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「可愛い」
そう言って私の頭を撫でてくれます。
私は思わず嬉しくなってしまって微笑んでいたようでした。
「やっと笑ってくれたね」
そう言ってサディエル王太子は、私の頭を撫でてくれます。
私は、その心地よさに思わずうっとりしてしまうのでした。
私は、その手を思わず追いかけていました。
サディエル王太子は、そんな私を優しく抱きしめてくれます。
「愛しているよ」
そう言ってくれるのでした。
私は思わず見上げていた。
サディエル王太子は、とても困っている。
私のような醜女と肌を重ねる行為は、普通に考えたならば到底できもしないのだ。
私は、諦めていたのですが、それでも良いと思ってしまうのだ。
それは、間違いなく現実逃避なのでしょうけど、私は確かに感じていたのです。
この人、凄くモテそうだよねと思いながらも、それ以上に今は優しくしてくれてるからそれでいいのだと
思っていたのです。
ただそれしか思いつかない事が自分でわかってますが、でも仕方ないではないですか。
それに何故かわからないけれども、一緒にいても辛いと感じられないのですから。
それは、まるで春先の暖か陽気ようにじんわりとした柔らかい優しさを感じていたのです。
(つまり良い人に感じる)
私は、困った顔をするサディエル王太子に
「あぁ」
と嘆息する事だけが出来ました。
そうしなければ情けない姿を見せたくは無いと言う謎の意地を張りたかったのです。
「どうした?」
と聞かれても答える事は出来ませんでした。
でも、私は、どうしてもサディエル王太子に聞いて欲しい事があります。
私は、自分の心の中で葛藤しながらも決意を固めるのに時間がかかってしまったのです。
でも、私は、決心しました。
(だってこのままじゃダメだもの。私は、王太子妃になるのに、こんな事で挫けてたらいけないんだから!
サディエル王太子は、きっとこんな私でも受け入れようとしてくれるはず。
私は、王太子の婚約者なんだから!
「あの」
と私はサディエル王太子に話しかけますが、何と言えばよいのでしょうか?
私は、考えますが、何も浮かんでは来ませんでした。
ですが、私の様子を見て察してくれたようです。
私の背中を擦ってくれます。
私は思わずサディエル王太子の胸に顔を埋めます。
はぁ、サディエル王太子の匂いがして落ち着きます。
私は、深呼吸をすると顔を上げます。
サディエル王太子が心配そうな顔で私を覗き込んでいましたが、
「大丈夫か? 少し虐めすぎたな、おいで」
と言ってくれました。
そう言ってサディエル様は私を抱き起こそうとしています。
(もう嫌だ、こんな醜態晒して)
私はその手を取ると立ち上がり、自分の足で立ちました。
「すまないな」
「何故謝るのですか」
「いや、なんとなく」
「私が悪いのに」
「リリアーナ、自分を卑下するのは止めなさい!」
私はサディエル様に叱られてしまった。
サディエル王太子は私を見詰めながら真剣に話し始めるのだった。
「君は綺麗だよ。少なくとも俺は君が好きだと思うんだ、だから、他の男に渡したくないと思うくらいに
俺のものになってくれないかな」
私はその言葉を聞いて驚いたが、直ぐに笑顔に変わっていた。
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