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しばらくすると、アリアはゆっくりと目を開け始め、ぼんやりとした表情でこちらを見てきました。
まだ寝ぼけているのか、焦点が定まっていない様子です。
その様子を見ていると、なんだか微笑ましくなってきました。
そんなことを考えているうちに、
「おはようございましゅ……」
ようやく意識がはっきりしてきたのか、挨拶を返してくれました。
その様子を見て安心したので、朝食の準備をするために台所に向かいます。
今日のメニューは何にしようかなと考えていると、不意に後ろから声をかけられました。
振り返ると、そこには笑顔のアリアの姿がありました。
どうやら元気になったようで何よりですね。
そう思いながら、挨拶を返すと彼女も返してくれました。
その後、二人で協力して料理を作ることになりました。
とは言っても、簡単なものしか作れませんけどね……。
それでもないよりはマシでしょうし、何よりも楽しいですから問題ないのです!
それに、こうやって誰かと料理をするのは久しぶりなのでとても新鮮味を感じますね。
そんなことを考えながら、準備を進めているとあっという間に完成しました。
テーブルに並べて席に着くと、早速食べ始めることにしましょう。
うん、我ながら上出来ではないでしょうか!
美味しいですよ!
これなら満足してもらえるはずです!
そう思って彼女の方を見ると、驚いたような表情をしていることに気づきました。
どうしたんでしょうか……?
疑問に思っていると、彼女が話しかけてきました。
「あの、これ、どうやって作ったんですか……?」
そう言われて、一瞬戸惑いましたが、すぐに答えることができました。
「ああ、これは俺が自分で考えたんだよ。こう見えても、料理には自信があるんだぜ?」
自慢げに言うと、彼女は感心した様子でした。
そして、その後も色々と質問されましたが、全て答えてあげましたよ!
どうやら俺の回答が気に入ったらしく、しきりに感心していましたね。
そんな風に褒められると、
「いやあ、それほどでもねえよ!」
と言って照れてしまいますよ……!
まあ実際その通りなんですがねw そんなやり取りの後、俺たちは食事を終えました。
そして片付けが終わると、いよいよ出発する時間になりました。
玄関を出るとき、見送りにきたアリアが言いました。
「気をつけてくださいね」
という言葉に対して、俺は笑顔で答えました。
そして手を振りながら別れを告げると、そのまま街を出て行きました。
目的地までは遠いですが、頑張って行きましょうかね!
そう決意を固めたその時、背後から声をかけられたような気がしました。
振り返ってみると、そこにいたのはなんとアリアだったのです!
驚いて固まっている俺に構わず話しかけてくる彼女の言葉を聞いていると、どうやら俺のことを追いかけてきたらしいということが
分かりました。
「私もついていきます……!」
と言われてしまいましたが、さすがにそれはまずいと思い断ろうとしたのですが、
どうしても引き下がってくれませんでした……仕方ないので連れて行くことにしたんですが、
これからどうなることやら……心配しかありません。
そんなわけで仕方なく同行を許すことにしたんですけれども……
やっぱり不安しかないんですよね、これが。
しかし、ここで揉めても仕方がないですし、今は諦めることにしましょうかね。
というわけで、渋々ながらも了承することにしたわけですけど、問題は山積みなんですよねぇ。
まずは住む場所の確保ですよね、あとは生活費を稼ぐ手段も必要になるかもしれません。
そう考えると、やはり冒険者になるのが一番手っ取り早いかもしれませんね。
そうと決まればさっそく行動開始といきましょうか。
こうして、俺達は冒険者ギルドへと向かうことになったのである。
受付嬢に案内されて奥の部屋へと通されると、そこには一人の男性が待っていた。
彼は俺達に気づくと、立ち上がって出迎えてくれた。
「ようこそいらっしゃいました、私が当ギルドの支部長を務めている者です」
そう言って頭を下げる男性に向かってこちらも自己紹介をすることにする。
「初めまして、私はリュートと申します」
「同じく、ルミナスといいます」
二人揃って挨拶をすると、相手も同じように返してきた。
「こちらこそよろしくお願いします」
それからしばらくの間、世間話をしていたのだが、途中で話題を変えることにしたようだ。
「ところで、お二人はどのような目的でこの街へ来られたのですか?」
その質問に、どう答えたものか迷ってしまったが、正直に話すことに決めた。
「実は、私達はある目的があって旅をしている最中なのですが、路銀が尽きてしまいまして、それでこの街に立ち寄らせていただいた次第でございます」
俺がそう言うと、相手は納得したように頷いた後、続けて質問をしてくる。
「なるほど、そうでしたか。ちなみに、お二人はどちらの出身なのでしょうか?」
その言葉に、俺は思わず黙り込んでしまう。
というのも、今の俺たちに出身地など存在しないからだ。
何故なら、つい先日まで住んでいた村は既に滅びてしまったからである。
そのことを説明するわけにもいかず困っていると、代わりに隣の女性が答えてくれた。
「私たちは遠方にある小さな村の出身でして……恥ずかしながら故郷を失ってしまったのです。
そこで、各地を転々としながら生活していたところ、この王都に流れ着いたという訳です」
その言葉に、俺は内心で驚いていた。まさか、そこまで詳しく設定を考えてくれているとは思わなかったのだ。
だが、おかげで怪しまれずに済んだようである。
それを聞いた男性は同情するような表情を浮かべていた。
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