【溺愛の恋】～あなたは、私だけのモノ～

21.

「あぁ、もうこんな時間か……」
翌朝、目を覚ました私が時計を確認すると、針は午前9時を指し示していました。

（そろそろ起きないと遅刻しちゃうな）
そう思ったところで、ふと隣へ視線を向けたところ、そこに夫の姿はなく、代わりに一枚のメモが置かれていたことから、
どうやら仕事へ行ったようだと知った私は、ホッと胸を撫で下ろしました。

というのも、昨夜、散々愛し尽くされたおかげで、未だに体の火照りが治まらないままだったので、
このまま出勤するのはさすがに無理だと思ったからです。

しかし、だからといって、いつまでも寝ているわけにはいかないので、気怠い体に鞭打って起き上がった私は、
シャワーを浴びるために浴室へ向かったところで、鏡に映った自分の姿を目にした途端、思わず赤面してしまい、慌てて目を逸らすと、
そそくさとその場を後にしたものの、その拍子にバランスを崩してしまい、その場に尻餅をついてしまうことになったものの、
幸い怪我はしなかったため、ホッとしたのも束の間、立ち上がった後で、ふと視線を下に向けた私は、あることに気づいて愕然となりました。

何故なら、大きく膨らんだお腹が目に入ったからです。
それはつまり、妊娠していることを意味していたため、ますます青ざめた私が呆然と立ち尽くしていたら、そこへやって来た夫が声をかけてきました。
それに対して、とっさに言い訳しようとしたのですが、その前に全てを察した様子の彼は、私を抱き締めると、耳元で囁いた上で、
こんなことを言ってきたのです。

「何も言わなくていいよ。全部分かっているから……君は僕の子を身籠もってくれたんだね、ありがとう」
それを聞いた瞬間、嬉しさのあまり涙が溢れ出した私は、泣きじゃくりながらも、何度も頷いていたところ、
不意に唇を奪われたことで、驚きに目を見開いたものの、すぐに目を閉じて受け入れていると、しばらくして解放されたので、
恐る恐る目を開いたら、そこにはいつになく真剣な表情をした彼の顔があり、真っ直ぐに見つめられたせいでドキドキしていると、
おもむろに口を開いた彼が言った台詞は、予想外のものでした。

「君が好きだ、愛してる……！」
まさかそんなことを言われるとは思っていなかった私は、戸惑いを隠しきれずにいると、なおも真剣な眼差しを向けてきた彼は、更に続けたのでした。

「えっとね、それよりもどうしてここに居るの？　お仕事に行ったんじゃないの？」
「今日はお休みだよ」
「……え、そうなの？！　あ、いや、そうじゃなくて！　なんで勝手に部屋に入ってきてるのよ？！」

慌てて言い直したものの、すでに手遅れだったことに気づいた私が頭を抱えているところへ、
追い打ちをかけるように告げられた台詞を聞いた瞬間、硬直してしまったことで、しばらく無言のまま見つめ合っていた私達でしたが、
先に沈黙を破ったのは彼の方でした。