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「俺の聞き違いじゃなければ、あなた方が俺に用事があるということで宜しいでしょうか?」
こちらの質問に、少女のうちの一人がやや興奮気味に答えてくる。
どうやら正解のようだ。
「あのっ、失礼を承知で申し上げるのですけれど、貴殿のお力を貸していただくことは出来ないのですか?  私たちの護衛をして欲しいんです」
「……それは構わない、いやむしろ是非やらせて欲しい、と言いたいところだけど生憎俺の本業は冒険者でね、依頼を受けてる最中で、君たちだけにかまけている訳にはいかないんだ」
俺の申し出を聞いて、少し残念そうにしている彼女らの様子には少しばかり罪悪感を覚える。ただ俺には俺の事情があるので仕方がなかった。
「では、報酬さえ払わせてもらえれば、その、構いませんの?」
「俺の力が必要とあれば、もちろん協力しますよ」
彼女達を連れてきたのとは別の女の子が、口を挟んでくる。
「では、私たちは貴方のことを信頼しているので、代わりに他の人を信用することにしましょう。
その代わり、そちらの方と連絡が取れるようにして頂きたく思いまして」
その言葉を受けて、
俺は【交信魔法】を使う。
相手の指定は適当に俺の記憶に
残っている人間だ。
念じるだけで、記憶の中にある人物のイメージが浮かんでくる。
そして目の前の少女たちの姿を見ても特に驚かなかったということは、すでに会ったことが何度かあるということだろうか。
イメージの中で目の前に現れたのは、
若い男性であった。
背は高く体格の良い人だ。
年齢は20代後半あたりかな?
筋肉質で男前な感じの男性だ。
あまりイケメンとは言えないが、
悪い人では無さそうである。
俺が頭を下げると、彼もまた軽く一礼した。
どうやら俺のことは知っている様子で。
名前を名乗った上で自己紹介を始める。
まずは俺から。
名前と職業を伝える。
次に女性陣が順番に名乗っていく。
先程の提案については、引き受けても構わないとのことで。
さらに詳しい話は明日にでも話し合おうということになって。
それで一旦解散となった。
宿に戻って、晩飯を食べる。
明日の予定について考えていると、
珍しくエレナが話しかけてきた。
「ねぇ、今日はずっと上の空って感じね。
どうかしたの?  あ、わかった。昼間、一緒にいた子たちに惚れちゃってたんでしょ。
それで悩んでるとか」
冗談めかした口調で、
彼女はそんなことを言ってきた。
「違うよ」
否定するが、信じて貰えてなさそうだ。
その証拠にニヤついた笑みを浮かべて、
こっちを見つめてきている。
まあいっか。別に隠すことでもないし。
それに、いずれは彼女には話すつもりでいた。
その前に、今のタイミングで伝えておこうと思った。
だから、そのままの気持ちを伝えた。
「俺は明日、この街を出て行こうと思う」
彼女の表情が一瞬凍りつく。
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