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「ミリア、入るぞ」
扉を開けて入って見るとミリアが窓の外を眺めていたので、そっと後ろ姿を見守るのだけども、なかなか
言葉が見つからなくて、沈黙の時間が続く。
俺はふと思い出したことがあり口を開く。
「アリアが、お前のことをお母さんと言っていて嬉しそうだった」
ミリアの肩がビクッとしたのを見て俺に話しかけられると思ってなかったのか?
「私はあの子に親だと認められているの? 貴方」
俺は静かにコクリとうなずく。
アリアとミリアの親子関係を俺がどうにか出来るとも思わないがそれでもミリアを幸せにしてあげたいのだ。
「ありがとう、でも今は無理だと思うの」
「俺はどうしてだ?」
っと質問する。
俺は少しだけミリアの事が分かるようになったがやはり本当のところは何もわからないままだ。
だからこうしてミリアに聞きに来る、そしてその度に思い知らされるのが。
俺の無力さだ。
俺に力があればミリアの苦しみを取り除けるはずなのに、
「私は汚れてしまった、復讐の為にはばかったミセリアまでも手にかけて殺してしまった」
「それは仕方のないことだろ、それにあれは俺のせいでもあるし」
あれは俺が殺したようなものだ。
俺はミリアの背中をさすって慰める事しか出来ないのが歯痒く思えるのだった。
俺にはミリアにどうする事が最善かなんて解らなかった。
そうして、時間が過ぎていくと、俺が部屋を出る時に 俺が去った後にミリアは泣いている事にも
気が付かないのであった。
屋敷での生活が始まり俺とアリアが一緒に過ごしていると
「お母さんまだ会えないの?」
「ごめんな、アリア」
アリアに心配させてしまうのだが、ミリアから止められていた。
俺はこの世界に来てミリアを助け出す事が出来ていなかったのにアリアを助ける事はできて本当に
これで良かったのか悩む。
俺達は村で過ごしながら魔獣を倒し続けたり、盗賊退治をしたりと色々な事をしていたのだが。
そのお陰もあって俺のレベルが上がっていくのを実感していく。
だが未だに元勇者を超えることが出来ていない。
俺はミリアのために頑張ると決めたからこんなところで止まれないのだ。
俺は強くなる為に、今日もアリアと一緒に過ごすのである。
ある日の事、村長からあるお願いを受けた。
それは村の近くの遺跡の調査で この村から歩いて半日ほど行った所にありそこに現れた魔族は討伐したが
まだ遺跡の中を調べられていないので調査して欲しいとの事なのだが、それを聞いたアリアは目を輝かせている。
「ねぇ、お父様、冒険者みたい!」
アリアの言葉にミリアが微笑みを浮かべている。
俺も懐かしく思っていたがそう言えばミリアにこの世界に召喚された時に貰ったチート能力って確か
アイテムボックスの能力でしたよね?
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