悪役令嬢は悪役になりきれず、隣国の王子に溺愛される！

37.

ユリアナのそんな言葉にアベルは慌ててそんなことはないと言い聞かせた。
しかし、ユリアナの機嫌は治らずに、アベルに説明を求め始めた。
アベルはそんなユリアナに先程の作品の話を詳しく説明すると、
ユリアナは嬉しそうにしながら、アベルに抱きついてくる。
アベルはそんなユリアナの事を優しく受け止めた。
ユリアナに作品を勧めたアベルだったが、まさかここまで食いつくと思わなかったので、
内心では驚いたりしていた。
ちなみに、アベルはユリアナに勧められた作品は一応全て目を通している。
理由はユリアナは自分が薦めたものを必ず読んでくれるからだ！  という理由だったりする（笑）
（でも、流石に全部は無理だからね……）
ただでさえ忙しい身なのに、更に仕事を増やしてしまうわけにもいかないだろうと思いつつ……。
（まあ……たまにならいいよね……）
ユリアナはアベルにお願いすると大抵のことを聞いてくれたからつい頼んでみたのだけれど、
その結果がこれである。
アベルはユリアナのことを抱きしめながら頭を撫でてあげると、
ご満悦なユリアナはアベルにもっとしてほしいとせがんできて……。
（まあ、喜んでくれてるからいっか……）
アベルは苦笑いしながらもユリアナの要望に応えることにした。
（それにしても、こんなに喜ぶなんて予想外だな……）
アベルはユリアナがこれほどまでに興奮していることに驚きながらも、
ユリアナのことを宥めてあげることにした。
ユリアナはしばらくアベルに頭を撫でられて落ち着いてきたようなので、
アベルは次の話題について話すことにした。
それはユリアナが着る服についてだ。
正装用のドレスなどは持っているが、普段使いの私服を着ていないユリアナの
ためにも買っておいてもいいかもしれないと思った。
ユリアナも賛成してくれたので、今度はユリアナのための洋服を買いに行くことになった。
アベルはユリアナを連れて街に出ると、最初にユリアナの私物を買うために
ユリアナが使っている店へと足を運んだ。
アベルはユリアナに欲しいものがあれば遠慮せずに言ってくださいと言うと、
ユリアナは笑顔になりながら、アベルの腕を引っ張っていく。
……結局、ユリアナは気に入ったものをいくつか購入していった。
……それからもアベルたちは様々な場所を巡っていくと、最後にアクセサリーショップへとやってきた。
……実はこの日のために事前に下調べをしていたからこその行動であったりした。
……何故なら以前来た時に見たときに目に留まった指輪があったからなのだ！
……しかも！  それがペアリングだということも確認済み！
……まぁ、値段が高いから手が出せなかったんだけどね！
……でも！  今日ならば！
……ということで早速見に行ってみると、やはりあった。
……それも二つとも！  両方とも同じデザインだったのでおそらくカップル用だろうと
予測していたが正解だったらしい。……だが！ ……問題はどちらの方を購入するかということだ。