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「もし良ければ一緒に冒険をしてみないか?   もちろん強制はしないし断ってもらっでも一向にかまわない。だけど 実際に会えるのであれば出来る限りは便宜を図ってあげたいし お互いにとって利益が生まれる関係になりたいと思う。それが僕の願いだ」
などと提案をしてきたが、 色々とあって断る羽目になったが、 その理由というのが、
「あの……悪いんだけど……冒険はしばらく休みたいなと思っている。俺自身は、 大した人間でもないし、魔法についても初級レベルで満足してしまっているし、そもそも今の俺の状況で冒険者を続けられるかどうかもよく分からないし。何よりも仮に冒険者として 活動している最中に敵に襲われて俺が死ぬ可能性も充分にある。実際、命の危機を感じた場面に遭遇したこともあるから分かるだろ?   こう見えて昔は戦闘経験があるからある程度の対処は可能だと思っていても世の中はそういう理屈通りに物事が進むとは限らないからな」
「ああ、理解は出来た。それでいい、無理強いするつもりはない。それに最初から上手くいく奴なんてこの世にはいないから変に意気込み過ぎるよりは現状維持を目標に頑張ってもらえればいいかなって。ただし、魔法の方はいつか学んでみると良いかもしれないぞ。今後そういった機会が訪れる可能性もあるだろうしあくまで可能性の話でしか無いのだけれどもさ。とにかく人生は何が起こるかわかったもんじゃないんだ。希望を持つだけでも持ち続けてみるのは決して悪くないと自分は思うわけですよハイ!  そう考えた上での結論として今回は身を引くことにした」
というようなやりとりがありそれ以降この本と出会ってからは積極的に活用することにしたのである。
今となっては立派なコレクションの一角になっているが、やはり魔法使いを目指す者が読むべきなのは必須であると
判断するわけです。
そんなある日のことだった。
「ねえ、ちょっと聞きたい事があるの!」
と急に声を掛けられたと思ったら例の女性からのものだった。
一体どうしたというんだろうか……。
とりあえず話を聞いてみることにしよう。
彼女は【名探偵】の称号の持ち主で、その名前はルーナ・ディライト。
とある事情から、今は亡き父親の跡を継いで探偵として活動しているとのこと。
何故に探偵をしているのかというと、この世界では憲兵の代わりに探偵と呼ばれる職業が存在する。
といっても、普通の憲兵もいるにはいるのだが、その性質上、魔物などの討伐を主として活動しており、いわゆるモンスターバスター的な側面が強いので、それ以外の事件や犯罪を主に取り扱うのが
探偵の役割となっている。
当然のことながら、探偵は単独で仕事を請け負うこともあり、
「その報酬としてもらった依頼書の中にその魔道具らしきものが 描かれていたのを見てつい飛びついたのよ。そうしたらここに行き着いた次第で……。そういえばあんたの自己紹介がまだ済まなかったわね。あたしも名前を教えたんだし そっちも教えてくれたらいいわ。あ、ちなみにこれは善意で聞いているだけだから別に深い理由があるとかは気にしないように。ほら早く答えなさい」
「分かった分かった。俺の名前はユウト。
それと詳しい事情は言えないが、旅をしていてな。しばらくの間この村に滞在しようと思っていたところなんだよ」
「ふーん、そう」
いまいち興味を示さずに
自分の推理を語り始めた。
「その店は最近流行っているものなの。噂によればなかなか品揃えが良いみたいだし、それに加えて珍しい商品を置いているっていうことで有名なの。そこに行った人がこいつを売ろうとしていたのを見たの。この紙に書かれているものは魔力を増幅させる指輪であることは間違いないはずよ。その証拠に私が鑑定した結果 ではそう結果が出た。ちなみにこいつの名前はヘルバリングと言うの。そいつを持っていった後にどうなったかも調査済みなの。それによると、どうやら他の客とのやり取りの中で売り渡しちゃっていたことが発覚。つまり、あんたが手に入れたのはこれなの」
「つまりお前の勘違いだということだな?」
「いや……うん。まぁ……ねぇ」
少しばつが悪そうな顔をしている。
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