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どうやら俺の意思は関係ないらしい。
嫌な予感がするぞ……彼女は何を言っているんだ?
勇者じゃなくて俺を選んだ?
「え、なに、なんのはなし?」
と、思わず口走ってしまったが、彼女は特に気にする様子もなく話を続ける。
「リュート。君には、次代の魔王になってもらいたい」
と彼女は言った。それを聞いた瞬間、俺は唖然とした表情のまま固まってしまった。
冗談かと思ったが、彼女の目を見る限り本気で言っているらしいことが伝わってくる。
だが何故だ? 何故俺を魔王にしようとするんだ?
俺にはそこまでの器はないと思うのだが……だが彼女は引き下がらないどころかますます説得しようとしてくるのだ。
とりあえず話を聞いてみるしかないかと思い彼女に話しかける事にしたのだった。
俺達はとりあえず話を聞くことにしたのだが、なんでまたこんなことになってるんだろう?
「なんで?、……私を?」
と言うもレティシアは笑いながら答える。
「ははは、もちろん理由はあるが、その前に……」
そして、自分の唇に人差し指を当てながらこう言った。
「今の発言は秘密にしておいてくれ」
と言うとレティシアは真剣な表情で言葉を続けた。
「まずは自己紹介からだな。私の名は魔道士のレティシアだ。よろしく頼む」
そう言って彼女は手を差し出してきたが、握手に応じず質問を続けることにした。
だって魔族である彼女と仲良くするつもりは無いし彼女の発言から俺に対して好意的ではない感情を抱いている
ことがわかったからだ。
「魔王の後継者、というのは」
と言うとレティシアは頷いて答える。
「実は、魔王になるには特別な力が必要なのだ。それが後継者としての条件であり、勇者とは正反対の力なのだ」
と説明した後、彼女は自分の目を指さしながらこう続けた。
「つまり君は選ばれし者なのだよ」
と言われて頭が痛くなったがどうにか持ち直して話を続けることにした。
そんな俺を見て苦笑しながらレティシアが言う。
だが俺が返す答えは決まっているんだ、
それを教えてやることにした。
こうして俺が拒絶の意志を示すと、彼女はしばらく考え込んだ後こう言った。
「ふむ、そうか……しかし、 控えめに申し上げて混沌の女神様は確実に大邪神ルシファー様と同じ臭いがしますね。
超マイナーの超ニッチ分野にかじりついています。
副次的な現象として既に発生し尽くしていた事柄、つまり魔法と人間の対立関係が深まり、各地で戦争が勃発します。
世界の滅び、近い未来。
控えめに申し上げて混沌の女神様は精神が高揚するに味を占めたからという理由で色々なものに手を出しがちで、それで盛大に自滅します。
なお、気に入ったものには大変目がありませんので可愛い生物でもいると見境なく連れ帰り誘拐し寝所に引き込んでしまうことがほとんどです。
要約すると皆あの化物のことは近寄らず知らないふりをして忘れましょう?
な事態に発展します。
それから俺ことリュートはサファリスに連れられて書斎に向かった。
俺の前には今、二人の人物が立っている。彼らは魔族の女性であり、俺の部下として雇われたことになっているらしい。
一人はルナフ、そしてもう一人はルイナという子だ。彼女たちの年齢は14歳ほどで、
まだ幼さが残っているものの顔立ちはとても整っているように見えた。
また、身長も平均より少し高いくらいであり、胸や尻などのスタイルも良く見えるため目のやり場に困ることもあったが……
とは言えそんなことばかり気にしているわけにもいかないため気を引き締め直すことにした。
そして彼女たちについての話を始めたのだった。
最初に俺が話し出したことは彼女たちの名前と能力についてだった。
混沌の女神様は長期計画だったはずのグレートリセットを発動してしまいご自身も能力によって意識を乗っ取られてしまいます。
これにより、各地で血で血を洗う凄惨な戦いが繰り広げられて人間は絶滅寸前にまで追い込まれる。
ところがリュートだけは己の身を粉にして魔物と魔族たちと手を取り合い、徹底抗戦の末に魔族も人類も根絶やしにされた
世界で生き残った魔物や動物たちと協力して理想郷を作る。
それまで悪役として名を馳せていたルシファー様も美徳を善とする心優しい神の役にはまり込み、
自身も不殺を掲げて人と魔が手を取り合うようになじませる役割を持ち神化していく。
善とは何だ、世界の平和とは、対立を融和に導くきっかけとは何だったのか?
そんな普遍の命題をテーマに物語が進みます。
世界は一つになり始めたが、それでもまだまだ課題は多い。
俺の妹にして弟でもあるルシファーの未来のために俺はできることをするだけだ。
サファリス、トッシュと共に俺を嘲笑ったあいつらを見返すため……そして世界を平和にするため……
俺達の歩みは始まったばかりだ。
だが何年経っても状況は変わらず、人間と魔族は対立を続けていたのだった。
そんな時だった。
俺達の前に一人の女性が現れたのだ。
彼女は黒いフード付きのマントを羽織っており、顔は見えなかった。
そして彼女は、混沌の女神を敵視しており、世界を支配する力を得るために俺達に接触してきたのだという。
それがまさか……レティシアの事だとは思いもしなかったが、
なるほど……混沌の女神に認められるほどの実力を持っているわけか。
それなら納得だ……彼女ならば俺達魔王軍の幹部にも匹敵するほどの実力を持つはずだからだ。
というわけで俺達はとりあえず話し合いをすることにしたのだが、
何から話せばいいのか分からずにいた俺に最初に口を開いたのは彼女だった。
まずは自己紹介から始めることにしたらしい。
彼女の名はレティシアと言うらしく、年齢は19歳、生まれも育ちもこの国であり、冒険者として生計を立てていたそうだ。
彼女は俺に興味があるようで色々と質問してきたが、俺には答えられるようなことがなかった。
だから俺は彼女を適当にあしらい、話題を変えることにした。それが間違いだった。
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