えた私は、そのまま帰路についたのですが、それから数日が経って、ようやく気付いたことがあります。

あの日以来、何故か夫の様子がおかしいことに気付いた私は、それとなく彼に尋ねてみたものの、はぐらかされてしまうばかりで、
まともに取り合ってもらえませんでした。
しかし、それでも諦めきれずにいる内に、再びチャンスが訪れたことで、今度こそは聞き出してやろうと考えた私は、ある作戦を実行することにしました。

その方法とは、夜這いを仕掛けることだったのですが、そうと決まれば早速実行に移すべく、深夜まで起きていた上で、夫の部屋へと向かった私は、
眠っている彼の元へと近付いていくと、そっと布団の中へと潜り込みます。
そして、そのまま抱きついてみると、目を覚ましたらしい彼が、寝ぼけ眼で私のことを見つめてきたので、思い切ってキスをしてみましたところ、
驚いた様子を見せたものの、抵抗する気配が無かったため、調子に乗ってキスを続けていた結果、やがて、我慢できなくなった私が、ついに一線を越えてしまいました。

その結果、無事に懐妊したことが分かった私は、嬉しさのあまり涙を流した後で、お腹の中にいる我が子のために、
栄養バランスの取れた食事を作ることにした私ですが、その最中に、突然吐き気に襲われたかと思うと、その場で倒れてしまい、
慌てた様子の夫が駆け付けてくるなり、私の身体を抱き上げてくれました。

「大丈夫かい？　どこか具合が悪いのかい？」
そんな問いかけに対して首を横に振って答えた私は、大丈夫だからと言って彼から離れようとしたものの、
それを許してくれない彼は、私を寝室へ連れて行くと、ベッドに寝かせた後で、布団をかけてくれた上に、
お粥を作って持ってきてくれるなど、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれて、申し訳ない気持ちになった私でしたが、
それ以上に、彼が傍に居てくれることが嬉しかった私は、思わず笑みを浮かべていたのですが、それを見た彼もまた、嬉しそうに笑っていました。

それからというもの、体調が良くなってきたこともあり、少しずつ家事を再開するようになった私は、それと同時に、
妊娠している間はあまり出来なかった運動を始めようと考えていましたが、いざ始めてみると、

「無理しちゃダメだよ」
と彼が心配そうに言ってくるため、仕方なく断念したものの、その代わりに、彼と過ごす時間を増やしてあげた結果、
以前よりも一緒に居る時間が長くなったこともあってか、より親密な関係になっていった私達ですが、ある日のこと、
いつも通り帰宅した私を出迎えた彼は、何やら浮かない顔をしていたことから気になった私がどうしたのかと尋ねると、
少し躊躇った後に、こんなことを言い出した。

実は、ここ最近、会社の方でトラブルが発生していてね、そのせいで残業続きになっているんだけど、このままだと、
家に居る時間も減ってしまうかもしれないんだ、だから、君に寂しい思いをさせてしまうことになるかもしれないけど、
なるべく早く帰れるように頑張るから、それまで我慢してくれないかい？