上 下
57 / 230

57.

しおりを挟む
「あの人は誰なのですか?」
そう聞くとエレシアから意外な返事が返ってきた。
どうやら彼女の弟だという事で驚いたものだ。
確かに言われてみれば顔立ちなどが似ていたがまさか血縁関係を持っているとは思ってなかったからだ。
それを証明するように彼女もまた驚きの表情を見せていた。
そして彼女は詳しい事を知っているようでその辺の情報を引き出すべく情報を聞き出したところ彼は
かつて住んでいた世界では冒険者をしており腕の立つ人物として有名で彼女と同じ孤児院で幼少期を
過ごしていたが数年前に突如として失踪してしまいそれ以来の行方については不明だったが
この世界で無事に生活しているとの情報を耳にしてその真偽を確かめるためにこの地まで
訪れたという経緯があったという。
「本当にあいつが来ているのかね?」
「あたしが直接会ったわけじゃないから分からないけど彼がここにやって来たという情報が
確かなものだとすれば間違いなくこの村に滞在中のはず。ただどこに滞在してるかまでは不明。
もしかするとこの世界の何処かかもしれないし他の国かも知れないしあるいはこの世界には
存在しない可能性もある」
「ふむ……そういえばリーザさん。以前見かけた時は男を何人か連れていたの
ですが……それにしてもかなり若そうでしたが」
「あれはみんな奴隷商が雇っていた者達です。年齢は20~30代と結構幅広いですが
どれも若く見えるでしょうが実際はもっと歳いってて、大体15年くらい前には
成人したばかりの子を連れ歩いていたと記録されています。
だから若い見た目であっても実際の年齢はかなりいっていて下手したら40台突入済みかも」
リーザさんの説明を受けたことでなんとなく理解できた気がする。
要するにそいつは見た目こそ子供だが実際には自分の意思を封じられ大人達の都合に振り回されている憐れな存在で
あるという訳だと解釈できたのでこれ以上この件に関しては突っ込むのをやめるのが賢明だと考えたのである。
「まあいいか。エレシアも会いたいと言っていることだし。
ところで君たちこの街にいる間は何をする予定なんだ?
もし良ければ協力するが」
と聞けばすぐに街の外に出向いてモンスター討伐に向かうつもりだと答えてきたのですぐに同行することにした。
何故こうもすぐに行動を起こせるかと言えばその理由というのは単純なもので彼女達の強さを
確認する目的があったからに他ならない。
そもそも戦闘の経験がない人間がいくら努力したところで簡単に成長など出来るものじゃないからであって実際に
剣を持たせて振るわせてみたりしたのだが予想以上に才能があることを痛感させられてしまった。
特にエレシアに至っては魔法の才能もあると判明していて火と水の2つの魔法を扱うことが出来たため、
「これはとんでもない掘り出し物かも……」
と思わず口にしてしまったのは内緒である。
それからしばらくして昼食をとることになったのでそれぞれ注文した後料理が来るまでの間に
雑談を交わしながら食すことにした。
「しかしどうしてそこまで強いのですか」
「うーん、実はあたしら昔は盗賊団に所属していたの。その経験もあって戦い慣れしているのよね」
と言われればなるほどと思えるものがあるが……何せ俺は元の世界でもゲームはそれなりに遊んできた身なのだから
ある程度の実力がどの程度のものか判断は出来ていたが改めてその事実を本人の口から語られた事により実感が沸くと共に何より強さに興味を抱いてしまった。
ただ戦うことが好きなわけではない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

【R18】異世界なら彼女の母親とラブラブでもいいよね!

SoftCareer
ファンタジー
幼なじみの彼女の母親と二人っきりで、期せずして異世界に飛ばされてしまった主人公が、 帰還の方法を模索しながら、その母親や異世界の人達との絆を深めていくというストーリーです。 性的描写のガイドラインに抵触してカクヨムから、R-18のミッドナイトノベルズに引っ越して、 お陰様で好評をいただきましたので、こちらにもお世話になれればとやって参りました。 (こちらとミッドナイトノベルズでの同時掲載です)

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...