元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

296.

「こ、これは」
バルバドスにいとも簡単に風魔法を相殺されているのだ。
「バルバドス、お父様の力で強く成った？」
「いいえ、アリア魔王陛下、陛下が弱くなったのです」
俺の力が強くなっていると言われてもピンと来てないようだった。
そこでもう一度同じことを試してもらう。
今度は先程よりも早く対応されていた。
「な、なにが起こっているの」
アリアは理解できていないようだった。
俺はアリアに、俺が魔王城に乗り込んだ時の事を覚えているかと聞くと
「うん、覚えてるけど」
俺はその時にアリアの本当の実力を知ったのだと教えると
「そっか、あの時はまだ全力ではなかったんだね」
納得していた。
俺はアリアに俺の今行っている訓練に参加させるように説得を行う。
「でも、今さらやったところで」
俺は、
「魔王は威厳だろう、バルバトスと組み手をするだけだよ」
俺はアリアにそれだけを伝える。
俺の言った言葉を聞いて、少し考えるような仕草をして考え込む。
そして、
「分かったわ参加させて貰うね。
それと、ありがとうね。
お父様、大好き。チュッ」
俺の頬にキスをしてから、俺に抱きついてきた。
そして俺達は、俺が連れてきた、ユフィア、エルディオ、ルベル、と共に魔王城の中庭に来ていた。
俺はアリアに、俺が考えたメニューを伝えて、それを実行できるように、俺が指示を出す。
まずは、基礎体力作りから始める。
アリアは、俺の指示に従い、ランニングをする事にした。
俺は、アリアが頑張っているのを見てバルバドスを召喚した。
「お呼びですか？」
「お前も走って来い」
「はっ」
そう言うと、俺の命令に従って走り始めた。
俺は、アリアに俺が出した課題をこなしてもらいつつ、
バルバトスとの組み手に励んでいた。
俺の出している、トレーニング内容は至極単純で、ただひたすらに体を動かしているだけだ。
そして俺の出す条件は、毎日決まった時間に行われることだ。
朝昼晩の三回で、一日に三セットまでとしている。
ただし、最初の一回だけは、特別に五回まで許可をしている。
それ以外の日は、二回目以降は回数を減らさせ、その分だけ次の日のノルマを増やしている。
アリアは、この過酷な状況に涙目になりながらも必死に食らいついている。
それから暫く時間が経ち、夕方近くになった頃、アリアの体が限界を迎えようとしていた。
「もう無理、動けない。」
地面に倒れ込み、息絶えだえになっていた。
そんなアリアを見て、俺がアリアに近づき回復の呪文をかける。
すると、アリアが目を覚ました。
アリアは起き上がると、自分の体を不思議に思い、確認している。
そんなアリアに対して、
「アリア、今日はこれくらいにしておこう。」
俺がアリアに声をかける。
すると、アリアは俺の方を向いて、
「お父様、私まだやれるわ。」
俺の提案に反論してきた。