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「あのさ、そろそろ起きようか」
「うん、そうだね」

それに応じた私は、そっと体を起こすと、彼に手を引かれる形でベッドから降りた。
それから、一緒に寝室を出た私は、着替えのために自室へと向かった。
その際、彼が何か言いかけていたけど、敢えて聞かなかった。

だって、きっと私の予想通りの言葉が返ってくるはずだから。
だから、私は、あえて、気づかないフリをして、そっとドアを閉めると、クローゼットから、いつものようにお気に入りの部屋着を取り出し、
素早く身に着けた後、 姿見の前で乱れた髪を直してから、居間へと向かうことにした。

しかし、途中で、どうしても我慢できなくなって、私はこっそりとトイレに駆け込むと、用を足した後、洗面台で顔を洗い、
ついでに歯磨きを済ませた私は、最後に髪を整えてから、今度こそ、ようやく彼の待つリビングへと戻ったのでした。
しかし、私が席に着いた途端、待ち構えたように食事が運ばれてきたため、それを食べ始めた私達の会話は必然的に昨夜のことに話題が移ることになった。

とはいえ、何を話したら良いか分からなかった私は、ひとしきり彼との馴れ初めについて聞かれたことに答えた。
それは、彼との出会いから始まり、プロポーズに至るまでの一連の流れを説明しただけで終わらず、
彼がいかに素晴らしい男性であるか、ということについても熱弁を振るったので、私は内心、冷や汗を流しながら、
話の途中で何度もツッコミを入れてくる彼をなんとかして宥めようとしていた。

けれども、結局のところ無駄に終わり、最終的に彼がどれほど素敵で、愛すべき人であるかを力説することになった私は、それが終わると今度は
彼に対する不満を口にすることにした。
もちろん、そんなものは一つもないのだけど、ただ、彼に愛されている幸せに浸りたかったから、私は、あたかも不平があるかのような態度を取り、
彼がそれを慰めてくれるという展開を期待しつつ、彼に問いかけてみたわけなのだが、案の定、彼は、私の望み通りに動いてくれた。

しかも、彼は、私のことを誰よりも理解してくれているので、私のして欲しいことを全て分かってくれているので、
とても甘美な時間を過ごすことができた私は、幸せな気分のまま食事を終わらせたのだった。
しかし、そんな幸福に満ちた時間は、あっという間に過ぎ去り、私は、寂しさに胸を締め付けられる思いでいっぱいになり、思わず泣き出してしまいました。

すると、そんな私の気持ちを察してくれたらしい彼は、私のことを優しく抱きしめてくれました。
だから、私は、それに答えるようにギュッと強くしがみつくと、しばらくの間、お互いの温もりを感じ合ってから、
どちらからともなく体を離すと、自然と目と目を見つめ合ってしまい、その瞬間、互いに求め合っていることを察した私は、
吸い寄せられるように、ゆっくり唇を重ねました――。

そうしているうちに、段々と激しくなるにつれて、私は、頭の中が真っ白になってしまい、何も考えられなくなってしまったのです。
ですから、私は、もう何も考えずに、ひたすら快楽に身を任せることしかできなかったのです。
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