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「私、貴男の事が好きです。他の男に奪われるのはイヤです。
私を幸せにしてくださらないですか?」
だから私は素直に告白をしたのだが、
バレッド様からは予想以上の反応を引き出せたので内心ほっとした。
まさか私みたいな人間が相手にされるとは微塵も考えてなかったが、
彼が受け入れてくれさえすれば全てが上手くいきそうな予感はしていた。
だからこそ今更バレッド様から離れて一人で過ごす人生なんか選べないという想いもあった。
「君は一体どういうつもりであんな台詞を口走ったんだい?
もし君が自分の欲望の為に動く人間だと俺に知れたら失望されるのは間違い無いはずだよな」
バレッド様は私の心の底を見透かすかのような瞳でこちらを見てくる。
そんな事言われても本当の事なのでどうしようもないんだけど。
だから正直に答えてしまうしかないんだよね。
だって嘘ついたって意味ないじゃない。
バレッド様の目を見るだけでもドキドキしてしまって頭が真っ白になってしまいそうになるのに。
でも流石にこれ以上待たせるわけにもいかない。
だから意を決して本音をさらけ出したの。
私の覚悟を感じ取っていただけたみたいで、
「ああ。これからずっと傍にいるからな」
そう言ってくれて私達は晴れて婚約者として結ばれることが出来た。
もちろん、それだけで終わるハズが無いから私から積極的に行動して
バレッド様と結ばれて子供をたくさん産めるようにしてあげるんだから。
そんな幸せな日々が続いていたある日、私が一人で街中を歩いていた時のことだった。
「おい、そこのお前、随分といい女だな、俺といい事をしようじゃないか、ひひひひひっ」
「嫌っ!」
いきなり見知らぬおじさんが話しかけてきたと思ったら突然乳房を
触ってきて――怖くなったわたしはすぐに逃げだしました。
(何あのおっさん!? 怖いんですけどー! てかあいつの手気持ち悪っ!
マジ最悪、思い出しても吐き気がする)
必死に逃げ回り、路地裏に入って一息つく。
どうやら追っては来てないみたい。
よかったぁ。
にしても何でこんな事に……うぅ、嫌なこと考えちゃったじゃん。
せっかく気分よく散歩してるのに台無しだわ。
「大丈夫ですよマリアベル嬢、私が守ってあげますから」
ふと後ろから抱きしめられると同時に聞き覚えのある男性の声が耳に入ってきた。
驚いて振り返ってみると私服姿の男性が私の背後に立っていた。
顔立ちは中性的ながら整っていて、服装も相まって性別を間違える者がいるとは
思えない程美男子の部類に入る人物だろう。
髪の色は黒色と青の入り混じったものという珍しいもの。
そして左目が赤く、右目の色が金色をしていた。
私を幸せにしてくださらないですか?」
だから私は素直に告白をしたのだが、
バレッド様からは予想以上の反応を引き出せたので内心ほっとした。
まさか私みたいな人間が相手にされるとは微塵も考えてなかったが、
彼が受け入れてくれさえすれば全てが上手くいきそうな予感はしていた。
だからこそ今更バレッド様から離れて一人で過ごす人生なんか選べないという想いもあった。
「君は一体どういうつもりであんな台詞を口走ったんだい?
もし君が自分の欲望の為に動く人間だと俺に知れたら失望されるのは間違い無いはずだよな」
バレッド様は私の心の底を見透かすかのような瞳でこちらを見てくる。
そんな事言われても本当の事なのでどうしようもないんだけど。
だから正直に答えてしまうしかないんだよね。
だって嘘ついたって意味ないじゃない。
バレッド様の目を見るだけでもドキドキしてしまって頭が真っ白になってしまいそうになるのに。
でも流石にこれ以上待たせるわけにもいかない。
だから意を決して本音をさらけ出したの。
私の覚悟を感じ取っていただけたみたいで、
「ああ。これからずっと傍にいるからな」
そう言ってくれて私達は晴れて婚約者として結ばれることが出来た。
もちろん、それだけで終わるハズが無いから私から積極的に行動して
バレッド様と結ばれて子供をたくさん産めるようにしてあげるんだから。
そんな幸せな日々が続いていたある日、私が一人で街中を歩いていた時のことだった。
「おい、そこのお前、随分といい女だな、俺といい事をしようじゃないか、ひひひひひっ」
「嫌っ!」
いきなり見知らぬおじさんが話しかけてきたと思ったら突然乳房を
触ってきて――怖くなったわたしはすぐに逃げだしました。
(何あのおっさん!? 怖いんですけどー! てかあいつの手気持ち悪っ!
マジ最悪、思い出しても吐き気がする)
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どうやら追っては来てないみたい。
よかったぁ。
にしても何でこんな事に……うぅ、嫌なこと考えちゃったじゃん。
せっかく気分よく散歩してるのに台無しだわ。
「大丈夫ですよマリアベル嬢、私が守ってあげますから」
ふと後ろから抱きしめられると同時に聞き覚えのある男性の声が耳に入ってきた。
驚いて振り返ってみると私服姿の男性が私の背後に立っていた。
顔立ちは中性的ながら整っていて、服装も相まって性別を間違える者がいるとは
思えない程美男子の部類に入る人物だろう。
髪の色は黒色と青の入り混じったものという珍しいもの。
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