元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

239.

俺の返答を聞くや否や俺のことをジロジロと見てくる始末。
それからは終始男が優位に立ち回ることになり、俺の反論などは聞く気もないらしい だからと言って
俺に選択の余地は最初からなかったようで 取り合おうとはせず一方的に押し付けられる形で
話が決まってしまうのだった。
（何なんだよこれ一体どういう状況なの？）俺の思考は混乱を極めているせいで冷静に
考える余裕がなくなっていた。
俺はそれでも何とか打開できないかと考えていたがそれも虚しく 結局のとこ受け入れざるを
得なくなってしまう。
しかし俺はまだこの状況を受け入れたくないと思い 俺の要求を伝えてみると意外な展開が
待ち受けていて俺の言葉を聞いた途端に
先ほどまでの高圧的な姿勢から一変して俺の機嫌をとるような様子になった。
俺としてもこの機会を逃す訳にいかないと考え俺から要求を突きつけたのだ。
俺が求めた事は一つだけ。つまり 俺が今すぐ元の世界に戻らせてくれと頼んでみたら
意外と簡単に応じてくれた。
但し俺一人のみという条件が付いた上でだ。
俺は一応の保険のためにこの場に残った方が良いのだろうと判断したのだったが
どうやら俺の判断は間違ってはいなかったようだ。
なぜなら、今すぐに俺が帰ろうと言った場合俺だけが元の世界に戻ることが可能だったからだ。
ただその場合俺と一緒だった人達は取り残されてしまうため 結局は俺の我を通すわけにも行かず
仕方なしにこの世界に残ることになったのだ。俺は仕方なくではあるが一旦家に帰ることにした。
俺が帰宅するやいなやアリアが出迎えてくれる。俺はこの家に帰って来て良かったと思ったのだが、
そんな感情は すぐに消え失せることになる、
というのも何だかんだいっても結局俺はミリアを優先に物事を考えてしまっている節があるために、
ミリアのことがどうしても心配になってしまっているからである。
（ミリアの奴は元気にしてんのかな？ やっぱり寂しい思いをさせちまってんじゃねえか？
俺と一緒にいない時はいつもあんな調子みたいだし……。
でも俺が一緒にいてあげられる時くらいはなるべく明るく振舞ってくれてるし大丈夫か。
だけどせめてあいつの声だけでも聞ければ 安心出来るのかな？でもなあ。
この世界で通信手段なんて無いし……。
どうすればいいのやら……。）俺はミリアのことばかり考えてしまってはいるが実は
俺が居なくなったことで
ミリアが塞ぎ込んでしまっていたりすることについては全く気付かずにいたのである。
そうやって考え込んでいた俺の様子がおかしいことに気づいたのかアリアさんが声を掛けてくれた。
しかし俺の耳に入って来た言葉によって その不安は吹き飛ばされることになる。
俺はその内容に驚いてしまったもののなんとか気持ちを落ち着けて、
ミリアと会話を交わす。
すると俺はとんでもない事実を知る事になったのである……。
俺達はお互いに別れてから今までの出来事を話し合っていたのだが どうもこの話はただ事
ではないようだ。
ミリアが言うに俺達がいる村は元々平和で魔物なども全く現れない場所なのだそうだ。
それなのに最近魔物に襲われるようになってしまい村人全員が恐怖に包まれているという事だ。
さらに、ミリアの話を聞いて行くとミリアが住んでいる場所は村外れの森の中で近くに人里は
無いはずとのこと。
しかし、どうもここ最近の魔物の動きは明らかに不自然で何かあるとしか思えないので俺に
何か出来ないか相談された。
俺は俺でそんな魔物の群れを相手にするのは面倒だし、ミリアの身に何かあったらと心配に
なってしまうので俺はミリアの頼みを断った。