元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

304.

彼女は、王都では有名な大商会の会長をしていて かなりのやり手として知られている。
そんな彼女がこんな所で何をやっているのだろうと思って 彼女に近づこうとする。
しかし、彼女に近づくにつれて彼女の隣にもう一人誰かがいることに気づく。
俺は、セシリアの隣に立っている人に視線を向ける。
その人は、とても美しい人だった。
年齢は恐らく20歳前後だと思う、背丈は高くスラッとした体型をしているが胸の大きさはとても大きく、
腰の位置も高い。
長い金髪の髪をポニーテールにしている。
その女性は、間違うはずもない。
妻のミリアだった。
「え？ ミリア」
俺は、ミリアの姿を見て思わずそう呟いた。
俺の言葉を聞いたミリアは、驚いたような表情をしてから俺を睨みつけてきてから俺に近づいてきた。
ミリアは、俺に詰め寄るようにしてから俺の頬を思いっきり引っ叩いた。
パァン！ 乾いた音が周囲に響き渡る。
俺が、いきなりのことで呆然としているとその隙にミリアは俺から離れて行ってしまった。
それから暫くして我に帰った俺が急いでミリアを追いかけようとするも、
既にその姿はなく 結局その日はそのまま宿に帰ることになった。
「ミリアが怒るのも無理ないわね、何で娘と結婚するのよ」
セシリアは俺の話を聞き終えるとそう言ってきた。
俺は、セシリアの言葉に反論しようとするが、 俺が口を開くよりも早くアリアが言葉を発する。
俺はアリアの言葉に耳を傾ける。
アリアは、俺がセシリアに責められている時に庇ってくれて、 俺があの女と結婚せずに済んだのは、
セシリアのおかげだと言っていた。
俺は、アリアの言葉を聞くと、 自分が情けなくなった。
「アリアでもね、ミリアお母さんが、ユウトと結婚しないと……未来から来た貴女は存在できなくなるのよ」
俺は、その言葉で確信を持った。
やはり、そうなのだと確信した。
俺はアリアに問いかけることにした。
アリアが本当に俺の娘なのかと。
アリアは俺の問いに対して肯定すると、俺に真実を話してくれた。
俺はアリアの話しを聞くと、 俺が元の世界に帰る前に、アリアに言った言葉を思い出した。
アリアは俺に、
「お母さんが、お父様を裏切る訳がない」
そう言ってくれた。
それには、歴史を知っていたからなのであり、今、アリアがしている事、事態が歴史の改変。
つまりは、アリアの居ない世界へと繋がっているのだとしたら……？
俺は、自分の考えにゾクっとした。
もし、俺の考えた事が正しかったら、俺のしてきた事は、無駄になるかもしれないのだ。
俺は、俺のやってきたことが無意味だったのだと思いたくなくて、 俺は、必死に否定しようとした。
俺は、俺のしてきたことは間違っていないはずだ。
俺は、アリアに確認を取る。
「俺のしてきたことが正しいのか」
それとも、アリアの言っている事が本当なのかどうかを。
すると、アリアは俺の質問に答えてくれた。
「俺のしてきたことを正しい」
と言い切っていた。
俺は、アリアに、感謝を伝えた。
「俺のしてきたことを認めてくれてありがとう」
そう言うと、セシリアが俺に声を掛ける。
「ちょっといいかしら」
「何かな」
「アリアはここにいてね」
そう言われてアリアは頷いた。
そしてすごく離れた所まで行くと
「ねぇ、この時代の魔王ってダレ？」
「そんなのは、アリアだけど」
「何で、この時代のミリアは貴方の傍にいない訳？　しかも、離婚したんでしょ？　
アリアを貴方がとったから……」
「え？ どういうことだ？」
俺は、意味が分からなかった。